糸のように細まる目が、ふと大人たちの向こうでたたずむ少女を見つける。
「あッ、マリンもいる! どうしてそっちいるの? おいでよお!」
リンリンの明るい声に反してマリンは海色の瞳から大粒の涙を流していた。声もなく涙する彼女に大人たちが静まりかえる。
「マリーン」
リンリンが無邪気にマリンを呼ぶ。
カセイジンとオサゲが道を開けてやると、マリンは中腰のままでリンリンのもとへやってきた。
無事だったリンリンを目の前にして彼女は何も言えずにいる。
「あ……」
フラ、と伸ばした手にリンリンがしがみついた。
「マリン! やっぱり戻ってきたんだね。ぼく、信じてたよ!」
柔らかい頬も、ふわふわ揺れるプリズムの髪も、すべて現実。
マリンはリンリンの小さな手を引き寄せると泣き崩れた。
「ごめん、なさい……ごめんなさい、リンリン! ひとりぼっちにして、ごめんね……あんなことを言ってごめんね……」
ひたすら謝罪する彼女にリンリンが首をかしげる。
「どうしたの、マリン。たくさんゴメンって……」
「ペンダント、海へ放り投げたから探してくれたのね……だから波にさらわれて……」
「あ、そうだ! ペンダント!」
リンリンがハッとしてポケットをまさぐった。
手を引っ張り出すと、小さな手のひらに金色の輝き。
マリンが投げ捨てたペンダントの飾りだった。
こんなにちっぽけなものを探そうとして、リンリンが海でひとりきりだったのを想像したのかマリンはまた涙ぐんだ。
「こんなもの……! リンリンに比べたらどうだっていいのに」
とっさに口にするとリンリンがちょっとムッとしたように言う。
「ちがうよ、ちがうよ! こんなの、じゃないよ。これはマリンの宝ものなの‼︎」
彼の幼い物言いに毒気を抜かれ、マリンが涙に濡れた目をこする。
「たからもの……?」
「そうさ! これは、マリンのママとパパがくれた大事なもの。
世界にひとつだけの、特別なペンダントなの! だから、ぼく、ガンバッて見つけたの‼︎
だって、もう、絶対に手に入らないものだから……」
リンリンが身振り手振りで説明したあとに、両手をぎゅうと握りしめてマリンを見た。
とび色の、優しい瞳。長いまつ毛が優しく影を落とす。
「だから、ね。『こんなの』って言わないで、マリン」
マリンは、リンリンにまた気づかされる。
リンリンはマリンの今だけでなく、過去をも救いにいったのだ。
マリンはあの時、ペンダントを『プリンプリンの代わりの証』だと思い込んでいた。
でも……そうじゃない。
これはマリンと家族を繋ぐ証。
マリンと、リンリンたちと、顔も知らない祖先とが繋がっている証拠。
今はなき『遊泳国家マリーン』の歴史に、ただのマリンが連なっているという証明。
それをリンリンは最初からわかっていた。
だから、こんな無茶をして見つけだしてくれたのだ。
まったく、リンリンには敵わないな。
マリンは涙を指で払い、泣きながらも微笑んだ。
心からの笑み。彼女の本心から自然と漏れた、いちばんの笑顔だった。
「ありがとう。ありがとうリンリン……宝物、わたし見つけたよ。
やっと大切なことがわかったの。宝物が何か、わたし……!」
そんなマリンとリンリンを大人たちが見守っている。
海のさざなみが彼らを優しく包む。
頭上では、空に一番星が輝いていた。
***
その晩、花のアナウンサーが緊急ニュースでリンリンの無事を報じていた。
大きなクチビルをブルブル震わせ、喜びを体現している。
『はァ〜い、また速報です! 夕方ごろ行方不明になっていたリンリンちゃんが無事に救出されたとのこと。発見時、リンリンちゃんは猿と一緒に箱のようなお舟でプカリンコ〜プカリンコ〜と浮かんでいたらしいですよッ!
あれェ〜? コレって、プリンプリンちゃんが三四年前に公海で拾われた時の状況とよく似ているなァ。と、思ったそこのアナタ!
気になりますよね? ……気になりますよねェッ⁉︎
そ〜こで、まだあと一話残ってる! この理由をォ〜、二次創作で勝手に創作しちゃおうというワケですよ。お立ちあいッ!
あ、コレは別のキャラクターの口上でした。失礼〜!
まあソレはソレとして、リンリンちゃんが見つかってよかったよかった。まさかこっからまぁたデッカい問題を起こすなんてコト、ありませんよねえ? ……ホッ、よかった。
いやぁ〜〜〜ハッピーエンドって、本当にいいものですねえ。
その幸せを噛み締めながらッ、あともうちょっとだけ、つ・づ・く・んですッ!
ではでは、次回まで〜〜〜〜ゴキゲンヨウ、ゴキゲンヨウ……』
―――第十一話 おわり―――
好きなキャラクターを教えてください(原作キャラは含みません)
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リトルプリンス・リンリン
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キッキ
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オハナ
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セイン
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マリン
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ヤーブレとカーブレ
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リンリンのおばあちゃん
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リンリンのおじいちゃん