4、
ボンボンたちはトントンの屋敷まで戻ってくると、まず彼を寝室へ運んだ。
彼の部屋だとマリンは言ったが、ベッドと簡素なテーブル以外に何もない。
「もしかしてベッドを使うのは初めてなんじゃないか」
トントンを横たわらせながらボンボンが言う。
プリンプリンとマリンはと言うと、別の部屋で待機している、ある人へ会いに行った。
一人残されたボンボンは動かないトントンを前に腕組みする。
さて、どうしたのものか。
ロボットの修理なんてやったことがない。
とりあえず片っ端から開いて部品に不具合がないか見てみようかな……?
などとボンボンが考えていると、
「私が指示を出すから、頼むからムチャはしないでくれ……」
目は閉じたままトントンの口が開いた。
突然のことにボンボンは後ずさる。
「わあッ! お前さん起きてたの」
「認識機能は生きてたよ……セーフモードなんだ。ラグがひどくて上手く動けない。
そしたらきみが考え込むようにしていたから、これはマズイ、と思ったんだ」
口以外動いていないトントンをふしぎそうに眺めながら、ボンボンはむくれた。
「ナンだよう、ひとが直してやろうとしてんのに」
「では聞くが、何をしようとしてた?」
「外せそうなところは全部外そうとしてた」
「二度と元の自分に戻れない気がするよ……」
そう言われてボンボンはさらに機嫌を損ねる。
「そんなこと言ってるとロケットパンチつけちゃうからな!!」
「できるものなら、やってみてほしいね。
……それで、マリンはどうした?」
付き合いきれない、といった様子でトントンが話題を切り替えてきた。
ボンボンも気を取り直して答える。
「マリンちゃんなら、お義母さんと話しにいったよ。朝から待っていたんだって?」
「そうか……クイーンと……」
トントンの声音に安堵が混じる。
指一本動かせないようだったが、そんな彼を見てボンボンもひとまず息をついた。
パタパタと軽やかな足音が聞こえてくる。
扉からプリンプリンが顔を覗かせた。
「トントン、目が覚めたの?」
「目は閉じたままだよ。せえふ・もおどだって」
ボンボンの言葉にトントンも声を被せてくる。
「心配かけたね、プリンプリン」
「まあ、話せるのね! よかったわ……」
プリンプリンはベッドのそばまで歩いてきて、寝かせられているトントンを見下ろした。
「せえふ・もおどはどうすれば解けるの?」
「指示を出すから、おれに修理しろ、だって」
「正確には体が動かせるまでの応急処置だね。それ以降は自分でできるから……」
トントンが説明するとプリンプリンがまじめな顔で申し出る。
「そう。じゃあ、わたしも手伝うわ! 早くやりましょう!」
一瞬、部屋が沈黙に満たされた。
ボンボンには理由がわかるが、プリンプリンは納得がいかない様子だ。
「どうしたの? 早く修理に取りかかりましょうよ」
彼女に急かされてトントンが重い口を開く。
「あの、プリンプリン。きみはちょっと……出ていてくれないか」
「ええっ、どうして? わたしだって、あなたの役に立ちたいわ」
本当に理由がわからないのか憤りさえ感じられる。
見かねてボンボンはコホン! と咳払いをひとつ。
「ねえ、プリンプリン。きみさ……おれ以外の男のハダカが見たいわけ?」
トントンの思いを間接的に代弁してやると、ようやくプリンプリンに伝わったのか彼女はみるみるうちに赤面した。
「あ、ああ〜……そういうこと……」
「トントンのことは、おれに任せなよ。トンテンカンテンってな感じで直したげるからさ」
ボンボンが胸を叩くとトントンから苦言される。
「ボンボン、私の体は精密機械だ。あまり乱暴をすると取り返しがつかなくなる」
「わ〜かってるって!」
「ほ、ホントかな……慎重に頼むよ」
トントンがこわごわ言うのにプリンプリンも不安そうだ。
「ねえ、やっぱりわたしも一緒にいたほうが……?」
「! いや、プリンプリンはいいんだ。ボンボンに任せるよ、ウン!」
そこはトントンが譲らないので、結局、彼女は気にしながらも部屋から出ていった。
再びボンボンとトントンで二人きり。
ボンボンはチラリとトントンを見やる。
「ロボットでもハダカを見られるのは恥ずかしいんだ?」
意外そうに言うとトントンは歯切れ悪く、
「恥ずかしいと言うより……彼女に、私が機械だとわかるようなところを見せたくない」
声でしか判断できないがトントンにも複雑な事情があるようだった。
ボンボンは肩をすくめる。
「まあ、そこは深くは聞かないでおくよ。それで? おれは何したらいい?」
チャッチャと終わらせるべく指示を仰いだ。
トントンはすこし間を置いてから、
「まず、下の階からバックパックを持ってきてほしい。そこにある程度の工具とパーツがある。それからだな」
「オッケー!」
忙しない足音とともに、ボンボンは一階へ降りていった。
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キッキ
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マリン
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ヤーブレとカーブレ
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リンリンのおばあちゃん
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