マブラヴ グレートパトリオティックウォー 作:Eitoku Inobe
勅命が発せられたのである。
既に天皇陛下の御命令が発せられたのである。
お前達は上官の命令を正しいものと信じて絶対服従をして、誠心誠意活動して来たのであろうが、既に天皇陛下の御命令によってお前達は皆原隊に復帰せよと仰せられたのである。
この上お前達が飽くまでも抵抗したならば、それは勅命に反抗することとなり逆賊とならなければならない。
正しいことをしたと信じていたのに、それが間違っていたと知ったならば、徒らに今までの行きがかりや、義理上からいつまでも反抗的態度を採って天皇陛下に背き奉り、逆賊としての汚名を永久に受ける様なことがあってはならない。
今からでも決して遅くはないから、直ちに抵抗をやめて軍旗の下に復帰する様にせよ。
そうしたら今までの罪も許されるのである。
お前達の父兄は勿論のこと、国民全体もそれを心から祈っているのである。
速やかに現在の位置を捨てて帰って来い。
香椎中将
-”兵に告ぐ”より抜粋-
-日本帝国領 東京 港区 駐日ソ連大使館周辺-
現在、駐日ソ連大使館は東京タワーを占拠した部隊によって周辺を包囲されていた。
基本的に大使館はウィーン条約によって守られており、流石の斯衛軍もアメリカの大使館共々直接占拠する事はなかった。
ただし何があったかと大使館前に展開する斯衛兵らに何かを尋ねたが碌な返答が返ってこない、そもそも大半は直接日本語を喋ってくる。
当然様々な情報を事前に知っておりこういうことの経験に多少慣れてる大使館職員らは何が起こっているのかよく知っていた。
「テレビつけろ!警備の兵は全員武装して待機だ!特殊部隊も待機させろ!」
「了解!」
警備主任のバターノフ大尉は一連の指示を出し、ソファーに座って深刻な表情のまま考え込んでいるパヴロフ大使の反対側にスティハノフ大佐が座った。
ソ連の大使館を警護する部隊は主にKGBの国境軍から抽出された部隊である。
先ほどのバターノフ大尉も元は国境軍の出身であり、外で武装して待機している警備兵も所属はKGB国境軍であった。
しかも日本帝国内での状況を見越して事前に大使館内に”ヴィンペル”部隊を一部入れてある。
大使館内のテレビを付けたはいいが何処の放送局も「しばらくお待ちください」とだけ書かれて放送が止まっている。
恐らく放送局の全ては斯衛軍によって占拠されたのだろう、外を見てきたが計画だけは綿密に組まれているようだ。
「あっNHKやってます!」
丁度付けていたテレビ局の放送が再び始まった。
だが放送された内容は通常のニュース番組ではなく、この事態を引き起こした者達の布告であった。
暫く砂嵐の状態だったテレビが復活し、見慣れたニュース番組の映像が映し出される。
しかしそこにいるのはいつも目にするニュースキャスターではなく、軍服を着た男達であった。
『東京に住む全ての帝国臣民の皆さんに大切なお知らせがあります。なるべく多くの人に放送、またはラジオ放送を視聴するように呼びかけてください。我々斯衛軍が皆さんに対して大切なお知らせがあります』
「反乱軍の声明です」
「録音しろ」
大使館内が一気に騒めき出した。
現在駐日ソ連大使館内の広間にはパヴロフ大使、駐在武官スティハノフ大佐を始め多くの重職の職員が集まっている。
他の箇所でもラジオやテレビを用いて職員らが状況確認の為に放送を聞いていた。
時刻が11時丁度になる頃、放送の場面が切り替わり、内閣府の会見場に移り変わった。
本来いつもであれば日本帝国国旗が報道を担当する長官の隣に設置されているのだが、今回は国旗の隣に斯衛軍の軍旗と斯衛第二師団の師団旗が据えられていた。
そして会見場の台には師団長新田中将が、隣には師団参謀長、師団参謀らが常勤服のまま直立不動の態勢で整列していた。
新田中将は軍帽を下した状態でカメラの一点を見ながら話を始めた。
『皆さん、私は斯衛軍第二師団の師団長、新田梶昌中将であります。現在東京で起きている一連の騒ぎ、不安に思われている方も多いでしょう。騒ぎの説明と現時点を持って東京全域に布告する重要宣言について私からお話しさてください』
「重要宣言…?まさかな……」
大使館職員に緊張が走った。
こうした宣言をする場合その重要宣言とは1つしかない。
『まず東京内で発生している全ての戦闘行動についてですが、我々はあくまで正当な命令発令に基づいて行動しているだけであり、直接戦闘の意思はありません。ただし我が軍に対する抵抗が確認された場合、我々は自己を防護する為に軍事力を限定的に行使することを宣言します』
つまり今起こっている戦闘は斯衛軍に責任はなく、警察や日本軍の暴発だと言いたいわけだ。
尤も結局は詭弁でしかないのだが。
『現在抵抗中の各種勢力が抵抗を停止し、我々の正当な命令発令に基づいた行動を容認するのなら我々も戦闘を停止し、これ以上の被害拡大を防ぐ所存です。その為現在抵抗中の警察、日本軍も直ちに抵抗を停止してください。これは警告です』
これではまるで脅しだが、脅しに屈するほど日本軍や日本警察は脆くないだろう。
この戦いは確実に長引く、スティハノフ大佐にせよパヴロフ大使にせよそのような予感があった。
『続いて我々が受けた命令発令とその意義、重要宣言について説明させてください。我々が受諾した命令は斯衛軍最高司令官、日本帝国政威大将軍によって発令された正式な命令であり、日本帝国の国益を保護し、全臣民が平等に現在の権利を享受出来る状態を維持する為のものです。国会では武家階級の人間に対する権利侵害を合法化する法案が進められています。この事態に政威大将軍猊下は憂慮し、日本帝国の正常化を目指す為に斯衛軍全軍に対し出撃命令を下されました』
全臣民が平等に現在の権利を享受出来る状態に、なるほど見事な日本語だ。
今現在武家が受けている権利はどうしても平民らと比べると確かに大きい面がある。
戦前のような選挙権の制限などはもうないが、それでも武家の位制度と土地、斯衛軍という確かな大きい権利は存在していた。
少なくとも斯衛軍に入っていれば日本軍の徴兵は免除になる、81年に入るまで派兵逃れとして使えたほどだ。
そんな現在のある種不平等な権利を維持する、平等の仮面を被って武家の特権を守ろうというわけだ。
流石にここまでの言葉遊びは自分には出来ないなとスティハノフ大佐は関心すらした。
『命令内容は権利侵害を進める現政権の打倒、国会の一時封鎖、正常化までの間、政威大将軍による日本帝国の直接統治を実施するものであります。現政権、現国会は武家階級に対して平然と権利を侵害し、斯衛軍の外地派遣による国際社会への献身をも無視し、軍解体の準備を進めています。将兵の犠牲に対する見返りが権利の侵害と斯衛軍の追放とは暴挙と言わざるを得ません。現政権と国会議員らは帰還兵に対してもこのような仕打ちを行う有様です、このままでは国政が麻痺し、日本帝国の憲政秩序を踏み躙り、国民に憎悪を煽り、反国家行為と断言出来ます』
斯衛軍が解体される前に武家が政権を奪取してしまえばいい、単純明快で民主主義国家にあるまじき結論だった。
『臣民の暮らし、退役軍人に対する恩給ではなく武家階級への弾圧が現政権と国会の答えであり、正しい国政であるとは言えません。今や現政権と日本国国会はかつてのナチ党と同じ有様です。民主主義の基盤となるべき国会が一部階級に対する迫害を行っているのです。政威大将軍猊下はこの状況を打破する為に立ち上がりました』
ここから重要宣言の内容が発布された。
『親愛なる臣民の皆さん、我々斯衛軍は現政権勢力の脅威から日本帝国の秩序と伝統を守り、帝国臣民の権利を侵害するファシズム勢力を一挙に剔抉し、日本帝国秩序を守る為に非常戒厳令を宣布します。我々斯衛軍は政威大将軍猊下の直接指導の下、非常戒厳令を通じて亡国の奈落へと転落しつつある祖国日本帝国を再建し、永劫守護することを宣言します!』
「……なんとかしてこの状況を本国に通達せねば。通信状況はどうなっていますか」
「申し訳ありませんパヴロフ大使、今の所通信状況は回復していません。通信インフラを全て斯衛軍に握られています、それに……」
スティハノフ大佐は上空に目線を当てた、今東京上空には電子妨害ポッドを装備した”瑞鶴”が飛び回っている。
今の所モスクワとの国際通話も繋がらないし、殆どの部署と連絡が取れなくなっていた。
「心配なのは日本国内のソ連国民です。彼らの安全を確認し、保護しなくては」
外務省のバルモフ書記官が不安そうな表情でパヴロフ大使に進言した。
「とにかく今は一刻も早く情報が欲しい。引き続き、外部との連絡が出来るか試してくれ」
「了解」
スティハノフ大佐と部下の少佐を引き連れて別室に向かった。
別室では何人かの情報機関関係者が諜報活動を行なっており、収集出来る分の情報を集めていた。
「至急、ドイツ大使館と繋いでくれ」
「了解」
1人が通信を繋ぎ、東ドイツの大使館との連絡回線を開いた。
現状殆どの通信網は斯衛軍の手中にあるのだが実はソ連と東ドイツの間には秘密裏に回線が繋がれており、非常に連絡が取れるようになっていた。
この回線の設置は1983年頃から始まり、最近ようやく開通したものだ。
「繋がりました、こちらを」
「ありがとう、もしもし?無事か?」
通信機を手に取るとスティハノフ大佐は回線先の向こうに連絡を取った。
応答したのはロジッテン中佐、東独大使館の駐在武官であり中身はイェルガルスKGB中佐だ。
『こっちの包囲はそれほど強固じゃありません。窓を開ければ斯衛軍の戦術機が見えますが』
東ドイツ大使館がある辺りの元赤坂には斯衛軍の戦術機部隊が展開しており、本当に窓を開ければ暗闇に”瑞鶴”のシルエットが映し出されていた。
「ではそっちで何人か動けるか?直接情報収集を頼みたい」
『分かりました、直ちに行動班を動かします。ちなみに本国軍の介入はあり得そうですか?』
「分からないがここまでの事態であれば国連軍名義で介入は避けられんだろう。そっちの戦術機部隊とスペツナズ旅団の戦術機部隊、後”ウリヤノフスク”は投入出来るだろう」
『分かりました、また電話します』
そういうと通話が途切れて、スティハノフ大佐は下の部屋に戻った。
「大使、諜報行動班が動き始めました。間も無く情報収集が始まりますのでしばしお待ちください」
「分かりました、どうやったかは聞きませんが報告は頼みます。全く、大変な時代に大使になったものだ」
パヴロフ大使は苦笑しながら己の職務に戻った。
時刻は4月5日午後11時、間も無くクーデターの転換点が始まる。
―日本帝国領 東京 練馬区 練馬駐屯地―
練馬駐屯地は市ヶ谷の統合参謀会議と一切の連絡が取れなくなった10分後には兵員を叩き起こし、武装を開始した。
兵士達は眠気眼を擦りながら戦闘服に着替え、二六式鉄帽を装着し、二四式小銃を手に取った。
車両を待機させ、練馬駐屯地の周辺には土嚢を用いて防御陣地を構築していた。
「市ヶ谷との連絡はまだ取れんのか!」
「はい!一切の通信に妨害が掛かってます!」
第1歩兵連隊長、塚原鐵男大佐は指揮所で唸り声を上げた。
現在連隊直轄の情報小隊から偵察班を送り込んで偵察活動を行っているが、まだ詳細な情報は掴めていない。
少なくともテレビのニュースで斯衛軍が訳の分からないことを述べて戒厳令を東京全域に発布したことは皆が承知していた。
なんとしても展開している斯衛軍を全て打ち倒し、戒厳令を取りやめなければならない。
その為には情報が必要であった。
「連隊長!大変です!統参議長が!」
「斎藤さんがどうした!」
門正面に展開する小隊の若い少尉が慌てて指揮所に駆け寄って塚原大佐に報告した。
「市ヶ谷を脱出した統参議長及び幕僚団が練馬駐屯地に到着!議長は現在師団司令部に向かっています」
「そうか!そうか!」
塚原大佐は安堵した、少なくとも軍のトップは生きている。
斎藤大将は当初BETA派遣軍で活動していた時期もある経験と能力を備えた人だ。
これなら勝てる、塚原大佐はそう信じた。
脱出した斎藤大将ら市ヶ谷の幕僚団は戦闘状態に移行した第1師団司令部に合流した、時間帯としては11時20分頃である。
斎藤大将が司令部に入ると第1師団司令部の幕僚らに敬礼で迎えられた。
「斎藤さん!よくぞご無事で!」
師団長亀井輝少将は敬礼し握手で斎藤大将を出迎えた。
「ああ、なんとかね。この状況下では朝霞に移る暇はない、ここを臨時の反乱軍鎮圧司令部とするぞ」
「了解、直ちに第1師団全部隊に出動を命じます」
「うん、まず市ヶ谷を第1連隊を持って解放しよう。第1連隊と第32連隊で永田町まで斯衛軍を押し返す」
地図を基に作戦の概要を話した。
市ヶ谷を解放して庁舎を奪還し、2個連隊の戦力を持って斯衛軍を押し返す。
「恐らく第1空挺旅団はもう動いているだろう、江東区、墨田区から第1空挺で押し切り、海上からは木更津、横須賀の部隊で強襲する。東京を取り戻すんだ」
「はい!」
ここは市ヶ谷とは違って通信妨害は受けていないし戦力もある、第1師団と第1空挺旅団、横須賀の海軍特別陸戦隊と第一艦隊によって全方位から打撃を与えれば必ず打ち倒せるはずだ。
今もなお市ヶ谷、霞ヶ関の警察官庁街は抵抗し続けている、彼らの闘志を無駄にしてはならない。
「直ちに入間、横田、下総、木更津の航空基地に出動を命じろ。移動する陸軍部隊の支援に付ける、終わったら朝霞、横須賀、入間の三軍総長と総軍司令官に連絡を取る。キャンプザマの米軍にもだ!」
「分かりました」
「京都の様子も気になる、まず中部方面軍司令部にも連絡を取れ。その次に東北、北部、西部方面軍とも連絡を付けるぞ、少しでも多くの情報を知りたい」
恐らく中部方面軍、特に第3師団とは連絡が取れないだろうと斎藤大将は考えていた。
ここまで派手に動いて命令も将軍から下されたと宣言したのだ、武家の本拠地たる京都では東京より酷い有様となっているはずだ。
それに地方でも斯衛軍の地方部隊が動き始めているかもしれない。
そんな考えを巡らせていると1人の通信士官が大声を上げた。
「えっ!?何!?うん、うん、分かった、とにかく練馬まで護送しろ。すぐに援護を送るように要請するから、頼んだぞ」
「何があった」
斎藤大将が尋ねるとその通信士官は一呼吸置いて報告した。
「総理が見つかりました」
「何!?」
「文京区で一部党幹部と会食中、斯衛軍のクーデターを確認し辛うじて今まで隠れていたらしく、帰還中の偵察班と合流し、現在練馬に向かっています」
「とんでもない悪運の強さだな……」
ある参謀が感嘆の声を上げた、ここまでくると安堵の気持ちより関心の方が強くなる。
「1個小隊を用いて総理を練馬駐屯地までお連れしろ」
「了解」
首相と皇帝は確保出来た、これでどちらが官軍かはっきりするだろう。
勝利は見えてきた。
その頃千葉県から渡ってきた第1空挺旅団、松戸駐屯地と下志津駐屯地から展開した高射砲兵群と共に江戸川周辺で展開した斯衛軍と戦闘が発生していた。
第1空挺旅団は江戸川大橋を制圧し、江戸川区から江東区に侵入しようとしていた。
当然これを迎撃する為に斯衛軍の一部が展開していた。
江戸川を挟んだ間で斯衛軍と日本軍の銃撃戦が勃発しており、定期的に”瑞鶴”が第1空挺旅団の展開地域に実弾も含めた突撃砲弾を叩き込んでいた。
当然だが突撃砲の実弾なんか喰らえば家であろうとひとたまりもない。
周辺住民は斯衛軍と第1空挺旅団が展開し始めた段階から一斉に避難を開始した為人死は少なかったが、被害は当然大きい。
「まず侍どもの戦術機を堕とせ!!そうすりゃあ後は木偶の坊だ!」
佐藤大尉は江戸大橋の間で停車中の車両の後ろから身を乗り出して相手に向けて牽制射撃を叩き込んだ。
その間に中村一等兵や高梨一等兵の分隊が前進し、更に手前に展開する車両へと移った。
「おい、詰めろよ。弾当たっちゃうだろうが」
「こっちだって余裕ないんだよ」
「斯衛軍来てるぞ!」
仲間の報告を受けて小銃班が一斉に射撃を開始し、移動中だった斯衛兵の何人かを仕留めた。
仲間がやられたことに驚いたのか近くに展開する斯衛軍部隊は一切動かなくなった。
部隊長と思わしき将校が前に出て前進を促すが一向に進もうとせず、その将校も空挺隊員の狙撃班によって始末された。
その間に84mm無反動砲を装備した対戦車班が江戸大橋の真下に陣取り、まず2名が一斉に攻撃を開始した。
2発の弾頭が発射されそのうち1発がシールドに直撃し、もう1発は突撃砲のカートリッジに着弾した。
カートリッジ内の弾薬が誘爆し、”瑞鶴”の右腕ごと爆散した。
混乱する”瑞鶴”の攻撃とガードが崩れ、その隙にあらゆる場所から57mm無反動砲や機関砲の応射を受け、その”瑞鶴”は撃破された。
『ホワイトバーチ8がやられた!』
『ここは市街地の後ろに後退を!』
『バカっ!今は飛ぶな!』
編隊長の命令も聞かずに飛び上がった”瑞鶴”が後方の市街地から発射される機関砲によって即座に撃墜された。
今のは松戸駐屯地から出撃した第2高射砲兵群が有する
高射砲兵は元々対空部隊として航空機の迎撃を担当していたがBETA大戦以降は機関砲車両を用いて小型種の掃討を行うようになっていた。
この三八式も歩兵部隊から流れてきた
現在三四式戦車ベースの自走対空砲の開発も進められているが、現在の主力はこの二〇式である。
機関砲は簡易レーダーを取り付け、”瑞鶴”が上がった瞬間に攻撃を叩き込んだ。
”瑞鶴”の破片が川や周囲の土手に落ち、下敷きになった何人かの兵士が負傷した。
『クソッ!これじゃあ機動力も何もないじゃないかよ!』
編隊長は実弾による威嚇射撃を放ちながら、河岸の向こうにハイドラ70ロケット砲の弾頭を叩き込んだ。
本来機動力と様々な武装が装着可能なことが取り柄の戦術機を市街地という機動力が妨げられる環境で用いている為性能を活かしきれていない。
特に”瑞鶴”はF-4をより機動力のある機体へ割り振った機体であるから尚の事だ。
本来は右に左に動き回って火力を投射するのが仕事なのだが、こうも着陸地点が妨げられている住宅密集地ではそうも行かない、棒立ちで戦うしかないのだが戦いとしては下の下であった。
一方の歩兵部隊は今までの経験故か戦術機を頼りにしているところがあり、”瑞鶴”が何機か落とされるとかなり指揮が低下した。
しかも正面にいるのはの第1空挺旅団である、勝てる訳がない。
まだ真面目に戦おうとする将校や下士官らも粗方やられ、残った兵士達はもう限界に近かった。
よく分からないまま出撃命令が出され、戦う相手は同じ日本人、理由はまだ分からなくもないがここまでする必要があるのかと疑問が湧いてくる。
そんな状態の兵士達が取る選択はあっさりしている。
「中村ァ!先頭行けェ!」
「ちくしょう、後で絶対殺してやる!」
中村一等兵を先頭に空挺分隊が突撃し敵陣地の手前まで接近した。
すると陣地からは応戦するどころか小銃を捨てて守備兵らが投降し始めた。
「待って撃たないで!降伏する!戦闘は止める!」
「なんだと!?」
「本当だ!武器も全部捨てる!許してくれ!」
斯衛兵らは装備していた二四式小銃や二六式鉄帽を捨て、戦闘ベストの手榴弾や拳銃もその場に置いて両手を上げた。
まさかの展開に空挺隊員らは困惑しながらも武装解除を進めた。
武器を下ろした兵士は橋の側に並べ、両手を頭の後ろに置いたまま地面に座らせた。
するとその様子に気づいた”瑞鶴”が彼らの方を向いた。
衛士の大尉からすればあり得ない光景だ、斯衛軍が将兵が日本軍に投降しているのだ。
大尉は武家の位としては中流といったところだが幾つかの譜代武家と関わりがあり、斯衛軍という居場所にも誇りを持っていた。
そんな彼からすれば斯衛兵が投降するなどあってはならない事態であり、彼らを見ると怒りが湧いてきた。
『貴様らぁ!投降など許さん!!』
怒りに任せて大尉は”瑞鶴”の突撃砲を投降した兵らに向け、引き金を引こうとした。
「うわぁぁぁぁ!」
「退避だ!!」
「ちくしょう!」
各々が応戦しながらその場を離れようとする中、中村一等兵は陣地に落ちていた57mm無反動砲を見つけ、滑り込むように土嚢の裏に隠れて無反動砲を拾った。
弾頭が入っていることを確認すると中村一等兵はこれを構えて、”瑞鶴”に向けて発射した。
防御が遅れた”瑞鶴”は頭部に直撃し、視界を失った上に衝撃によってバランスを崩し大きくよろけた。
そこへ対岸に展開する部隊から84mm無反動砲が叩き込まれ”瑞鶴”は撃破された。
「戦術機を仕留めた!」
「中村がやったぞ」
「ありゃあまぐれだよ」
「大当たりだな中村!景品として斯衛軍からなんか取ろう」
「見に行こう」
後続の部隊に捕虜を任せ中村一等兵らはフェンスを飛び越えて堤防に倒れ込む”瑞鶴”を見に行った。
白い”瑞鶴”は度重なる攻撃で煤汚れ、被弾箇所からは煙と火の手が上がっている。
辛うじて生きていたコックピット内の大尉を引き摺り出して捕まえた。
「せっかくだ、何か書いておこう」
背嚢に入れていたペンを取り出し、撃破した”瑞鶴”の装甲に文字を書き始めた。
「体力友終班中村、一番槍っと」
「何をしとるか中村ァ!!さっさと上がってこい!」
佐藤大尉の怒声が真夜中の江戸川に響き渡った。
-日本帝国領 神奈川県 横須賀市 横須賀鎮守府-
皇居から脱出した皇帝一家が地上に出て海軍が用意した車に乗車されたのは11時25分頃のこと、横須賀鎮守府に到着されたのは12時丁度であった。
既に陸戦隊の主力部隊は出撃準備を整え、11時33分に練馬駐屯地に設置された反乱軍鎮圧司令部からの命令で海軍特別陸戦隊は出動を開始した。
横須賀鎮守府が同部隊に出した命令は2つ、1つは現在斯衛軍によって占領状態にある羽田空港の解放、もう1つは東京タワー、米軍ヘリポート基地など東京施設の解放であった。
主力は東京方面に向けられ、羽田空港に向かったのは1個中隊程度である。
無論支援として”出雲”の海軍航空隊、F-14JとF-16NJの飛行隊に出撃した第一艦隊がつけられた。
事前に出撃準備を整えていた”出雲”は他艦艇に先んじてドックから離れ、海原から航空隊を飛ばした。
「F-14J、E-2から先に飛ばせ。F-16NJは後でいい!」
艦長の命令で早期警戒機のE-2とF-14Jが先んじて出撃し、その後にF-16NJの部隊が甲板から夜空に飛び立った。
夜間出撃の為若干手間は取ったが陸戦隊との共闘を鑑みればまだ遅れは取っていない。
夜の暗闇を海軍機塗装のF-14Jが12機、羽田空港を目指して出撃した。
一方横須賀では他の艦艇も続々と出撃を開始し、”出雲”を旗艦とした第一艦隊が東京湾内を航行し始めた。
更にこれに呼応して木更津駐屯地の陸軍航空隊が出撃を開始、陸軍が装備するF-1支援戦術機部隊が海軍航空隊と合流した。
『各機、羽田に取り付いている戦術機部隊を叩き落とせ。恐らく3割でも削られれば一気に押し込める、地上戦は全て陸戦隊に任せるぞ』
『了解』
『木更津の航空隊は東京の方を頼む、我々の分まで陸戦隊のサポートをしてくれ』
『了解した、羽田のメインディッシュは預けるよ』
飛行隊長の命令を受諾すると早速展開したE-2が敵部隊の動きをキャッチし、他の戦術機に共有した。
羽田空港に展開する何十機かの戦術機が迎撃の為に空に上がってきた。
”瑞鶴”の姿がF-14Jのレーダーにくっきり映っている、装備は突撃砲3丁に近接用長刀、何基かのハイドラロケット弾を装備したポッドにAIM-7スパローとAIM-9サイドワインダーを装備している。
編隊を組みながら迎撃隊形を取っているがまだ交戦可能距離に到着したと思っていないのか仕掛けてくる様子はない。
であれば先手必勝、こちらから仕掛けるのみ。
『中央の戦術機部隊に攻撃を集中する、全機攻撃開始』
F-14Jは補足した”瑞鶴”にターゲットを当て、ロックオンすると衛士らが操縦桿の引き金を引いた。
F-14Jが装備しているAIM-54フェニックスが各機2発ずつ発射し、若干移動しつつロックオン状態だけは維持し続けた。
海上を飛行する”瑞鶴”はミサイル接近の警報を聞くと即座にチャフを展開しつつ、回避機動に移ったが回避機動の方が若干疎かになっており、一瞬で3機の”瑞鶴”が撃墜された。
AIM-54の直撃を受け、炎上する白い”瑞鶴”がそのまま東京湾に墜落し、沈んだ。
一瞬のうちに3機も撃墜されたことにより斯衛軍の戦術機部隊は動揺し、編隊が崩れた。
そもそも正面戦力が一瞬で消し飛んだことにより通常のセオリーが崩れているのだ、その隙をついて更に何機かのF-14JがAIM-54を発射し、もう1機撃墜した。
混乱した”瑞鶴”は近接戦に持ち込もうと最大速度で接近したがむしろ判断ミスと言っていい。
何機かのF-14Jが突撃砲の牽制射撃で相手の足を止めつつ、AIM-54の至近距離発射で確実にトドメを刺した。
他の”瑞鶴”もF-14Jに向けてAIM-7スパローやAIM-9サイドワインダーを発射したがチャフとフレアを展開して確実に回避機動を取り、その間に別の機体がAIM-54を発射した。
突撃砲が相手の致命打になるほどの至近戦だと”瑞鶴”ではAIM-54フェニックスは回避が間に合わない。
しかも撃墜されればされるほど戦力差の開きが確実なものとなり、”瑞鶴”の格闘戦能力を発揮する前にAIM-7と突撃砲の集中攻撃を喰らってまた1機撃墜された。
『クソッ!スペックが違いすぎる!』
『土台無理なんだ!ファントムでトムキャットに勝とうなんざ!』
『バカ言うな!”瑞鶴”の近接戦能力でっ』
赤い”瑞鶴”がAIM-54フェニックスの直撃を喰らってそのまま海面に墜落した。
半分以上の”瑞鶴”が撃墜され、残りは羽田空港内にほぼ疎に撤退しようとした。
無論執拗な追撃により、”瑞鶴”は次々と撃墜されていった。
結局出撃した”瑞鶴”のうち羽田空港まで辿り着けた機体は1機もいなかった。
そして同じ頃、攻撃準備を終えた海軍特別陸戦隊の1個中隊が羽田空港を占領する斯衛軍に対して攻撃を開始した。
まず穴守橋の防御陣地に57mm無反動砲が叩き込まれ、爆発の衝撃で数人が死傷した。
そこへM2ブローニングが支援射撃を叩き込み、この間に陸戦隊員が突入を敢行した。
手前の防御陣地を完全に制圧し、手榴弾を投げて別の陣地も黙らせながら他の分隊が前に出る。
支援射撃が一旦止んで攻撃を再開出来る頃には土嚢の裏に陸戦隊員が取り付いており、即座に手榴弾が投げ込まれて一気に殲滅された。
「車両は奪取して運用する、残りは前進を続けろ!」
小隊長が最前線で指揮を取り、橋を塞いでいる斯衛軍の三三式APCを奪取して陸戦隊員が取り付けられてあるM2ブローニングで斯衛軍の陣地を攻撃した。
数分もしないうちに穴守橋の半分以上が陸戦隊員によって占拠され、斯衛軍の守備は崩壊しつつあった。
タイミングを見計らって弁天橋の方面からも1個歩兵小隊が攻撃を開始した。
57mm無反動砲を何発か叩き込み、こちらもM2ブローニングの援護射撃と共に陸戦隊員が前進した。
「こちら第4小隊!日本軍の強襲を受けてる!至急応援を!応援を!」
『こちら中隊本部、外縁守備隊は空港内まで退避せよ』
「退避!?」
戦闘中の小隊長は土嚢から頭を出して周辺の様子を確認した、端的に言えば絶望の二文字で表せられる状況だ。
接近してくる部隊の装備は海軍特別陸戦隊のもの、到底歩兵戦で敵う相手ではない。
事実、強襲が始まってから正体は一方的に蹂躙されている。
「もう、終わりだ」
羽田空港に繋がる橋を防衛していた小隊は丸ごと降伏を選んだ、小隊長の命令で全員が武装解除して投降し、穴守橋も弁天橋も海軍特別陸戦隊によって占拠された。
当然その様子は羽田空港内に展開する斯衛軍部隊も確認していた。
橋を確保した特別陸戦隊が次々と鹵獲した車両やそもそも装備している三三式らと共に羽田空港内に突入し、外の守備隊を一蹴していく。
頼みの綱の戦術機部隊も予備の3機を残して出撃したまま帰ってこない、しかもその3機も飛び上がった瞬間に何処かからミサイルを受けて撃墜された。
占領部隊は建物内からも攻撃を開始したが装甲車両によって攻撃を防ぎつつ、前進した部隊が建物内への突入を開始した。
”出雲”から発艦したF-16NJ部隊がこの段階になると制圧された羽田空港内に着陸し、滑走路を制圧した。
「日本軍機が滑走路に着陸、タイプはF-16NJと思われます!」
「敵歩兵部隊が整備場に突入、現在守備隊が増援を要請中!」
「東京から増援を要請しろ!戦術機部隊はどうした!」
「要請中の1隊は東京湾でロスト、それ以降増援要請は承諾されていません!」
東京湾の上空をF-14JとF-16NJが展開している以上斯衛軍の戦術機は接近出来ない上に、第一艦隊がゆっくりと東京方面に向かってきていた。
艦隊防空がそのまま東京湾内に展開されたら斯衛軍戦術機部隊は完全に制空権を失う。
かといって対艦攻撃を行おうにもF-16NJとF-14Jが展開しているうちはまず防空圏を突破することすら出来ない。
ゆっくりと死神の鎌が斯衛第二師団に近づきつつあった。
少なくとも羽田空港に展開する斯衛軍はもう王手がかけられている。
各所ではまだ占領部隊が抵抗中であったが、一部では勝手に持ち場を放棄して投降し始める兵が相次いだ。
海軍の戦術機が滑走路を占領した段階で外の状況を確認出来る兵士達は一気に戦意を喪失し、投降する者が多くなった。
まだ建物内に展開している将兵らは外の兵士らより指揮は高かったが、それでも不穏な空気感というのは感じ取っていた。
一番の理由は空港内で一時的に拘束状態にある民間人からの形容し難い軽蔑の視線であった。
命令で動いているだけなのにさも自分が悪いと言っているような冷たい養豚場の豚を見るような目線。
斯衛兵が持つ小銃より前の大戦で工場に降ってきた爆弾の方が怖いという人が斯衛兵に向けて怒鳴りつけていた。
「ワレェ!どないなってんじゃ!俺は明日から海外出張で先方と大切な会合があるんやぞ!これで俺が会社に首切られたらどないしてくれんじゃボケ!!」
「分かりました、分かりましたから座ってください」
「分かってねえだろボケ!三下侍が調子乗ってんじゃねえぞ!」
「誰か取り押さえろ!」
各所で拘束されている民間人の不満は爆発しつつあった、その影響で下士官兵、下級将校の士気は完全に低下していた。
そこへ完全武装の海軍特別陸戦隊が突っ込んでくる。
ドアを蹴破りM231 FPWを装備した陸戦隊員らが一瞬のうちに状況を確認し、先頭にいた小隊長が全体に命令を出した。
「全員動くな!!日本海軍特別陸戦隊だ、直ちに武装を解除して投降しろ!」
その間に他の班が周辺に展開し、室内の斯衛兵を取り囲んだ。
斯衛兵は小銃を構えたがこの状況で発砲すればどうなるかを即座に考えて恐怖し、引き金に指をかけられなくなった。
現場の斯衛軍小隊長はまだ抵抗しようと拳銃を構えて銃口を陸戦隊員らに向けているが、状況は絶望的だ。
しかも後方からは続々と他の陸戦隊員らが突入し、指揮所や管制室の方向へ移動した。
このままでは部隊全体が投降するのも時間の問題だろう、後はもう早いか遅いかの違いでしかない。
「……投降する」
小隊長は拳銃を捨てて戦闘ベストを脱いで両手を上げた。
それを見た他の下士官兵も二四式小銃を床に置いて戦闘ベストの武装も地面に置いて両手を上げた。
命令を受けた陸戦隊員らが斯衛兵を拘束して武装を手に取りながら一箇所に纏めた。
「第3小隊より中隊本部へ、ロビーを確保、守備隊の武装解除を行い展開地域には民間人を多数確認。指示を求む」
『中隊本部より第3小隊へ、民間人は空港外の駐車場まで移送せよ。増援部隊をそちらへ送る』
「了解、南田軍曹!麾下の班は民間人の誘導を頼む、駐車場まで連れ出せ」
「了解」
「皆さんご迷惑をお掛けしました!ですがもう安心してください、これ以上戦闘の心配はありません!立ち上がっていただき、1階の皆さんから順番に焦らずゆっくり外の駐車場まで移動してください!焦らずゆっくりです、怪我をされた方がいましたら必ず申告してください!」
拘束されていた一部の民間人や空港職員は解放され、身の安全を得た。
一方突入した陸戦隊員らは占領部隊の指揮所を強襲し、占領部隊の守備兵と交戦となった。
とはいっても相手は特別陸戦隊、常設の最精鋭部隊であり室内での戦闘も普通に押し切られていた。
「最早陥落も時間の問題か…!」
「すぐそこまで陸戦隊が迫ってきています…!!」
部下の中尉は腕を撃たれて負傷しており、衛生兵によって治療を受けていた。
占領部隊の指揮官は全てを諦め、悔しそうな表情で軍刀を抜いた。
「全部隊に戦闘停止と降伏を命じろ、もう手遅れだ。師団司令部には羽田空港が陥落した旨を伝えろ」
「……無念です……!」
「君らは後学の為見ておくと良い、大尉」
「ハッ!」
自身の拳銃を部下の大尉に預け、占領部隊の指揮官は制服を脱いで半裸となり、刀を腹に当てた。
「武家の末永い繁栄をっ!」
羽田空港を占領した部隊の指揮官は第二師団で一番最初に自裁を選んだ男となった。
4月6日0時20分、羽田空港は海軍特別陸戦隊によって奪還された。
-日本帝国領 東京上空-
上空を飛行するF-4Gタイプの”瑞鶴”はそろそろ燃料の問題から予備機の部隊と交代を開始した。
地上には幾つかの広場に戦術機用の補給地点が設置されており、電子戦部隊の”瑞鶴”は新宿御苑の補給地点に移動し始めた。
その移動タイミングが狙い目であった。
入間基地から発進したF-15J、本来は入間基地に存在しないのだがBETA大戦で新たに設立した戦術機飛行隊が制空権確保の為に出撃した。
同じく下総海軍航空基地からも戦術機部隊が発進していた。
下総教育航空群、日本海軍のパイロットを育成する部隊であり、艦載機部隊のパイロットを育成する為に戦術機部隊も有していた。
出撃したのは教育部隊用のF-4EJ改、まだF-14JやF-16NJは配備されていなかった。
更に海軍特別陸戦隊の支援として木更津駐屯地から発進したF-1支援戦術機も間も無く戦闘空域に到着する段階であった。
陸海空、三軍の戦術機が斯衛軍の戦術機を撃破する為に出撃した。
彼らの優先任務は制空権の確保であったが一番は上空の電子戦機の迎撃であった。
『各機、狙いは電子戦機だ。他の雑魚は無視しろ!』
隊長機からの命令を受け、他の衛士達も覚悟を決めたように了承した。
東京のような大都市で空中戦を行えば破片や落下物の被害が必ず地上に出る、だが戦わなければ日本帝国の秩序に影響する。
そもそも斯衛軍がこんなことをしなければ良かったのだ、大人しく消えてくれればこれ以上の人死は出なかったはずだ。
レーダーが迎撃の為に展開する斯衛軍の”瑞鶴”を確認した。
『各機戦闘開始、なるべく地上に被害は出すなよ!』
『了解!』
とは言ったもののF-15J側が空対空ミサイルを発射して先手を取ることはなかった、双方市街地での被害を考慮してだ。
もし撃って地上に甚大ではない被害を出したらどうしよう、もし撃墜した相手が地上に墜落したらどうしよう。
斯衛軍側の衛士だってこのような状況下でそんな責任は負いたくなかった、誰だって民間人を踏み潰して戦うようなことはしたくない。
これがBETAによって蹂躙されつつある街だったらそうも言っていられないので無茶苦茶やれたが、今回はクーデターだ。
それに今日も明日も平日、まだ働いている会社員だって大勢いるしそろそろ銀座や歌舞伎町で乾杯と洒落込もうとする会社員も数多くいた。
避難誘導なんてやってる暇はなかったし斯衛軍を行っている様子もなかった、そんな状況下で火力の全力投射は難しい。
結果、お互いに中々戦闘の火蓋は切られなかった。
徐々に接近しつつ突撃砲の有効射程距離に入ってもやはり奇妙な睨み合いが続いていた。
しかしこの睨み合いを打破する者が現れた、斯衛軍の赤い”瑞鶴”だ。
『貴様ら!早く撃たんか!』
『隊長!待ってください!』
赤い”瑞鶴”は問答無用でAIM-7スパローを発射し、突撃砲でF-15Jを攻撃した。
発射されたスパローを回避する為にF-15Jはチャフを発射し、回避機動に移った。
幸いにもスパローがF-15Jに直撃することはなく、目標に命中し損ねたスパローはそのまま自爆した。
赤い”瑞鶴”によって戦端は開かれ、他の”瑞鶴”も仕方なく応戦し始めた。
しかも相手の空対空ミサイルを回避する為に市街地に隠れて応戦し始めたのだ。
『クソッ!民間市街地を盾にしてやがる!』
『回り込んで仕留めろ!こうなった以上我々も市街地を経由して戦うしかない!』
何機かのF-15Jが市街地に入り、市街地の裏に隠れている”瑞鶴”を捉えて各所で包囲しながら殲滅した。
突撃砲はなるべく単発で、民間被害を防ぐ為に爆散させないように心がけた。
彼らは元々中東での戦いを経験している衛士らであり、場所は違えど高低差のある地域を回って戦うのは経験があった。
タンタンッという音と共に跳躍ユニットや頭部に弾丸が撃ち込まれて”瑞鶴”が行動不能となる。
他の”瑞鶴”は弾幕射撃を展開して接近を阻止しようとしたがF-15Jの機動力には及ばなかった。
既に正面展開していた”瑞鶴”が3機ほど撃墜されていた。
『各機都市部に入り込みすぎるな、地上部隊が撃ってくる可能性があるぞ!』
戦術機の装甲なら歩兵が携帯可能な無反動砲や地対空兵装でも十分なダメージが与えられる、場合によっては致命打だ。
現在地上に展開しているのは主に斯衛軍である為入り込み過ぎれば逆にやられかねない。
『クリプトメリア8、9は近接装備の持ち替え接近戦を仕掛けろ、残りは援護だ』
『了解…!』
『了解!』
自分は行かないのかと思いつつ隊長から命令を受けた2機の”瑞鶴”は近接用長刀を手にし、強襲の為に市街地から回り込んだ。
日本空軍側もこのままではジリ貧だと例え市街地に損害を出してでも早急に仕留めようと覚悟を決めた瞬間、レーダーに新たに機影が映った。
2機のF-4タイプの戦術機、それも斯衛軍の識別番号を放っている。
『なんだ!?』
『あれは、”瑞鶴”だ!しかもあの2機は…!』
赤と青の”瑞鶴”、1ヶ月と少し前に北海道の大地で英雄として名乗りを挙げた若き武家のエース。
崇継と介六郎の”瑞鶴”であった。
「こちらは斯衛軍所属、斑鳩崇継大尉である。斯衛軍各機に通達する、直ちに戦闘を停止し降伏せよ。繰り返す、直ちに戦闘を停止し降伏せよ」
『降伏だと!?』
『斑鳩大尉、状況を詳細に報告せよ』
日本空軍側からの要望を聞いて崇継は状況を説明した。
「東北守護軍司令部が得た情報では信真公の館は反乱軍の襲撃を受けて炎上中、斯衛軍に通達された情報は全て偽の情報だ。全ては国権を簒奪し、我がものとする一部の奸臣が招いた叛逆行為だ!故に全斯衛軍将兵は直ちに戦闘を中止せよ!」
この情報は少なくとも戦術機の通信回線には全て渡っており、電子戦機の”瑞鶴”が妨害を行うまで全戦術機部隊に通達された。
明らかに斯衛軍の衛士らに動揺が広がっている、元々突拍子もない理由で出撃させられた上に尊敬する武家の貴公子がこういうのだから仕方あるいまい。
だが中には一切の動揺を見せない者もいる、そのような者に限って事情を全て知っていたりするのだ。
部隊長の赤い”瑞鶴”は通信越しに崇継へ明確に反論した。
『斑鳩大尉、そのような誤情報に惑わされてはならない!我々の軍事行動は正当なものだ!』
「正しいことであればそもそも首都で兵を挙げ、世を乱す必要はないはずだ。それも同じ日本帝国の民に銃を向けるなど言語道断。同じ武家として、軍人として断罪しなくてはならない!」
『チッ!猊下といい大尉といい、どうして五摂家はこうなのだ!』
牽制の突撃砲を放ちながら長刀を手にし、赤い”瑞鶴”が斬りかかってきた。
崇継は易々と突撃砲の弾丸を回避し、タイミングを合わせて赤い”瑞鶴”の腕部を切り落とした。
しかも空中で切断された”瑞鶴”の腕部を手にし、敵機の跳躍ユニットに突き刺した。
バランスを崩した”瑞鶴”は地上にほぼ不時着し、部隊長は期待を放棄して脱出した。
周囲の”瑞鶴”は一切加勢せず、黙って見ていた。
そんな彼らに崇継は言い放った。
「今の話を聞いてもなお、反乱に与するとの意思あらば、この斑鳩崇継が相手しよう。どうだ!」
こうも啖呵を切られては衛士達はもう立つ瀬がない、彼らとて大半は戦いたくて戦っているわけではないのだ。
先ほどまでF-15Jと交戦していた”瑞鶴”が一斉に武器を下ろして投降した。
その様子を確認すると崇継は即座に次の行動に入った。
「介六郎、上の電子戦機を落とせ。私は地上の奴を潰す」
『はいはい……了解しましたよ…!』
崇継と介六郎の”瑞鶴”が別れてそれぞれの任務に移った。
崇継の”瑞鶴”はそのまま新宿御苑に展開する補給地点に強襲を仕掛け、応戦しようとする”瑞鶴”の腕部を切断するとそのまま補給中のF-4Gタイプの”瑞鶴”の首を刎ねた。
その上で電子妨害ポッドも破壊し、機体としての機能を完全に破壊した。
「後は……2箇所か」
崇継の”瑞鶴”は即座にその場から飛び去り、地上に着陸して補給中の電子戦”瑞鶴”の撃破に向かった。
地上では師団司令部が直接崇継機を迎撃しろと命じているが下士官兵にも人気が高い崇継を誰も撃とうとはしなかった。
崇継は即座に国立競技場に着陸した機体を突撃砲で撃破し、そのまま米軍ヘリポート基地に向かった、そこに最後の電子戦”瑞鶴”がいる。
『行かせるか!』
『奴を止めろ!』
迎撃の為に3機の”瑞鶴”が迎撃に出てきたが彼らが放つ突撃砲の弾幕射撃を躱し、一気に接近して長刀と四〇式近接刀の二刀流で一気に2機の腕部を切断した。
そのまま跳躍ユニットにも斬撃を入れてダメージを与え、残りの1機は取り出した近接用鍛刀を頭部投げつけて視界を奪った。
なんとか補給を終えた電子戦”瑞鶴”は飛び立とうとしたが、即座に脚部を長刀の一振りで切断されてバランスを崩した。
そのまま近くの多目的広場に叩きつけ、電子妨害ポッドを切り落とす。
これにより3機の電子戦”瑞鶴”が撃破され、一気に東京全体を覆う通信妨害の一角が消え去った。
「地上機は全て墜した、そっちはどうだ」
『こっちも空軍機と何とか堕とせた、これで東京全体の通信妨害はなくなったはずだ』
介六郎からの報告を聞いて崇継は安堵した。
これで第二師団の大半はクーデターから離反するだろう、真実を知れば戦いを望む兵など殆どいなくなる。
何よりその一番の理由となるものがこれから放送されるのだ。
0時45分、クーデターの状況を一変する放送が始まろうとしていた。
-日本帝国領 東京 港区及び渋谷区-
海軍特別陸戦隊の本隊が東京タワーの奪還に移ったのは0時25分、分遣中隊が羽田空港を堕としてから5分後のことであった。
まず芝公園に着陸した”瑞鶴”に集中攻撃を浴びせ、機体を破損させ戦闘不能に追い込む。
護衛の警備の兵士達は即座に応戦したがやはり練度の面で最精鋭の海軍特別陸戦隊には勝てるわけがなかった。
しかも木更津駐屯地から上がってきたF-1部隊が合流したことにより、陸戦隊側が航空支援を有することとなり、更に斯衛軍は不利になった。
陸軍航空隊と海軍特別陸戦隊の連携は以前富士演習場で訓練を行った為かそれなりに動けていた。
小柄なF-1が市街地の路地を器用に進み、なるべく地上に被害が出ないよう単発の突撃砲弾でダメージを与えた。
何輌かの車両が爆散し、その上空をF-1が飛び去った。
日本軍のように対戦車火器で戦闘しようと57mmや84mm無反動砲を持ち出す兵士もいたが、即座に地上を進む陸戦隊員に制圧された。
「クソッ!陸戦隊が相手なんて聞いてねえぞ!」
「逃げよう!やってられるか!」
一部では特別陸戦隊の猛攻を受けて斯衛兵らが勝手に装備を捨てて脱走し始めた。
結局彼らの殆どは旧守派の言う大義や武家の存続云々など一切理解していないし、今回のクーデターだって開始直前に言われた者が多数だった。
何なら武家制度という柵から抜け出した方が幸せに生きられる者も少なくない。
そんな彼らが特別陸戦隊という空挺と肩を並べるほどの精鋭部隊を相手に、最後まで戦うはずはなかった。
士気崩壊は伝染し、命令に従って戦っていた真面目な兵士も徐々に不安感に襲われ、戦いから逃げ出したくなる。
そんな状態を更に広げるかのように事件は起こった。
ソ連大使館から出撃した”ヴィンペル”、表向きは大使館の警備となっている部隊が秘密裏に包囲下の外に出ていた。
各所で独自の通信網を再構築し、作戦行動を開始した。
”ヴィンペル”部隊はあくまで1個分隊程度であったがそれでも十分な活躍を果たした。
指揮官のリヴェーシュニク大尉がハンドサインで命令を出し、1人の隊員が何かのスイッチを押した。
すると東京タワー守備隊の陣地が幾つか爆発を起こし、多数の死傷者を出した。
これに合わせて”ヴィンペル”部隊が戦闘を開始する。
永井坂方面で突如銃撃が発生し、何人かの兵士が撃たれた。
爆発に合わせての強襲、永井坂方面の守備隊は完全に混乱した。
「本部!本部!こちら第3班!永井坂方面から敵の強襲!数は分からない!とにかく増援をくれ!」
暫くの銃撃戦の後、”ヴィンペル”は静かに撤退し、十分な混乱のみを与えた。
彼らがこの時使っていたのは斯衛軍から鹵獲した二四式小銃であり、自らの正体を隠蔽する為に武装を偽証していた。
その為”ヴィンペル”部隊が実は動いていたという事実は戦後も明るみにはなっていないが、永井坂方面には特別陸戦隊が展開していないこと、そもそも陸戦隊は二四式は装備していないなどの点から噂レベルではあるが米ソの特殊部隊の工作ではないかと言われていた。
どちらにせよこの混乱は特別陸戦隊に有利に働いた。
混乱により士気は更に下がり、敵がもういない永井坂方面に増援を送った為その間手薄になった正面が打ち破られてしまった。
凡そ30分の戦闘の末に東京タワーは日本軍が奪還した。
同じ頃、渋谷区方面でも戦闘は勃発していた。
こちらには富士の麓にある滝川駐屯地から出撃した富士歩兵教導連隊が強襲をかけていた。
教導連隊には第1空挺旅団に待機命令が出た数十分後に出され、それから1時間後に市ヶ谷と完全に連絡が取れなくなると事前命令に従って出撃を開始した。
習志野の空挺旅団と違って富士の教導連隊はどうしても到着に時間が掛かり、実際に戦闘に参加したのは11時30分以降のことであった。
まず多摩川に掛かる橋を防衛していた外周部隊を蹴散らし、その後練馬に設置された司令部からの命令で現在包囲下にある目黒駐屯地、三宿駐屯地を開放し、攻撃優先目標をNHK及び代々木公園、米軍ヘリポート基地に設置した。
用賀駐屯地から一部の憲兵隊を駆り出して戦力を増強し、第3中隊及び第4中隊は駐屯地開放に送り出され、残りの2個歩兵中隊はNHK奪還に向かった。
当然だが歩兵教導連隊とは全国に展開するすべての歩兵連隊の手本となるべき存在であり、その練度は並の歩兵連隊と易々と比べられない。
そんな富導連と斯衛軍の通常歩兵部隊が戦ったらどうなるか、火を見るよりも明らかだ。
卓越した技量によって瞬く間に各所の陣地は降伏し、一部では車両まで鹵獲されて運用されていた。
今もNHK放送センターの手前で鹵獲された斯衛軍印の三三式APCが12.7mmで斯衛兵らを襲っていた。
市街地を車両と共に移動し、相手の車両を発見すれば84mm無反動砲を叩き込んで撃破し、建物の中に斯衛軍がいるならば分隊が突入して瞬く間に抑えた。*1
やがて彼らはNHK放送センターに突入し、中にいた指揮官を捕縛する戦果を挙げた。
このように港区、渋谷区からは陸海の精鋭部隊が通信放送施設を奪還し、更には襲来した崇継が電子戦機を仕留めたことにより通信インフラの麻痺は回復した。
これがクーデターの正当性にトドメを刺した。
NHK解放から10分後の12時55分、再び東京全域に放送がかけられた。
しかし今度は神奈川放送局の中継を東京の放送センターが中継するという形で放送が始まったのだ。
そこにいるのは日本帝国国民なら誰しもが目にしたことのある人物がいた。
日本帝国皇帝である。
かつてとは違いその存在は君主ではなく帝国の象徴とされるようになったが、それでも人々の敬愛の念は変わっていない。
そんな帝国の皇帝がテレビに出て放った言葉は今回のクーデターに対する批判と早期終結の要請であった。
皇帝陛下はかつて御自らが近衛師団を率いて鎮圧に当たると仰られた二・二六事件を引き合いに出し、今回の事件はこれに匹敵する大変残念なことであると述べられた。
その上でクーデターに参加している将校らには直ちに騒乱を取り止めるよう命じ、下士官兵には困難なことではあるが勇気を持ってクーデターから離れるよう言葉をかけた。
かつて二・二六事件の報告を聞いた時とは違い、皇帝は穏やかかつ自らの義務の範疇でクーデターに対する見解を述べられた。
それでも意思は一つ、皇帝はこのようなことをお望みではないし、絶対に許容することはしなかった。
彼らは帝国の象徴に、延いては帝国の君主に叛奉り、御意志に反する行動を起こした。
穏やかな言葉ではあったが確かな衝撃と義を失うだけのインパクトがあった。
この夜、彼らはたった一夜にして賊軍に成り果てたのだ。
それから首相の会見に放送は切り替わった。
首相の側には斎藤大将、亀井少将らが立っている、ここは練馬駐屯地の一角だ。
首相はテレビカメラの前で確かに宣言を行った。
『ええ、只今陛下からお言葉がありました通り、日本帝国政府は現在発生している斯衛軍による全ての軍事行動、戒厳令、軍事命令を容認し、行動させるつもりはありません。現在斯衛軍が全国で行っている全ての軍事行動は我が国に対する反乱と言っても過言ではありません。また日本帝国政府は現在発生している全ての斯衛軍の軍事行動に対して陸海空の日本三軍、日本警察の力を結集して早期的な鎮圧を実行する覚悟であります。繰り返しますが、現在発生している全ての斯衛軍による軍事行動、戒厳令、軍事命令は違法なものであります』
首相ははっきりと違法と述べた、斯衛軍のやっていることは反乱であり法秩序を乱すものだと。
そして首相は今後の対策を続けた。
『また我が国の政情不安は世界のBETA戦争戦略に多大な影響を及ぼすものでありますから、国連軍部隊への支援要請も視野に入れております。そして何より現在東京都内で戦う全将兵、全警察官の諸君は苦しい戦いが続くとは思いますが、必ず増援が到着しますので抵抗を諦めないで下さい。増援はきます、この放送が諸君の耳に入ってることが何よりの証拠です。ですから抵抗し、共に義務を果たしましょう』
この放送を聞いた第32歩兵連隊、市ヶ谷の全職員、未だ霞ヶ関で抵抗を続ける第五、第八機動隊員達、各所に展開する警察官達、東京駅から離脱してもなお戦いを続ける鉄機隊の隊員達に勇気を与えた。
増援が間も無く到着する、斯衛軍を返り討ちに出来る、この事は何より嬉しかった。
同時に首相は斯衛軍にも言葉を投げかけた。
『そして反乱に与する斯衛軍の将兵諸君には陛下も仰られた通り、直ちに抵抗をやめ、戦闘を終結させなさい。将校指揮官の諸君は部隊を駐屯地に帰し、下士官兵の諸君は勇気を持ってこの戦いより抜け出しなさい。今回の凶行に対し、我々日本帝国政府は強制的に参加させられた下士官兵らに対して寛大な処置を施すことを約束いたします』
戦いをやめろ、そうすれば罪には問わない。
なんとも甘美で戦いをやめたくなる響きだ。
最後に首相は繰り返し現在の斯衛軍の姿を述べた。
『最後に私から述べたいことは1つ、今の斯衛軍は賊軍そのものであり、我々は賊を野放しにしておくことはしません。賊の汚名を生涯背負いたくなければ今、勇気ある決断を下すことを我々は大いに望んでいます』
4月6日午前1時18分、日本帝国首相の会見は終わった。
この瞬間から斯衛軍は朝敵となったのだ。
つづく
ちなみにフェニックスで撃墜される瑞鶴を書いている時某所でふとシーオークなるものが生まれました
シーオーク「お前の折り紙のような戦術機が刃を振るうより先にッ!オデのフェニックスがお前の戦術機を“穿つど”ッ…!」
(F-14JのAIM-54が女侍瑞鶴を見事撃墜する)