あの海のリンリン   作:つるみ鎌太朗

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【⚠ 注意書き ⚠】

 この小説は『フ°リンフ°リン物語』の二次創作です。原作のその後を勝手にねつ造しているので、

「原作にないことを部外者が勝手に創作している」

 のが苦手な方にはおすすめできません。
 公式と無関係の者が想像で書いたものであるとご理解いただける方のみお読みください。


 また執筆している人間は2024年10月の再放送からハマった者で、全編視聴しているワケでも、メモリアルガイドを熟読したワケでも、ノベライズ版を読んだワケでもございません。
 設定に詳しい方からしたら『ナンだこれ?』という点も多々あるかもしれないので、そこは目をつむっていただければ幸いです。

 この時代に全編視聴かつ覚えている方がどれほどいるかはナゾですが、2003年に再放送された内容を把握していないので……そのあたりに詳しい方からしたら『ナンじゃコレ』かと思われます! すみません!

★本編が終わったあとの話なので、『DVD-BOX』で視聴できる範囲内でのネタバレがあります。
★ボンプリが結婚した設定なので息子が出てくるよ。他CPがお好きで許せないひとには特にオススメできないよ。
★他の旅の仲間の子どもも出てくるよ。というか、ボンプリ含め彼らが大人になった姿が出てくるよ。理想を持っている人はやめとこうね。
★フ°リンフ°リンの祖国はこんなところかな? という想像が出てくるよ。夢が壊れるのがイヤな方もやめたほうがいいよ。

 それでは、以上を踏まえて『おれはイけるぜ』という方のみ、どうぞ〜〜! ➡


第一話 アルトコのリンリン(1)

 

 

1、

 

「では、みなさんは海から何が生まれたか知っていますか」

 

 教室の窓の向こうできらめく青い海を指し、先生が問いかける。

 生徒みんなで窓をじっと眺めているとリンリンの耳もとで『キキッ』と自信まんまんの鳴き声がした。

 細長い指がリンリンの白いふわふわの髪を撫でる。

 

「キッキ、わかるの?」

 

 こっそり聞けばお猿のキッキがうなずいた。

 リンリンは手をサッと挙げる。

 

「せんせい、キッキがわかるみたいです」

 

 先生は切れ長の目を細めてコホンと咳ひとつ。

 

「しかし、キッキは生徒ではないのですよ。リンリン」

 

 みんなが甲高い声で笑うので、リンリンは慌てて手を引っ込めた。

 先生が教室を見回して落ち着かせる。

 

「では、オハナ」

 

 静かになった教室で、先生がリンリンの隣の席のオハナを指す。

 オハナがふたつに結んだ桃色の髪の片方を握る。つぶらな目が泳いだ。

 

「えーと……おさかな……? ですか?」

「魚も確かに海で生まれましたね」

「せんせい、貝もー」

 

 他の子が横から元気に付け加える。

 それから次々と海草だの深海魚だの、しまいには魚人だの、本気かどうかわからない答えまで出てきたが、先生はどれも『そうですね』と言った。

 最後に先生が教えてくれた。

 

「正解は『生命すべて』です。元はと言えば、ワタシたちはみな海から生まれた同じ生物だったのですよ。詳しくは、皆さんが高学年になってからのお楽しみ」

 

 きょうの授業はここまで。

 先生が黒板の板書をサッと消した。

 

2、

 

 リンリンは八歳の男の子。二年生で、きょう、アルトコ市について教わった。

 アル国アルトコ県アルトコ市。リンリンの暮らす町で、海が近い。どちらかといえば田舎。

 都市部にはテレビ局もビルもあるけれど、潮風が町全体に吹いて住む人も風のおもむくまま生きている。

 

 漁業がさかんだとか、アル中テレビは改名を考えているだとか、そんな話をしたあとで先生がああいう質問をしたのだ。

 

「キッキぃ、ホントにわかってたの?」

 

 廊下を歩きながらリンリンはそばで跳ねているキッキを覗き込む。

 キッキが『キキッ』と鳴いてリンリンの水兵服のリボンをキュッと握った。

 

 キッキはリンリンの親友のお猿。生まれたときからいつも一緒だ。

 薄茶色の毛並みはふわふわで、顔の中心で赤いお鼻をヒクヒクさせている。

 キッキがリンリンを見つめ返して長いしっぽを揺らした。

 

 向こう側に先生の姿が見えた。リンリンに気づいて、片手をあげる。

 

「リンリン。さようなら」

「せんせい、さようなら。またあした!」

「キキッキ、キッキー」

「キッキもさようなら。あすも良い子にするんですよ、騒いだら放り出しますからね」

「キィ〜〜〜ッ」

 

 先生が脅かすとキッキがリンリンにしがみついた。リンリンはアハハと笑う。

 

 こうは言っているが、キッキが特別に学校に来るのを許可されたのは先生のおかげだ。

 

 最初、リンリンが『ダメだよ!』と言っても学校についてくるキッキを学校側もどうすることもできなかった。

 校庭にポツンといるキッキは目立って仕方なく、他の生徒が『かわいいね』と指さしていた。ただ、他の子が好物のバナナをあげようとしてもキッキは近寄ろうとしなかった。

 そのままリンリンの下校時間までジッと待っている……。

 

 リンリンが入学して一ヶ月が過ぎたころ。先生が校長に『あれだけ利口なのだから教室に入っても問題は起きないと思います』と直談判してくれた。

 

 先生はリンリンのパパとママの友だちで、キッキのパパについてもよく知っている。キッキのパパもお利口な猿で、ナンと乗り物まで乗りこなしたらしい。

 

『その子どもなのだから、キッキも利口である。その証拠に他の児童が近づいても襲わず、餌を与えられても食べようとしない。リンリンの教室の窓をじっと見るばかり。つまり、リンリンの様子を伺っているのだ』

 

 先生は大体このような主張をして、校長を頷かせた。

 翌日からキッキは教室入りを許され、授業中はきょうのようにリンリンのそばで大人しくしている。

 

 キッキは恩人の先生の肩に飛び移ると、水色の短い髪をせっせと掻き分けた。

 

「キキ〜」

「いつも毛づくろいありがとう。でも、ワタシにノミはいませんよ。毎日おフロに入っていますからね」

 

 キッキが揺らすから、先生のメガネがすこしズレる。

 リンリンは手を叩いて笑った。

 キッキと先生が仲良くしていると、嬉しい。

 

「キッキ、せんせい困ってるよ。帰ろ?」

「キィ〜♪」

 

 リンリンが両手をひろげたらキッキが飛びついてきた。

 背中をよしよしと撫でてやる。

 

「リンリンは言わなくても大丈夫と思いますが、宿題の採点をママパパにやってもらってくださいね。おばあ様でもいいですよ」

「はぁ〜い」

 

 リンリンは大きなつばのあるセーラー帽を直す。ペンギンリュックの持ち手をギュッと握って、今度こそ先生と別れた。

 

 校舎を出ると桃色の髪をほうきのようなふたつ結びにした女の子が待っていた。教室でも席が隣のオハナだ。

 

 外はお日さまが照っていて、ぽかぽか暖かい。

 

「リンリン、遅かったね」

「せんせいと話してたんだ! ごめんね」

「いいよ。きょうは帰り、どこか寄るの?」

「どうしようかな。ヒマワリが咲いてるおうちの前にでも行く?」

「オハナ、あのおうち好き!」

 

 教室から出て、リンリンとキッキだけになるとオハナの顔が明るくなった。

 オハナとは生まれたときから友だちだ。だから、リンリンと話すときはスラスラ喋れる。

 

 教室だと周りの子に慣れないのか、きょうの授業のような喋り方になってしまう。

 二年生になるので、他に女の子の友だちもできたらしいけれど、帰りはやっぱりリンリンと一緒だった。

 

 夏のアルトコ市は吸い込む空気が熱くて、お腹からじんわり熱がこもるようだ。

 リンリンたちは風を起こすように腕を振って歩く。リンリンの水兵服のすそ、オハナの花柄ワンピースのスカートがなびく。

 キッキもしっぽをふりふり続いた。

 

「ねー、オハナちゃん。きょうの授業チョットむずかしかったね」

「そうだねえ。すべてのいのち……オハナたちも入ってる?」

「うん。ぼくたち、海から来たんだって。カナヅチなのに」

「カナヅチなのにねえ」

 

 リンリンもオハナもプールや海での水泳の授業はニガテだった。

 家族で遊びにいくときは浮き輪なのに、授業のときはナンで使ってはいけないの?

 先生に聞いたら『まあまず自分で練習してみましょうよ』と去年聞かされた。

 

 話しているうちにヒマワリの咲く家が見えてくる。

 早足で行こうとしたら、ものすごい速さで誰かが横切った。

 

 その『誰か』さんは少し先で止まり、 たった今乗っていたスケートボードをひょいと抱えた。

 リンリンたちよりノッポ。細長い身体に合わない大きめのTシャツ。片方だけつけたサスペンダー。だぼだぼで、すそのひろいズボン。

 水色の短髪の後ろ頭を押さえた、年上の男の子。

 

「よー、リンリン。オハナ」

「セイちゃん。もうカバン置いてきたの?」

 

 振り向いた『セイちゃん』ことセインは、リンリンたちより三つ上の十一歳。

 最近はずいぶん背が伸びて大人びたのに、家族ぐるみで仲がいいので前と変わらず構ってくれる。

 セインは脇のスケートボードを指さし、

 

「オレにはこの相棒! スケボーがあるからな。帰りも一瞬だぜ!」

 

 と歯を見せて笑った。

 セインは昔から運動神経がよく、竹馬、ローラースケート、そして最近ハマっているスケートボード、何でもすぐ乗りこなす。

 リンリンはとび色の瞳をキラキラさせた。

 

「セイちゃん、スケボーってスゴいね!」

 

 ただ、リンリンの背中にいるオハナが小さく呟く。

 

「はやすぎて、こわい……けがしない?」

 

 ちゃんと聞こえたのかセインは軽い調子で、

 

「ヘーキ、ヘーキ。今までケガしたことねーし、車が多いトコじゃ乗らねーよ」

 

 リンリンがセインに駆け寄るとキッキもついてきた。

 

「キキーキキキ、キッキ」

「ああ、キッキもいたのか。わざわざ学校に来るなんて変な猿!」

「セイちゃんのパパが言ってくれたんだよねえ」

 

 ステッカーがたくさん貼られたスケートボードを見つめてリンリンは言う。

 セインの父親はリンリンの担任の先生なのだ。だからリンリンは先生のことを学校に入る前から知っている。

 

 父親の話を聞くと、セインが明らかにムッとした顔になった。

 無視して話をあからさまに変えてくる。

 

「リンリン知ってるか? ものすごい美少女がアルトコ市に越してきたって話」

 

 リンリンは少し『あれ?』と首をひねったが、新しい話が気になった。 

 

「知らない。その子、どんな子?」

「それを確かめに行こうとしてんだよ。いっしょ来るか?」

「どこいるかわかるの?」

「さっき聞いたんだ。丘のほうにいるってさ!」

 

 セインは手を握りしめて、丘の方向を見上げる。

 リンリンも一緒に見た。上り道は少し急だが、ここから近い。

 丘上の空はいっそう青が濃く見えた。

 

「うん、行く!」

 

 かわいい女の子が気になるというよりは、リンリンはセインに誘われたので行くといった感じだった。

 リンリンにとってセインは兄のようなもの。構ってもらえると嬉しい。

 

 オハナにとっても似たようなものなのに、意外にも後ずさった。

 

「オハナ、知らないひと、ちょっと怖いかも……」

 

 肩から下げたショルダーバッグのひもを握っている。

 リンリンは『うーん』とうなった。

 

「じゃあ、セイちゃん。オハナちゃんといったん帰ってから来てもいい?」

「え〜。そうこうしてるあいだに美少女が移動するかもじゃん」

「でもオハナちゃん置いていけないよ」

「ン〜……そうだよなあ…………」

 

 セインとリンリンが話していると、オハナがだんだん背を丸くさせる。

 重そうなほっぺた。ほうきのように結んだ髪が背中にのっしと乗っかっている。

 

 キッキがオハナのそばへ寄った。

 

「キーキキキキ、キーキー?」

 

 首をかしげ、『自分がついて帰ってあげようか?』とでも言っているようだ。

 オハナはキッキを見下ろして答える。

 

「いいよ。オハナも行く!」

 

 リンリンからオハナの顔はあまり見えない。

 

「だいじょうぶ? 無理しなくていいよ!」

「ふたり困ってるから、行く……」

 

 とぼとぼとリンリンとセインのもとへやってくるオハナ。

 

「そうか? じゃあ、オハナは後ろから見てるだけでいいぜ。オレがいっちょ声かけてみっから」

 

 セインが軽い調子で言い、丘を指した。アスファルトの道に雑草が混じりだし、雑木林がひろがっている。

 三人と一匹の背を熱い風が吹きつけてきた。

 

好きなキャラクターを教えてください(原作キャラは含みません)

  • リトルプリンス・リンリン
  • キッキ
  • オハナ
  • セイン
  • マリン
  • ヤーブレとカーブレ
  • リンリンのおばあちゃん
  • リンリンのおじいちゃん
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