1、
「久しぶりだね。プリンセス・プリンプリン」
久しぶりに会ったトントンをプリンプリンは笑って出迎えた。
銀色の髪をお団子でひとつにまとめており、少女のころよりスッキリした雰囲気。桃色のベストの下に白いシャツを合わせている。
ベストと同じ色のロングスカートには、腰に巻いたサッシュを垂らしていた。
「本当に。懐かしいわ、トントン。
急に来るから、びっくりしたわ! あなたは昔からわたしを驚かせるのが上手ね」
耳のイヤリングを揺らして、トントンへあがるよう促す。
彼は会釈して入り、廊下を歩きながらプリンプリンへ微笑みかけた。
「プリンプリン、きみが変わっていなくて安心したよ。セインくんのスマホで声を聴いたとき、記憶のとおりの愛らしい声で……」
「まあ〜、トントンったら」
「写真で、姿は送ってもらっていたけどね。実際に会うのとでは大違いだ。
昔からかわいかったけど、さらに美しくなった」
「まあ〜!」
立て続けに褒められて声のトーンが上がるプリンプリン。
「そろそろおばさんと言われる歳になってきたのだけど……あ、いつまでも若いままでいたいってワケじゃないのよ。
でも、そんなに言ってくれたらヤッパリ嬉しいわ!」
「? ボンボンやリンリンは言わないの?」
「うふふ。毎日言ってる」
さりげなく日常をちらつかせつつ、リビングまで案内する。
ちょうど片づけたところでよかった、とプリンプリンはホッとした。
リンリンが散らかしがちな工作の本も子ども用のラックにしまってあるし、床のモップがけも済ませてあるし……。
トントンへ淡いベージュのソファへ座るよう勧め、飲みかけだったカップをキッチンまで下げた。
「リトルプリンスのお気に入りがいっぱいだ」
トントンの声が聞こえてきた。
片づけてはあるがラックには工作の本だけでなく、スケッチブックやクレヨン、ぬいぐるみが置いてある。
「そうなの。あの子、趣味が多くて……」
「うちに来たときもブレスレットのスケッチを持ってきていたよ」
「あのブレスレット、気に入って毎日つけているわ」
そそくさとテーブルまで戻ってきて、プリンプリンはトントンの向かい側のウッドチェアへ腰かけた。
「それで、何か用事かしら」
トントンへ問いかけると彼は表情を固くする。
真剣なまなざしにプリンプリンは大事な話なのだと身構えた。
重い沈黙を破り、トントンは低い声で切り出した。
「クイーン・アイリーンへお目どおり願いたい」
***
外で車の停まる音がした。
トントンへのブレスレットを作っていたマリンは、ふと顔をあげる。
窓からひょこりと顔を出し、外の様子を伺った。
トントンが手入れしている庭では花々が変わらず美しく咲いている。
その向こうに、見知らぬ黒い車。
マリンは驚いて身を屈めた。
窓から少し離れると車の様子を伺う。
車から二人おりてきた。
一人は紫髪の女。もう一人は――背が高く、体が大きい老人。
マリンがよく知る相手だった。
心臓が早鐘のように鳴る。
二人は屋敷の門にある呼び鈴に手を伸ばし……。
自室から離れた場所で来客を知らせるインターフォンが聞こえる。
音が絶え間なく鳴り続き、マリンは耳をふさいだ。
どうしよう。
見つかってしまった。
マリンの全身から冷たい汗が噴き出す。その場にしゃがみ込む足は震えが止まらない。
何度か手を離すが、まだインターフォンは鳴り響いていて、すぐに両手を耳に戻す。
トントン。
心の内でその名を呼んだ。
マリンを彼らから逃がしてくれたひと。
このアルトコ市まで連れてきてくれたひと。
トントン……なぜいないの……?
マリンは追っ手の驚異と孤独に闘いながら、彼の名を祈るようにずっと呼びつづけていた。
好きなキャラクターを教えてください(原作キャラは含みません)
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リトルプリンス・リンリン
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キッキ
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オハナ
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セイン
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マリン
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ヤーブレとカーブレ
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リンリンのおばあちゃん
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リンリンのおじいちゃん