今思い返せば違和感があった。
他の世界でのボク達が体験した牢屋敷で、辛い事が多かったが確かに存在した仲間達との楽しく穏やかな時間が延々と続くようなこの日々に、微かな違和感が。
最初は、メルルちゃんがいない事や牢屋敷でのトラウマのせいかと思っていた。
だけどボクにはこの違和感が、過去のしがらみからくるものではない確信が何故かあった。
最初にこれ気がついたのはいつだろうか?
多分昨日のマーゴちゃんの大騒ぎの日、その朝からだった気がする。
あの日、起床時から漠然とした何か足りない様な、何か抜け落ちている様な変な感覚があり、思い出せそうで思い出せない変な感覚があった。
その違和感は寝て起きる度に増していっている気がする。
だけど、危機感を覚えるほどではなく焦燥感も湧いてこない。
相談しようかと思ったけど、あまりにもこの感覚が象徴的であり違和感のみで悪影響が出ているわけでもない。それに昔みたいに心配をかけるわけにもいかず、気を引こうと思われるのではないかという心配もあり、ボクは相談しなかった。
これがただの、勘違いだと、ボクはボクを納得させた。
だけど、それは間違いであることがさっきのお昼寝で分かった。
起きてから声が聞こえるのだ。あの時と同じような『あの子』の『声』が。
ただ前と違うのは、唆すような、煽るような声ではない。
まるでヒントを出す様な、導く様な声。
いよいよ幻聴が聞こえたかと思って相談しようかと思ったけど、まずはボク自身でやれる事をやってみようと思う。
つまりこの『声』の真偽の確認しなくちゃ。
もし『声』が本当ならば『あの子』はこの牢屋敷にいる。
『あの子』がいるならば、『声』の言った事は本当なんだ。
ボクの感じる違和感
この牢屋敷の事。
そして
『名無しの魔女』に成り変わられている子がいる。
「...これが前提条件の全部か?」
「そうだね」
私の問いにミリアは頷く
外から聞こえる雨音はパラパラと落ち着いたものになった。
少し長い時間彼女と話していた気がする。
それほどまで、このゲーム…いやクイズ『なんか違う尊厳裁判』は奇妙なものであった。
別にクイズが難解なわけでは無い。
ただ少し乱雑な投票ルールと『名無しの魔女』の変化の条件。
そして『なんか違う尊厳裁判』はクイズの前提として3回すでに行われており、4回目について答えるもの。
そのため、今まで行われた裁判のその経過と投票先を聞くまでしばしば時間を要したのだ。
だが聞いた所で首をかしげざる終えなかった。
「ミリア、これは本当にゲーム...いや、クイズとして成り立っているのか?」
「えーと。それはどうして?」
「第3回裁判での全員の投票先をルールに当てはめた結果、『名無し』の魔女を炙り出す答えが考えずともすでに出ている。」
「...やっぱり?」
ミリアも理解していたのか、苦笑しながら頷いた。
そう、このクイズの前提条件として、第3回目の裁判の全員の投票先と『名無しの魔女』が判明している。
第3回では。
1人が3票。
3人が2票。
6人が0票。
その結果1人が処刑されている。
また第4回では
『2票投票された3人』
『成り代わられた事がある3人』
『前回魔女前回の裁判で『魔女』と同じ投票先に投票した1人』
が『魔女』ではない事が確定している。
つまり9人中7人が白であり、残りの2人に黒がいる。
単純に考えれば次で2人まとめて吊ればいい話なのだが、本来ならそううまくはいかない。
理由は二つある。
一つ目は『2票投票された3人』『成り代わられた事がある3人』『前回魔女前回の裁判で『魔女』と同じ投票先に投票した1人』がかぶっている可能性がある。
その場合成り変わり候補は2人ではなく変動してしまう。
二つ目として『魔女』が投票券を2票持っている可能性がある。
そうすると、たとえ成り変わり候補が2人であり、2人に票を入れて吊ろうとしても『魔女』の2票目でずらされる場合がある。
もしそれらの可能性があるのなら、どうやって効率よく『魔女』を吊るか。
そこがこのクイズのキモとなる部分だと、ミリアから『なんか違う尊厳裁判』の前提条件を聞いている時は思っていた...のだが
「改めて最初から確認してもいいか?」
「うん、おじさんも改めて整理したいからね」
「よし」
私はそう言って12枚のカードを裏側に並べ始める。
一枚一枚、整列するように重ならないように並べる。
そして並べれば並べるほど、一つの疑問が心に沸く。だが今はそれは置いておこう。
「まず理解しやすいように、『魔女』ではなくなった者はカードを表側にする。そして前回処刑先に投票した者は上下逆にしていくとしよう。
「頭の中だけじゃなくて実物見ながらやるとわかりやすいね」
「そうだな、では最初の裁判で、全員の投票で1人が処刑される」
そう言って一枚のカードを外す。
それと同時に他のカードを上下逆にする。
「第二回の開始時点、前回の成り変わり先であった人がわかり、この人物は白となる...前回成り代わられていた者は『魔女』になり変わられている時に処刑先に投票していても投票券を失うことは無い。それでいいな?」
「そうだね。ちゃんと投票できていたよ」
できていた?
妙なミリアの言い方に疑問を抱きながらも私は、一枚のカードを表側にして上下を戻す。
「そして第二回で投票できる者は、前回成り代わられて『白』になった者と新たに成り代わった『名無しの魔女』2人だけとなる」
そう言いながら私は『名無しの魔女』のカードを適当な一枚の上に重ねた。
「『魔女』と白は同じ投票先に投票して、また1人処刑される」
1枚カードを取り除き、白と『名無しの魔女』を上下逆にする。
「第二回が終わったことで、前回白だった者以外の投票権が戻る」
『名無しの魔女』カードを取り除き、裏側のカードを全て上下元に戻す。
「最後に前回成り代わられていた者が新たに白となる」
『名無しの魔女』カードの下敷きになっていたカードを表にする。
「これで第3回までの状況が再現できた」
「そうだね正解だと思う」
ミリアが頷く
正解...正解か。
確かに状況の再現では正解だとは思うが、どうにも私には何か違和感がある。
だが、今は先に第3回を再現しよう。
「では第3回だ。わかりやすい様に少し並び替えよう」
私はそう言い、上下逆になっている表側のカードを除いた9枚のカードを並び替え始める。
2枚1列のカード群が3つ。3枚1列のカード群が1つ。
計四つのグループをつくる。
そしてどの列も最前列カードは裏側のカードにして、3枚1列のカード群には表側のカードを含めない様にする。
そこまで並べ終わったあと、私は再びミリアに質問した。
「ミリア、改めて確認なんだが、さっき言った前提条件は間違いじゃ無いのか?」
「疑問に思うのは最もだけど、ちゃんと合っているよ」
「そうか」
その言葉に少し釈然としない感じがしながらも私は再びカードに触れる。
「第3回において、『名無しの魔女』は処刑先に投票していて、自身に1票も投票されていない...間違いはないな?」
「うん、あってるよ」
「そして、さっき言った各自の投票先。これは確実か?」
「うん確実だよ」
「それならこうなる」
私は3枚1列のカード群を選び、最前列以外のカードに『名無しの魔女』を重ねた。
「各列は最前列のカードに投票していく。それにより3枚1列の最前列のカードは3票の投票で処刑される」
3枚1列の最前列のカードを取り除き、同じ群のその他のカード、つまり裏側のカード1枚を上下逆にする。
「次に2枚1列の最前列のカードは2票の投票が行われて全て表にする」
2枚1列の最前列のカードを全て表にする。
「最後に『名無しの魔女』を取り除き、下敷きになっていたカードを表にし、最初に上下逆にした表側のカードを上下元に戻す」
言葉通りにカードを動かす。
すると残ったのは。
上下が正しい6枚の表側のカード
上下が正しい2枚の裏側のカード
上下が逆さまな1枚の裏側のカード
つまり6枚の表側のと3枚の裏側のカード。
投票券は8。
そして『名無しの魔女』は上下逆さまであるが故に1票しかもたない。
上下が逆さまな1枚の裏側のカードは前回『名無しの魔女』と同じ投票先に投票しているが故に成り代わられない。
つまり、7人の確実な『白』と2人の『黒』がいる。
「ミリア、何度も確認してすまないが、第4回の投票は全てこちらで決めていい。それで合っているな?」
「そうだね」
その返事に私は釈然としない思いをしながらと結論を下した。
「やはり、次裏側で上下が正しい2つのカードに投票して処刑して終了だ」
「う〜ん。やっぱりそうだよね」
私の断言にミリアは首をかしげながらも頷いた。
そう、これで終わりなのだ。
『名無しの魔女』の2票目が存在せず、その他全ての投票券をコントロールできる以上、表側のカードの票を振り分けて裏側のカードに投票すればそれで終わりだ。
たとえもしこの状況で裏側のカードの投票先を選べなくなったたとしても結果は変わらない。
裏側のカード達の投票先を見てから調整して、裏側のカード票を入れて終了だ。
私の結論にミリアも気がついてはいたのだろう。
納得はしている様には見える。だがどこか疑念がある様にも見える。
「何か疑問でもあるのか?」
私の疑問にミリアは首を振った
「いや、あっているとおじさんも思うな。でも...う〜ん」
ミリアが言いづらそうに再び頭を悩ませる。
一体何を悩んでいるのだろう?
「ミリア、何か疑念があるなら口に出すといい。私もそれに応えよう」
1人悩んでいても解決しない。
私はそう思いミリアに話を促す。
するとミリアは、そうだよねと呟き水を一口飲んだ。
「...それなら質問するんだけど、第 1回から第3回にかけての裁判において、疑問に思うところあったりしたかな?」
疑問?
ミリアの質問に少し首を傾げるが、すぐに彼女の行っている事に気がついた。
「『名無しの魔女』の動きか?」
「やっぱりそこおかしいと思うよね…」
ミリアもそう思っていたのだろう。私もそこに疑念を抱いた。
『名無しの魔女』の動きは明らかにおかしい。正しく無い動きだ。
第1回も第2回は『名無しの魔女』は同じ投票先に投票する必要がなかった。それをする事によって『魔女』の投票権が一枚失われている。
第3回においてもそうだ。そもそも何故、処刑先に投票した?そのせいでまたしても投票券を一つ失い、第4回で釣られる事が確定してしまっている。
「この『なんか違う尊厳裁判』をクイズ、もといゲームとするのなら、せめて第3回の前提条件を変えた方がいい。これでは聞いて話を整理するだけで解決できてしまう。これでは『魔女』が頭が悪いか、わざと負けに行っている様にしか見えない」
「う〜ん。それはおじさんも納得はしているんだけど…ね」
「それでも疑問がある…と?」
「うん。第1回は『名無しの魔女』がルールを把握していなかったとして。第2回と第3回についての行動が納得いかなくて…」
「『名無しの魔女』がルールを把握していない?」
「え、あ!と、とりあえずそこは置いておいて、おじさんは第2回と第3回についての行動がどうも不可解に思えるんだよ」
ミリアは慌てながらも疑問を口にする
私の指摘についてではなく、なぜ『名無しの魔女』がこんな行動をしたかについて悩み。
それならば
「一応、どちらも無理やり理由付けすることはできる」
「え?」
ミリアが目をパチパチと瞬かせた。
その様子を横目で見ながら私は再び、カードを並べ始める。
再現するのは第2回の時。
11枚の裏側で上下逆のカードと1枚の表側で上下が正しい表側のカード。
そして一枚の裏側のカードの上に上下逆の『名無しの魔女』を載せる。
「ミリア。君がこの表側のカードだったとして。最初に投票するとしたら誰に投票する?」
私が尋ねる。
口元に手を当てミリアは眉を顰め考え始める。その姿はどこかのモデルのようである。
「『名無しの魔女』って言いたいところだけど、誰が『名無しの魔女』かはわからない…だから自分以外の誰かに適当に投票する事になるんじゃないかな?」
「適当だとして、その選択基準は?」
「選択基準?」
「例えばだが…このカード1枚1枚が全員この牢屋敷の誰かに当てはまるとしたら?」
「え?」
ミリアがびくりと体を震わせる。
…やはりこのゲーム。私たちがモデルか。カードを並べていた時から感じていた疑念に答えが出る。
13枚ではなく12枚だったため、私たちではないかと思ったが、メルルがいない事を考えると12枚にしたのだろう。
それにしても、悪趣味だ。私たちをモデルとした裁判ゲームなどと。
このカードを渡してきたのはマーゴと言っていたな。マーゴめ…あとで苦言をいってやる。
だが今は、このゲームについてだ
「ミリア、君なら誰を選ぶ?」
「う….わ…」
ミリアが狼狽える。瞳が震え挙動不審になり始める。
しまった。流石に酷な質問だったようだ。
彼女が結論を出す前に私は話を続ける事とした。
「優しい君のことだ。選べないだろう?」
「う、うんそうだね。」
ミリアはホッとしたように一息をついた。
「なら、残る方法は他者が自主的に自分に投票しろと名乗り上げるか、すでに誰かに投票されているかだ」
「『すでに誰かに投票されているか』。魔女が先に投票してそこに票を誘導したってことだよね」
「だな」
「確かにおじさんなら、それで処刑される子の数が減るから既に投票されているところがあるならそこに投票すると思う。でもなんで『名無しの魔女』は自分の次の投票券を減らしてまで票を誘導したの?」
もっともな質問。
そんな質問に私は質問で返す。
「ミリア。改めて質問だが、君は最初に投票するとしたら誰に投票する?と言う質問に対してなんと答えた?」
「えっと、適当?」
「そうだ『適当』。つまり君は10%の確率で『名無しの魔女』に投票する事に賭けたんだ」
「10%の確率に賭ける……え?まさか10%を『名無しの魔女』は怖がった?」
「考えられる理由としてはそれだな」
私と同じ答えに辿り着き、驚くミリアに私は答えた。
そう、考えられる理由として『名無しの魔女』は10%の確率で自身に投票される可能性を避けた。
それに、もしかしたら10%よりも高かった可能性がある。例えば、その時に私に投票権があった場合、誰に投票するかと迫られたのなら、無意識にエマを投票先から外す可能性がある。
この牢屋敷の仲間達は全員大切な仲間だ。それには変わりない。だが逃げることもできなく誰かを選ばなければならないと言うのなら、絶対に選択肢に入れる事ができない人物が皆いるだろう。
つまりは、『名無しの魔女』は偶然吊られる事を避けるために票を誘導した。
それが私の結論...なのだが…
「『名無しの魔女』は僅かな確率でも自分が吊られる事を怖がる怖がりさんなのかな?」
ミリアが疑問の声を上げる。確かにその考えはありうる。
低い可能性を『名無しの魔女』は避けたのだと。
だが、私はもう一つの可能性がある気がしてならない。
私が思考を編んでいると、ミリアが話を続け始める。
「でもなら第3回は?なんで『名無しの魔女』は自ら処刑先に投票して自分に2票投票しないでくれって言ったの?」
「ん?どう言う事だ?」
突然出てきた新情報に頭をひねる。
そんな私の様子にミリアも首を傾げた。
「どう言うことも何も、『名無しの魔女』は処刑先に投票していて、自身に1票も投票されていない』って事だよ」
違うそうじゃない
「『名無しの魔女』は自ら処刑先に投票して自分に2票投票しないでくれって言った?」
「うん、自分が疑った事でミリアがつられるのなら、わがはい自身の投票でミリアを吊る。そしてわがはいが安全圏にいる理由はないって言って」
「自分から言った?」
「うん….あ」
「…まるで本当に裁判があったかのような言い方だな」
「…やば」
ミリアの呆然とした声が食堂に響いたその時だった。
グギぅぅうぅぅううううう
嫌な音が聞こえた気がした。
その瞬間ミリアはお腹を抑え顔を青ざめ始める。
「ミ、ミリア…?」
「ご、ごめんね。ちょっとおじさんお手洗いに行っていいかな?」
顔を青ざめながらも引き攣った笑みで私に尋ねてくる。
ここでトイレに駆け込むために走り始めない所に彼女の乙女心を見た気がした。
「あ、ああ。気をつけて行ってきてくれ」
「じゃあ、またね!」
金髪を棚引かせて彼女は凄まじい速度で走り去っていく。
その速度に呆然と私は彼女を見送った。
バタン!という大きな音共に食堂の扉が閉まると、残ったのはパラパラとした雨音のみ。
静かな食堂が再び帰ってきた。
私は少し呆けたあと、ミリアが残したカードを片付けることとした。
一枚一枚私はカードを拾っていく。
ミリアは言っていた。『名無しの魔女』は自ら処刑先に投票して自分に2票投票しないでくれと言ったと。
つまり『名無しの魔女』は意図して第4回の状況を作った。
『名無しの魔女』がそこまで意図していなく結果的に詰みの状況を作った?
『名無しの魔女』は負けようとわざと詰みの状況を作った?
理由はいくつか考えれるが、私には違う考えが浮かんでいた。
私は手に持った『名無しの魔女』のカードをじっと見つめる。
もし、第2回の『名無しの魔女』の票を誘導した行動が、10%を怖がり避けるための行動ではないのなら。
もし、第3回のわざと詰みの状況を作った行動が、意図していない行動ではないのならば
『名無しの魔女』は確実に勝つために、負ける可能性を潰し、わざとこの状況を作った。
そうとしか考えられない。
何故か私はその考えが自分のことのように想像する事ができた。
だが、もしそうだとするのならば、一体どんな手がある?
私はうちに秘める疑問を抑える事ができず改めてミリアが語ったルールを思い出す。
(1)参加者は1人1票の投票券を持つ。
(2)全員が投票後、最も投票数が多い者は処刑される。同票の場合どちらも処刑される。
(3)誰かに投票しなければ全員処刑される。
(4)前の裁判で自身の投票先が処刑された人物は、次の裁判では投票が無効票となる。(すなわち、前の裁判で処刑される人に投票を入れた人物は、その次の裁判において、誰に投票しても無効票として処理される。)
(5)『魔女』が投票で選ばれるか、『魔女』が目的を達成するまで裁判は続く。
(6)毎晩参加者の1人に『魔女』はなり変わる事ができる。
(7)『魔女』は成り変わり先の記憶を引き継ぐ。
(8)前回の裁判で『魔女』と同じ投票先に投票した相手には『魔女』は成り代われない。ただしその投票先への投票数が5票を超えているのならその限りではない。
(9)成り変わった事がある人物に再び成り変わる事はできない。ただし成り代わり先がない場合、成り代わることは可能である。
(10)『魔女』は投票券を二つ持ち、同じ対象に投票する事はできない。
(11)『魔女』の投票が無効票になる場合、所持している二つの投票券のうち、一つのみが無効票となる。
(12)成り変わりの『魔女』は本物と明確な違いがある。だが参加者はそれを『魔女』だと確信しなければ認識できない。
(13) 『魔女』は『2票以上自身に投票があった事がある参加者』に成り代わることができない」
13のルール。
改めて見ても、間違ってはいないと思う。
ただ、ミリアは3番目のルールは少し変えているとのことだが、ゲームには関係ないと言っていた。
そこに穴があるかと思ったが、それならミリアも気がつくだろう。
ならば、この状況から『名無しの魔女』はどうやって勝利する?
裁判の終わり方は『魔女』が投票で選ばれるか、『魔女』が目的を達成するまで。
ミリアは目的を勝負に勝つ事と言っていた。
つまり、『名無しの魔女』以外を処刑するということだ。
だが、この状況からどうやって巻き返す?
思考を巡らせる。
だが、考えても答えは出ない。
なら考えられることは
ルールに書かれていないが、勝手に私たちがそうだと認識している事がある?
ギィという扉が開く音が聞こえた。
思わず視線をそちらに向けると、そこには首だけを扉から恐る恐る食堂にのぞかしているエマがいた。
彼女はキョロキョロと視線を食堂の中に向けて動かしている。
その姿はまるで何かを探している小動物のようだった。
すると、エマの視線が止まる。どうやら私を認識したらしい。彼女の表情がぱぁと明るくなる。
かわいい
「どうしたエマ?何か探しているのか?」
私がそんなエマにそう聞くと、エマは言いづらそうに悩んだあと、口を開いた。
「えっと…言いづらい事なんだけどいい?」
「かまわない」
「なら…夢の中にあったモノを探すってどうすればいいと思う?」
…….なんだって?