英物語   作:紡縁永遠

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イズクヒーロー

 僕、古明地出久が住んでいる家はない、数年前、正しくいえば五年前に、燃やされた。個性という超常社会に置いても人の心を読めるというのは嫌われるもので〈第三の眼(サードアイ)〉や僕の持つ〈読心(どくしん)〉も忌み嫌われ、恐れられた。意味もなく、不当に心を読めるならカンニングも容易だと、周りの大人に何度もテストの邪魔をされ、留年をさせられて、二年遅れて入学してきた、双子の妹と同じ学年になる始末。別にそこはさして問題ではない。ただ、問題は心を読めることを、プライバシーの侵害として、攻撃してきたことによる、妹達への被害だ、小さい妹、もとい、古明地こいしは〈第三の眼(サードアイ)〉を閉ざしてしまった。それでもイジメは、エスカレーターしていき、僕を残して妹二人は自殺した。大きい妹、古明地さとりは最後まで〈第三の眼(サードアイ)〉を閉ざすことはなかったけれど、ようやく二人は一息つける場所に行ったのだと思う、その一年後に、退職した教師数人が、家を燃やしたのだ。ここまで語って、自分について話していなかった。

 古明地出久。十七歳。性別男。元の黒緑の髪に、軽く白が入った髪をしている。順当に行けば高校二年生。廃ビルに無断で住む、不良もどきであり、吸血鬼もどきである。平等は好きだが、世の中そんなに甘くはないことを理解している。

 そしてこのビルにはもう一人というのはおかしいが住み着いているのがいる。亡霊の姫君、西行寺幽々子、歳不明、性別女、僕に吸血鬼となるきっかけをくれた。六年前に出会った過保護な怪異。そして、俺の体内にある工夫をして入っている、二振りの妖刀、それを作った、怪異の王を連れてきたものでもある。

 出会って二週間も経たぬうちに、主に喰われて散った死屍累生死郎のおかげで吸血鬼から吸血鬼もどきとなった。僕がもどきになったのは、死屍累生死郎に噛まれて吸血鬼になった後に、死屍累生死郎が彼れを吸血鬼にした、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードのもう一人の元眷属との眷属を賭けた戦いに敗れて、準人間になるはずだったのに。その主、ハートアンダーブレードとやらが本質である死屍累生死郎の手首を喰らったことにより、死屍累生死郎は吸血鬼であるがその場におらず、僕を吸血鬼にしたという事柄に矛盾が生じたために、もどきとなった。

 僕の周りにはまだいるが、その話はそいつらが出てきた時に話すとして、最悪なことに、食わなければ死ぬ人間要素が強めな僕は、幼なじみというべきなのか家があった頃に友と言えるか怪しく、僕達兄妹をイジメていた、ヤツの家族の援助と、家族の保険金、遺産金で生きている。

 

 「出久!」

 「まったく、相変わらず爆豪くんは元気いいな、何かいいことでもあったのかい?」

 「お前これからどうするんだよ」

 「どうって?」

 「家が燃やされた後この廃ビルに居て、家も借りずにここにいるけどよぉ、仕事どうするんだ?」

 「確かに仕事はやらないとな、光熱費水道代等々差し引いても、金はいつかはなくなるからね」

 

 大きな声で、この廃ビルに入ってきたのは、六年前まで、妹達が自殺するまで、俺達をイジメながらも、それが酷くならないように、己なりに守ってきたと、苦々しく言う、幼なじみとも言いにくい関係の、爆豪勝己という人間だ。

 爆豪勝己。十五歳。性別男。個性〈爆破〉。才能マンで大抵のことを難なくこなすことができ、唯一の欠点が、周りを下に見るクセによる、人との付き合い方だろう。まぁ今となってはマシとなったが。

 

 「それで?今日は何しに来たんだ?」

 「これだ!」

 「雄英高校入学希望書?馬鹿じゃないの?僕は二年理不尽に留年させられて、小学校中退だよ?名門校に入れるわけないだろ?」

 「ならお前これからどうすんだよ、個性以外でソレは説明つくのか?」

 「無理だね……わかったよ、ヒーロー免許証は今後動くにも必要だ受けよう。正し、受験料の半分はそっちが出してくれるかい?」

 「ババァもそのつもりだと」

 「そうかい、ならいいよ」

 

 面倒なことになったものだ。一応勉強は爆豪の板書を取る、見ることで知識はあるがソレを証明する手立てがないが。かの有名な、雄英高校が理不尽にさせられた留年と、これまでの一件を説明して、学歴が止まっていても同情くらいはしてくれるだろう。一応個性届は変更してあるため、〈読心〉と書かなくて済むがそれでも、不安冥利に尽きるわけで、鬼と蝶、そして猫と蜂でどれだけ戦えるかを考えながら、この数ヶ月を過ごすのだった。

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