雄英高校に入学して、ある程度普通の授業を受けて、生徒にも、普通だという認識が生まれていた頃。昼食を食べ終わった後に、オールマイトが扉に滑るように、入ってきた。確かシルバーエイジのコスチュームだったはずだ。はずというのは、そのへんのグッズが燃やされて、怪異に絡むようになり、考察ノート以外で触れなくなったからだ。
「私が、普通にドアから来た!」
「オールマイトだ! 本当に先生やってるんだ!」
「画風違いすぎて鳥肌が……」
「今から行うのはヒーロー基礎学! ヒーローの下地を作るための訓練を行う課目だ!それに伴ってこちら、入学前に送ってもらった個性届と要望に沿って作られた、コスチューム!」
「「「「「「おお!」」」」」
「恰好から入るのも大事だぜ少年少女。自覚するのだ今日から君らは、ヒーローなのだと、」
コスチュームか、悩んだんだよな、鬼である以上昼でも再生能力はあるから、後はどんな見た目にするか、化け物らしく、いびつにするか、いっそ、吸血鬼の部分を出すか、最初の覚を、出すか。そんな考えのもとできたのが今回のコスチューム。黒のロングコートで袖は少し多めに、妹達の要素を残しつつ。コートの中は和洋服で蝶を入れ、猫は髪にあるからと、入れなかったが。何とか製作できた。本当は死屍累生死郎*1を鬼として入れたかったが、それだと和の部分が強くなるため、至極一般的に知られる吸血鬼のコートを取ったのだ。
「爆豪は、見た目にも凝ってるな」
「テメェがシンプルすぎるんだよ」
「これでも考えててあるんだけどね、ギミックもあるし」
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
見た目重視は他にもいるな、フルアーマー……一度見たことがあるが思い出せない、どんなヒーローだったか、まぁ…いまきにすることではない
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!敵退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ!監禁、軟禁、裏商売…このヒーロー飽和社会!真に賢しい敵は闇に潜む!君らにはこれから、敵組とヒーロー組に分かれて二対二の屋内戦を行ってもらう!」
「ヒーローと敵のガチバトルか‥男らしいぜ!」
「基礎訓練も無しに?」
「その基礎を知る為の実践さ!ただし今度は、ブッ壊せばOKなロボじゃないのがミソだ!」
ペアか、一人がいいな。動きづらくなる上に、覚が使いづらくなる。僕のトラウマ的なものだが覚は今は使うことなどほとんどない。常に使わないように意識している、人間強度とはまた別で僕は関わりが増えることを恐れているのだ。
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか‥!」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか…?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか!?」
矢継ぎ早の質問、No.1ヒーローであるオールマイトへの期待、初のヒーロー科としての訓練からくる好奇心、簡単に人を切り捨てるようなことはしないはずだが、それでも除籍宣言は、1年A組に深く刻まれたようだ。
オールマイトは手詰まったのかポケットから小さな紙を取り出し広げる。
「いいかい!?状況設定は敵アジトの何処かに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている!ヒーローは時間内に敵を捕まえるか、核兵器を回収する事。敵は制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえる事!」
随分と日本に合わない設定、それでもアメリカでの活動が多かったのかと考えるも、深く追えていなかった僕の記憶にはそういったものはなく、五年ほど前から、白猫に怯えているという噂くらいだ。
「もっと理想的なのはとある男性が家族を救うべく、マフィアのアジトに乗り込み、自らの命を引き換えに家族を救うってのがベストオブレスキューなシチュエーションだな!」
杞憂だったようだ。深く考えるまでもなくただ映画の見過ぎという見解に落ち着いて、周りもオールマイトの以外な一面に驚きつつも納得したような感じだった。
「因みにコンビ及び対戦相手を選ぶのはくじだ!」
「適当なのですか!?」
「いや、他事務所との急増チームアップする事が多いことから、不測の事態や、乱戦時の共闘、なにも決まった相手としか組まない、コレじゃあ相方が動けない時に、自身も動けなくなる、そういった対策だろう」
Aチーム 麗日&古明地
Bチーム 障子&轟
Cチーム 峰田&八百万
Dチーム 飯田&爆豪
Eチーム 青山&芦戸
Fチーム 尾白&葉隠
Gチーム 上鳴&耳郎
Hチーム 蛙吹&常闇
Iチーム 口田&砂藤
Jチーム 切島&瀬呂
「えっと…古明地…さんだよね?」
「うん、そうだね、麗日ちゃんは〈無重力〉だったよね?」
「そうやけど」
「うん、行けそうだ」
「Aがヒーロー、Dが敵だ!因みに古明地少年というのも少し違うが、個性に制限をかけてもらいたい」
「すでにかかってますけど、まぁ、理由は言われたくないんでいいですけど、猫でいいか」
僕の猫という言葉に、爆豪が一歩下がるがそんなものは気ににしない。気にするだけ無駄なのだ。こういう事柄においては、なんちゃって、ではあるもののこちらも経験者で二年年上、五分五分になるように気を使う。ただし、発想については、惜しむことをしない。情報という観点から爆豪も猫については知っているからだ。
「さて…いまからビルに入るわけだが、恐らく核は最上階にあるだろうね」
「そうやね、何とか見つからずに上に行くんやろ?」
「半分正解、君の〈無重力〉は自身の体重も消せないのかい?」
「そりゃぁできるけど」
「今すぐするんだね、ビルの中にあるなら、ビルの中からそんな先入観は捨てないとだめだよ」
何を考えているか、それは、すごく簡単でわかりやすく、かつ見落としやすい方法。入ることが難しい、締め出された状態に近い。古来より鍵を忘れたときはに階からと決まっている。猫の爪でビルの壁を登るのだ、そんなものを持っていない、麗日ちゃんは体重や服の重みを無くしてもらい、僕が抱えて登るというものだ。窓一枚割るくらいなら問題はないはずだ。
「す、すごいね、古明地さん」
「黙ってないと舌を噛むよ、っと、個性解除して、入るから」
GASYANNNNN
「お邪魔するよ、」
「っな?!ヒーロー?!」
なるほど、爆豪は僕の足止めをしようと下に行ったということかな、まぁ…飯田天哉というヴィランを縛ってしまえば問題はないが。
「えっと…これからどう…………」
「ほら、これで終わりだろう?それとも何かまだあるのかい?」*2
「えっ、あ、うん、そうやね」
あっさり終わった、この勝負。覚の方でも勝てたかもしれない。というのは後の祭りである。今は五分五分ではなく自身の方に、余計に傾いたことを悔やみ、噛み締めながら戻るのがいいだろう。
『ヒーローチームWin!!!!』
「せて講評と行こうか!MVPは古明地少年だ。何故かわかるかい?」
「はい、オールマイト先生」
終わったので、モニタールームで評議が行われる。僕は言われた通りに制限をかけたうえで勝利していたので問題はないと思いたい。
「まず、古明地さんは、自身の個性と麗日さんの個性を理解し最大限発揮していたと思います。ビルの外側からの奇襲という、予想を超えた作戦も見ものでした。同じヒーローチームだった麗日さんは、何もしていないので評価しかねます。そしてヴィランチームは、攻撃範囲の広い爆豪さんを核から離しての防衛、動きは良かったですが、想定内のことに対処できていないように見えました。飯田さんも。侵入からの態勢の立て直しが遅かったかと」
「う、うん、そうだね」『全部言われた…』
「それと、始める前に言っていた、少年じゃない、個性の制限について聴きたいんですけど」
「ああ、たしかに俺も気になる」
「悪いけど、それについては断らせてもらうよ、第一に、僕は君達を信用していない、それに、重めの話だし、長くなるからね。聞きたいなら僕から信用を勝ち取ることだね」
「辞めとけ、ソイツに信用されるやつなんざ家族くらいだ、諦めとけ」
爆豪のフォローと言うには少し適切ではない気もするが、それでも皆、気になるようで、金の視線を投げてくるが、僕は答えるつもりもないし、教師にも、個性絡みでの問題、気になるなら六年前一斉退職事件を調べろ、そして調べても口外はするなと釘を差しておいた。それがどれほど効力があるかはしらないが、無いよりはマシだと考えたい。
他のところも、円滑に進んだが、推薦の一人轟焦凍は鋭い目つきで睨み事をやめなかった。