結『13』
最後の裁判が始まる。
そして、まず始めるにあたって皆にわたしは言うべきことがあった。
「まず、いいだろうか?」
「どうぞ」
ハンナが促してくれる。
若干気まずいが、ここで言わないのは正しくないだろう。
私は皆の方を向き、特にハンナに向かって頭を下げた。
「本当にすまない。最後の最後で大きなミスをしてしまった」
私は前回の最後のミスを誠心誠意ハンナに謝った。
自分から最後の裁判を始めようと言っておいて、すぐに頭を下げる。
あまりに格好がつかないが、これを最初にやらなければ私は自身を許さないだろう。
日中、記憶がなかった私が疑問に思ったハンナに投票された原因。それは私だ。
そしてその要因には二つの要素がある。
それは、時間制限がありそれを知覚できない事。そして自分自身のミスだ
前回の最後、じゃんけんに勝ったのは、ノア、レイア、アリサ、そしてシェリーの四人
負けたものが私、アンアンの二人
負けた私とアンアンはじゃんけんに負けた時点で、私はエマに、アンアンはココに投票を入れた。
この時一悶着があったが、今は関係ない。
これで、エマに二票。ココに二票の投票がされた。
あとはノアの提案通り、じゃんけんに勝った4人がエマとココに以外に投票すればいいだけ。
だが、ここで問題が発生した。
私とレイアが投票を入れた時点で突然ユキが高らかに宣言をしたのだ。
「裁判終了まであと、十秒」
この声が響いた瞬間全員の表情が青ざめたのが良く見えた。
全員の投票がなされなかった時どうなるか全員が知っている。記憶がリセットした状態での裁判のリスタート。
ココが行おうとした愚行が今まさに発生しようとしていたのだ。
予定通りならエマとココを吊れば裁判は終わる。そんな状況で最初からやり直しなどたまったものではない。
それを瞬時に気がついたのであろう4人が慌ただしく端末を触ろうとした。だが、その手が止まった。それは全員が投票先を迷った証拠だった。
それはそうだ、当初はじゃんけんの勝利者が各々に一票入れていく予定であり、エマとココに三票あつめて、残りの二票を誰か別の者に投票する予定だった。
だが議論の最後に突然ノアの提案を私が汲み上げた結果、吊る対象であるエマとココに二票投票し、そのほかに一票ずつ投票する事になった。
それはつまり、吊ってはならない人物への投票数が一票以下にしなければならなくなったという事。
これはもし誰かと被った時点で、その人物も吊られることを意味する。
誰かの尊厳を破壊するかもしれない一票。間違っては行けない一票。誰かと被ってはいけない一緒。先日のゲームですらミリアは投票できなかった一票。それを十秒で選べという方が無謀だ。
ゆえにその時のワタシは全員に声を張り上げた。
「右を見て最も身近にいる人物に投票しろ!」
奇しくも投票できる人物達の右側にエマとココがいない事を認識していたワタシはその場しのぎを応急処置を叫んだ。
位置的に投票が被ることはなく、エマとココも投票されることはない。
そんな突発で突飛なその場凌ぎ。
だがそれは効果があった。
その声に皆が釣られ右を見てそこにいた人物に投票し始める。皆時間がなかった。
ワタシの言った通りに瞬時に行動してくれた。
そのおかげで全員の投票がなされ、裁判を終える事ができた。
一安心だった。
まぁ、結果的にハンナに一票入ることとなったのだが。
そしてその一票が、ハンナが吊られることに繋がってしまったのだ。
ハンナがおねしょをする羽目になってしまったのだ。
彼女の尊厳を破壊してしまった。
ゆえに深々と頭を下げる。
「すまない」
もう一度謝る。
すると、すぐに返答が聞こえた。
「頭をあげてください」
ハンナの声だ
その声に促され頭を上げる。そこにはヤレヤレといった表情のハンナがいた。
「謝る必要なんてありませんわ。そもそも、時間制限がわからないのに悠長にじゃんけんをしていた、わたくしたち皆が悪いのですわ」
「まったくですね〜緊張感が全然ありませんね!」
「お前はいつもねぇだろうが」
「アリサちゃん。それは言いすぎじゃないかなぁ〜ってボクはおもうなぁ…」
「桜羽、本当にそう思うか?」
「え、え〜と」
「え〜ひどいなぁエマさんも」
「ご、ごめんねシェリーちゃん」
「だからそうやって緊張感もなく和気藹々としているから時間がなくなるんですの!聞いてます?アリサさん!シェリーさん!エマさん!」
「わぁ!ごめんハンナちゃん!」
4人がわちゃわちゃと全員が和気藹々と論争を始める。もうこの光景もワタシは慣れたものだ。
そんな彼女たちを見ていると、ねぇねぇと声をかけられた。ノアだ。
すぐに返事をする。
「どうした?ノア」
「もしかして…時間が足りなくなったのはノアのせい?」
ノアは不安そうに聞いてくる。
確かにノアが最後に突然提案をしてきた事で、投票の内訳を変えることになった。急遽計画を変更する羽目になった。
だが、それは彼女に言うべきではないし、彼女もまた『魔女』に勝つと言う意味では間違った事を言っているわけではなかったのだから。
彼女のその選択で、今現在『魔女』以外の投票権は3つ存在している。
だから私はノアの不安を消す為にも、こう答えた。
「いいや、そんなことはないさノア」
「本当?」
「本当だ。間違いじゃない」
そう私はノアに言う。
するとココが横から私に口を挟んできた。
「間違いっていうなら、あの時は右!じゃなくて自分に投票しろ!と言った方が良かったんじゃね?」
的確なココの質問。
なるほど。ああ、うん。確かに、確かにそれが正しい。
ゆえに私は、膝から崩れ落ち、再びハンナに頭を再び下げなければなるまい。
「それが正しい選択だった...」
間違っているのはワタシだ…
誠心誠意頭を下げる。
「え?ちょ!顔を上げろし!そこまでしろって言ってるわけじゃねぇから!」
「そうだよ!ココちゃんは君を責めてるわけじゃないよ!」
「酷いわねぇココちゃん」
「うっせぇ!マーゴ!」
再び言葉が無秩序に飛び交う。
そんな時、ハァというため息が聞こえた。顔を上げそちらを見るとナノカが呆れた目をしながらココ達を見ていた。
「まぁ、確かに沢渡ココの言う通りそれが1番の方法だったけれど、遠野ハンナが吊られた原因は別よ」
ナノカがそう言いながら難しい顔をする。
確かにその通りだ。
私のせいでハンナに投票が入ったのは私のミスのせいだ。だがそれだけならハンナは粗相をする事はなかった。何故ならハンナに投票されたのは一票だけなのだから。
だが、何故かハンナにもう一票入ってしまいハンナは吊られてしまった。
この不明な一票はどこからきたのか。
「右を見た時、ハンナがいた人間が二人いたのか?」
アンアンが疑問に上げる。
確かにその可能性は考えられるだろう。だが私はそれを否定する。
「それはない。突然のことだったとはいえ、投票できる四人の右隣の人間は被っていなかったはずだ。」
「あんな瞬間的な状況でお前はそこまで判断できるものなのか?」
「全員の位置的にそうだったはず...だ」
「本当か?ならばその時の位置関係全員言えるか?」
言える...はずだ
アンアンに訝しむ視線を向けられ、私自身私に疑念が出てくる。
確かにあの時のワタシはしっかりと全員の位置を確認してから提案したはずだ。
だがここまで訝しまれると、自身の記憶に疑念が出てきてしまう。
違ったかもしれない。
そうワタシが告げる前に、声を上げる者がいた。
「ちょっと待ってよアンアンちゃん」
私が自身の記憶を遡ろうとした時、エマが手を挙げる。
その姿にアンアンは眉を顰めた。
「突然なんだ。わがはいはコイツと話している」
「確かにアンアンちゃんが言っている事は大事だけど、それよりもまずは前回の投票がどうなったか知るのが先じゃないかな?誰がどこに投票したのか。それを先に知るのが大事だと思うよ」
「うむ?...確かにそれもそうか」
アンアンは頷くと共に、四人に目を向けた
「ではレイア、ノア、シェリー、アリサお前達は誰に投票した?」
その言葉に各自話し始める。
「私はアリサくんだね。理由を聞かれても右隣だったからとしか言いようがない」
「ノアはレイアちゃん」
「ウチがハンナに入れた。理由は蓮見と同じだ」
「私はあなたですね!ちょうど隣に移動していたので!」
そういってハンナは私を見ながら宣言をした。
「ん〜?」
ハンナが唸り声をあげる。
その気持ちはわかる。4者別々の投票先。これが本当ならばハンナが吊られるわけがないのだ。
そんな各自の回答を聞いてるとココがニヤリと笑った。
「えぇ〜ヤンキーあんなにお嬢に投票しないって話したのに投票したの〜?」
「...ぁんだよ。突然の状況だったんだ。しょうがねぇだろ」
「実はアリサが『名無しの魔女』じゃねぇの?」
「ウチはちげぇよ」
「本当か〜?」
「あぁ?」
「ほ、ほらアリサちゃん!ココちゃん!トークダウン!トークダウン!」
ココとアリサの言い合いをミリアが慌てて鎮める。
その間にシェリーやナノカ達が討論を進める。
「おかしいですねー。本当にその通りならハンナさんが吊られるわけがないんですけど」
「『名無しの魔女』の二票が遠野ハンナに投票された...とかは」
「それはないですよナノカさん。前々回『名無しの魔女』はアンアンさんに成り代わってミリアさんを吊ってます」
「ルールが最初から間違っていた。嘘が混じっていた」
「それ言い始めたらどうしようもありませんよ?」
「それはそうね」
「そうだよナノカちゃん。せっかくマーゴちゃんが調べてくれたんだよ?」
「だからよ桜羽エマ。彼女だから信用できないの」
「あら酷いわねナノカちゃん」
「そう思うのだったら、常日頃から自分の態度に気をつけなさい」
「清廉潔白だと思うのだけど?」
「...」
「一応念のために聞くけど、嘘ついてないよねマーゴちゃん?」
「あらエマちゃん。どうして私に聞くのかしら?」
「ちょっと確認したくて」
「なるほど『確認』ね」
マーゴがクスクスと笑う。
今朝散々聞いた含みのある笑い声。
何を考えてるマーゴ?
そんな疑心暗鬼が湧き起こるが、どうせ聞いても誤魔化されそうだ。何せ彼女は自称どちらにも味方する存在なのだから。
マーゴから意識を外して他のメンバーを見る。
するとそこには同じく話し合いを進めるアンアン達の姿がある。
「申告した投票先はバラバラで被ってはいない。…急いでいたが故に投票先を間違えたのはどうだ?」
「ノアは間違えなかったよ?...多分」
「多分じゃないか」
「あんな状況ならしょうがないとおじさんは思うよアンアンちゃん」
「別にノアを責めているわけではないぞミリア。ただ前回の投票結果を確実に知らなければ議論の進めようがないのだ」
「それなら聞いたらいいんじゃないの?」
「ん?ノア、誰に聞くのだ?」
「ユキちゃんに」
ノアはそう言ってユキを指差した。
ユキに視線が移る。彼女はいつもと変わらずただその場に立っているのみ。
確かに
そんなユキにアンアンは声をかけた。
「ユキ。前回の投票内容を教えられるか?」
「はい。教えられます」
は?
思わず呆けた言葉を出しそうになるのを堪え二人を見る。
だが二人はそんな事に気が付かず、話を進めていく。
「先ほど皆が言った投票先に違いはないか?」
「違いはありますよ」
「何?」
何気なく告げたユキの言葉に全員の視線が集中する。
「レイア。あなたはハンナに投票しています」
「・・・ふぅむ?」
レイアはその答えに訝しむように首を傾げた。
まるで興味深い謎を聞いた時の名探偵のようなその姿は様になっている。
だが周りはそれどころではない。
ユキの答えに皆、動きを止めていた。
そんな中、誰よりも早くハンナが声を上げた。
「待って、待ってくださいまし!」
必死なハンナに対して、ユキは冷静に答えた。
「はい。待ちますよ」
「ではレイアさんも私に投票したと?」
「はい」
淡々とユキは返答する。
その言葉を聞きならがエマはレイアに尋ねる。
「えっと…レイアちゃん、なんで?」
「…エマ君。ワタシはちゃんと投票したよ?」
「でもハンナさんに二票入ったらしいですよ?」
「そうだね。不思議だねシェリー君」
「不思議だね。じゃねぇーだろ!何やってんだ蓮見!!」
アリサが叫んだ。それに呼応するように、他の皆もやいのやいのと声を上げ始める。
「何をやっているのだレイア!これはマズいぞ!」
「いや〜これは困りましたね〜」
「これヤバくね?その場合、今回の裁判で二票しかあてぃしたちに動かせる投票権がないってことだよね?」
「そうだねココちゃん…」
「いやエマっち、そうだねじゃすまされねーだろ。どうしてくれんのレイアっち?」
ココがレイアに問い詰める。
ココの表情はさっきのアリサと戯れ合っていた時のような揶揄うような表情ではなく若干青ざめた表情なのが一目でわかる。
たいしてレイアは先ほどと変わらず何かを考えているようだ。
「なぁに澄ましてんのさ!?」
それがさらに油を指すようでココが席から離れようとする。
状況がヒートアップする。
そんな時これ以上はまずいと思ったのかミリアが落ち着かせようと声を上げた。
「み、みんな落ち着こうよ!あの時、十秒間しかなかったのならしょうがない…」
「ーーー本当にそうかな?」
突然のレイアの言葉に皆が静まり返った。
皆がレイアを見る。レイアはその視線に気がつき、満面の笑みを浮かべる。
注目を集めたことに喜んでるな?今はそう言う時ではないだろう?
イラッとした気分が湧き上がったとき、まず詰め寄ろうとしていたココが口を開いた
「は?レイア…それなんのこと言って『本当にそうかな?』って言ってんの?変な事を言うとあてぃしでも…」
そんなココの言葉の途中でレイアは答えた。
「私の今の発言は、ミリア君に対してのものさ」
「は?」
「おじさん?」
ミリアが首を傾げる。
そして私はその言葉で彼女の真意に気がついた。
「十秒…か?」
私の呟きにレイアは頷いた。
「そう。その通りだよ」
「十秒?何のことだ?」
アンアンが首を傾げる。するとレイアは説明を始めた。
彼女は自らの一人舞台に生き生きと喋り始める。
「ミリア君が言った『十秒間しかなかった』それが本当かな?って私は言ったのさ」
「む?」
その言葉にアンアンは首を捻り、再度尋ねる。
「それは…制限時間が間違っていたという事か?」
「それは正解だけど少し違うね?」
「むむむ?どういう事だ?」
「それはね・・・」
レイアはその答えを言うべく間を開ける。
だが私はその言葉に割り込んだ
「ーーー『間違っていた』ではなく『騙した』という事だな」
私の介入にレイアは少し驚きながらも答えてくれる
「その通り。さて何故だと思う?」
「私の…いや皆のミスを期待して、最後の賭けに出たといった所か」
「そして勝った」
「腹立たしいな」
「ちょっと待て!何二人で盛り上がっている!ちゃんと説明しろ!」
私とレイアの掛け合いにアンアンが介入してくる。
そうか、確かにしっかりと説明しないとわからないか。
どこから話すべきか
私が頭を悩ますと、私の代わりに話す者が現れた。
「アンアンちゃんアンアンちゃん」
「なんだエマ」
「慌てて投票したせいで、どうなったかな?」
「ん?ハンナが吊られる事になった」
「そうじゃなくて、ハンナちゃんを吊ってしまって何が出来なくなったかな?」
「む?」
「今回の成り代わり先を絞れなくなったって事?」
「こらノア!わがはいのセリフを奪うな!」
「そうだねノアちゃん。そのせいで成り代わり先が今回増えちゃった」
「だからそれが何だと…」
「ああ、そういう事」
エマの答えにナノカが納得した声を上げた。
「つまり前回、『名無しの魔女』は奥の手ともいうべき成り代わり先に成り代わっていた。だけれど、成り代われる対象が遠野ハンナだけ残っている。このままだと次の裁判で遠野ハンナに成り代わらないといけない。だから前回の裁判で何としても遠野ハンナを吊る必要があった」
「そうだよナノカちゃん。基本ルール(9)『成り代わった事がある人物に再び成り代わる事はできない。ただし成り代わり先がない場合、成り代わることは可能である』このルールを適用するために何としてもハンナちゃんを吊らなければならなかった。」
「だけど、私たちの意思疎通は強固で投票先はもう決まっていて、遠野ハンナへの投票は行われない。遠野ハンナに二票入ることはない。だから『騙した』皆を焦らせて票を散らして遠野ハンナに投票する事をを祈った」
「だから腹立たしいと私は言ったんだ。いいように踊らされたわけだからな」
そう私は彼女達の会話に割り込む。
皆からは私の表情は苦々しく苦虫を噛み潰したように見えるだろう。
そんな私の表情に感化されるようにナノカもまた表情を歪め、『騙した』本人を睨む。
だが当人は何も喋らず表情ひとつ変えず立ったままだ。
そんな彼女を見ながらナノカは言う。
「確かに運は『魔女』に味方をしたわ。でもここまでね」
「まて、ナノカ。『魔女』がハンナを吊ろうと『騙した』のはわかった。だがそれでもハンナに入ったのは一票。二票目となるもう一票はレイアなのだろう?」
「『騙された』のなら蓮見レイアでは無いわ。おそらく蓮見レイアは投票先を間違えてない」
「ならもう一票はどこから現れた!」
アンアンの疑問。それはもっともな疑問だ。
私たち全員の投票先は全員判明している。
それでもナノカは言った。
「残りの一票は『魔女』の投票よ」
「『魔女』の二票目の事か?それはあり得ないだろう、なぜなら前々回の成り代わり先はわがはいだったのだ。わがはいはミリアを吊ってしまった。それゆえに『魔女』は前回二票目を持たない」
「違うわ。『魔女』が持つ一つだけの投票権。それを遠野ハンナに投票したの」
「だからそれはあり得ない!成り代わりを含めて8人の投票先は判明しているはずだろう!」
「本当に?」
「ぬ?」
「本当に…8人なの?」
「それはそうだろう!ハンナ以外の8人が投票権を持っていたのだ!それ以外に投票できる人間な…ど…」
アンアンの言葉がゆっくりと途切れていく。
その視線はナノカにつられて、彼女を見る。
詐称を行った者を見つめる。
ナノカは言う。
「私達は最初から数え間違いをしていた」
そんな彼女の呟きにレイアは答えた。
「そうさナノカ君。私たちは勝手にそう認識して、きちんと把握せずに裁判を始めていた。これが劇にしろゲームだったにしろ、それはあまりにナンセンスで致命的な確認ミスだ」
レイアはそう宣言する。
皆がその宣言を聞き、ナノカの視線に釣られその者を見て、幾人かが気がつき始める。
「え?あ・・・そっかそれなら」
「はぁ?….え、あ、あぁ!」
「数え間違い?...あぁそうかよ。そもそも最初から勘違いしたってことかよ」
各自、皆思い思いの反応を見せていく。
そうだ。私達は最初、勘違いをしていたのだ。
何度も裁判をした固定メンバー。慣れ親しんだ裁判所。いなくなったが故に空白の席。
なら同じと勘違いしていても何ら不思議ではない。
故に気が付かなかった。最初から魔女裁判と違っていたのだと。
私たちは視線を向ける。その先に席はなくただ1人の少女が立っているのみ
視線を向けられたいつもと同じ涼しい顔を保っている。
だが、そんな人物にナノカは指を突きつけ、言葉を撃った。
「この裁判の参加人数は?」
「…」
「嘘偽りなく答えなさい---月代ユキ」
その言葉を打ち込まれた者。ユキはゆっくりと口を開いた。
「ーーー十三人ですよ。ナノカ」
その言葉は静かに、そしてはっきりと裁判所に響く。
ーーー十三人。そう十三人なのだ最初から。
メルルを除いた十二人ではない。
エマ
ワタシ
アンアン
ノア
レイア
ミリア
マーゴ
ナノカ
アリサ
シェリー
ハンナ
ココ
そしてもう一人。十三人目がいる。
ゆえに答えは一つ。
私は彼女に答えを突きつける。
「昨日の成り代わりはお前だな。そして、今日も」
「さぁ?何のことでしょう?」
十三人目、月代ユキはニヤリと笑った。