英物語   作:紡縁永遠

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委員長

 オールマイトという注目の元が、雄英高校に就任したという事柄が、全国にテレビまでではなく、ラジオニュースでも放送されたためか。校門前に、マスコミがごった返して。オールマイトの情報を一つでも集めようと、カメラとマイクを手に生徒に無理な取材をしている。

 

 「あっ、君、オールマイトの行う授業について聴きたいんだけど…」

 「知らん、」

 「え、いや、知らないことはないでしょ」

 「知っているけど、答える気はない。そんなに知りたいなら他に行け」

 

 利益目的が多い。覚を試しに使うと不協和音が多すぎて頭痛がするほどだ。人の考えを尊重せず、利益や注目を中心としたマスコミ、六年前も五年前も家を囲うように集まっていた、その場にいない加害者より、その場にいる被害者に不安や疑念が募る中無理に通そうとする、家の近くにあった、子会社は、火事で少し痛手を負ったみたいだが詳しくは知らない。

 

 「さて…昨日の戦闘訓練お疲れ様、Vと成績を見せてもらった、オールマイトにも聞いたが、古明地についてはあまり触れるなよ。それでホームルームの本題だ…今日で悪いが君達には…学級委員を決めてもらう」

 「「「「「「学校っぽいの来たーーーー!!」」」」」」

 「委員長!!やりたいですソレ俺!!」

 「ウチもやりたいス。」

 「僕のためにあるヤツ☆」

 「リーダー!!やるやるー!!」 

 

 あまり人の上には断ちたくないので、必然的に辞退という形になる。こういう物はやりたくない者がほとんどのはずだが、それは雄英高校だからだろうか。そして、こういう時に皆をまとめ上げられるものも見つかるわけで

 

 「多を牽引する責任重大な仕事だぞ‥!『やりたい者』がやれるものではないだろう!!まずはクラス委員長を誰であるかを見定め!そして周囲からの信頼あってこそ務まる聖務‥!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら‥これは投票で決めるべき議案!!!」

 「聳え立ってんじゃねーか!!何故発案した!!」

 

 誰が何を言おうと、天高くそびえるその腕は自信が委員長になりたいという欲に表れていた。誰がなっても別にいいが、合同訓練で指揮を取れるものがいいと思った。個性の分析は得意だが、表立って行動というのは引けるので、ここは戦闘訓練のときに目星をつけていたものでいいだろう。

 

 「日も浅いのに信頼もクソも無いわ飯田ちゃん。」

 「そんなん皆自分に入れらぁ!」

 「だからこそここで複数票を獲った者こそが、真に相応しい人間という事にならないか!?どうでしょうか先生!!!」

 「時間内にやるなら何でもいい。あと別の委員長はまた日を改めてだ、分かったな?」

 

 こういう時くらいアドバイスが欲しいが、何でも頼るなということだろうか、それともただめんどくさいだけなのか、それでも皆、この光景に納得したのか思い思いに票を入れていく。

 

 「……票を入れてくれてありがたいんだが僕はやるつもりはないぞ、」

 「では誰が委員長をやるのでしょうか」

 「八百万百だっけ?君がやりな、僕も君に入れたからね」

 「ならそうさせてもらいますが、副委員長はやってもらいます、それでいいでしょうか?」

 「……分かった、気は進まないけどいいだろう、」

 

 半ば押し付けられるような形ではあるが副委員長に就任することになりました。断ると別の方から槍が飛んでくると予想できたために就任下が、僕にとってやりたいと言えるわけではないことが確かで、誓って譲ったことで恩を売ろうという考えでもないということだ。

 

 

―――――――――

 

 

 「…………何かようかい?」

 「いや、君はあまり人の前に立つことを嫌うから何かあったのかと」

 

 昼食、基本一人で食べるが今日は飯田天哉と八百万百が席を共にしている。聴きたい理由は分かるが答える気にはならない、戦闘訓練の時と同じ理由で対処が可能だ。

 

 「……これも少なからず過去に関わるね、それに、戦闘中に的確な指示、要は作戦の組み立て等をできる人間の方が良い」

 「そ、そうか」

 「私にそこまでの技量があるでしょうか?」

 「委員長ちゃんはさ、自分に自信がないんだよ」

 「自信ですか?」

 「そう、人が持てるもの扱えるものは限りがあるからね、委員長ちゃんの個性はそれを補える、いつどんな時にどうなものが必要なのか、それがわかれば委員長という立場に磨きがかかるよ」

 

 僕が言えるのはここまでだ、人に教えるのは向いていない、僕の周りは守銭奴詐欺師と胡散臭いアロハ、のんびりしたお姫様、こんなもんだ。前者2人は個性の使い方を伸ばすに役に立ったが、それでも見て学べという二人だった、教えるには金を払えと、結構持ってかれたけど、詐欺師の基本は、偽物を本物以上に本物にすることだ。じゃなきゃ人は騙せないと。

 

 『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは直ちに屋外に避難してください』

 「……セキュリティ3?」

 「これは、どうすれば……」

 「パニックになってしまって、皆さん止まる様子がないですよ」

 

 ヒーローを目指す者達とは到底思えない行動。まずすべきことは情報の整理だろう、一番最初に聞いた情報だけで判断しパニックになっている。このままではこちらにも被害が行く可能性がある。

 

 「……あれは…マスコミか?」

 「報道人だと?!ならそんなに慌てることも」

 「それを知っているのは私達だけです、後はどう説明するか……」

 「はぁ…身のうさを 思ひしらでや やみなまし そむくならひの なき世なりせば 完全なる墨染の桜」

 

 誰の耳にも届き、凛と響くように、そして誰もが魅了される幻想の桜を、この場に咲かせる。桜吹雪と、蝶を載せて。

 

 「……ふぅ…侵入してきたのは報道陣だよ…そこまで慌てるようなことじゃない……」

 「そ、そうなのか」

 「ならいいか」

 

 桜吹雪は人の足を止めて、蝶があこちらに意識を向くように飛ぶ。人をまとめるのに必要なのは説得力だ。僕の言葉を信用してくれなければ騒ぎは止まらなかったし、余計に混乱させる。誰が何を言おうと僕の言葉が正しい、そして、揺動が敵のものでないとわからせることも必要だったわけだ。静まった食堂でもう一度席に着くと、委員長ちゃんと飯田くんが驚いたように、どうやったかを聞いてくるので、普通に説明する。

 

 「……というわけだ、戦闘でも同じ事だよ、民間人を避難させるのに時間がかかれば被害が大きくなる。そのうちやるんじゃないかな」

 「そう、でしたか」

 「やっぱり君が委員長をやるべきだ」

 「嫌だね、君達のほうがいいんだが、それは否定するだろ?」

 「まぁ…そうですね」

 「あくまで僕がやるのは手助けだ、それ以外は君達がやるんだ、」

 

 納得はしてくれなかった。それでも今日おきた事と、僕が説明したことは無駄にはならなかったはずだ。僕はお節介でたすけるより、お願いされてからの手助けのほうが性に合っている。

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