結局『あの子』には会えなかった。マーゴちゃんの前には姿を現して、ボクの前には出てこない。理由があるのかな?でもあの子の事だ。理由なんてないかもしれない。
『あの子』にも会えてないから結局確かな真偽は掴めない。それにマーゴちゃんが言っていた、「血のバスタブを覚えてる?」ってなんのことなんだろう?
色々謎は残っちゃった。だけれど、証拠はほとんど揃ったと思う。
マーゴちゃんが出会った『あの子』
みんなが揃った牢屋敷。
夏の穏やかな日々。
朧げな記憶。
読むことのできる図書室の本。
裁判のルール。
そして今また始まった夢の中の裁判。
裁判については今までは起きたら全てを忘れていたけれど今度はボクが処刑されるから記憶は引き継げる。
正直『成り変わりの魔女』が誰かはわからない。ボクじゃないからココちゃんだと思うけど、もし違った場合はみんなで協力してみつけなきゃ。
ボクだけじゃわからない。でも大丈夫みんなとなら見つけられる。
そして『名無しの魔女』
そちらはたぶん。わかったとかもしれない。
確信はない。だけれどボクの感じたあの不自然さは間違っていないと思う。
ボクの言葉に対してのあの表情。隠しているようにも見えたけど、喜ぶかのような、どこか高揚した表情に見えた。
それを見た時『違う』と直感がした。この直感が正しいのかはわからない。
ただボクは、違う世界のボクが感じたあの『殺意』とこの世界のボクが知った『後悔』を信じる。
転『逆転裁判(前)』
この乙女の尊厳をかけた裁判も4回目。大詰めとなり、予定通り審議は進んでいく。
そんな真偽の初めは、声高々に響き渡ったココの証言だった。
その矛先はアンアン。今まさに前回の自分が成り代わられて誰を処刑させることになってしまったのか理解し混乱しショックを受けている彼女に向けられていた。
弱っている人物をすぐに見つけて矛先にするその感性はある意味さすがだとは思う。
褒めてはいない。
「まず!前回おっさんを処刑することになった時、違ったらわがはいが責任を持つと言った奴がいるからそいつに責任を持たせたほうがいいと思うんですけどー!」
「一回裁判を飛ばした…?という事は、わ、わがはいは…まさかミリアを…」
「大丈夫だよアンアンちゃん」
「だ、だがミリア。もしやマーゴが日中わがはいに出題したあのクイズは…前回わがはいがミリアにやってしまった事では…」
「だから大丈夫。あれはアンアンちゃんがやったことじゃないし、それに君はおじさんの粗相を隠蔽しようとしてくれたじゃないか」
「結果的には雨が降ってくれたが、結局わがはいは隠蔽には間に合わず…」
「大丈夫。アンアンちゃんのその気持ちだけでおじさんはとっても救われたんだ」
「ミリア….」
アンアンが傷つくもすぐさまミリアがフォローに入る。
彼女の優しさにアンアンは包まれ、顔を俯かせる。頬を伝う一筋の涙は見なかったことにしよう。心が痛む。
心が休まる穏やかな光景。だがそれを良しとしない人物が1人。
「ちょーと2人だけの世界に入らないで貰っていい?あてぃしが追求してんですけどー?」
ジト目で2人を見つめ、不機嫌そうに証言台を指でカツンカツンと叩くココ。
誰が見てもわかる不機嫌さ。誰が声をかけても食ってかかる狂犬…いや小型犬のようである。
そんな誰も触りたくない状況になっているココに、ナノカもまたワタシと同じように呆れた目と共に声をかけた。
「夏目アンアンは今混乱しているわ。前回の裁判の記憶がないのに加えて佐伯ミリアを処刑してしまっている。現段階ではそっとしておいてあげたほうがいいと思う。」
「そっとしてるうちに時間が経過しちゃうと思うんですけどー!時間制限わからない以上ゆっくりしてる時間あるわけないじゃん!」
「今回の裁判の結果はすでに前回の最後で決めているから、時間の余裕はあると思うわ」
淡々と事実を返していくナノカ。そんなナノカに対してココが不貞腐れていく
「ちょっとナノカだまっててくんね?話が進まないから」
「進むも何も、もうこれ以上進まないと思うのだけれど?」
「話の袋小路ですわ」
「詰みともいいますねー」
「だから一回落ち着こうよココちゃん」
「だーまってろぅ!ポンコツ!それと三馬鹿!!」
「ま、またポンコツ…」
「だーれが三馬鹿ですの!わたくし以外ならわかりますが!」
「ひ、ひどいよハンナちゃん!」
「どちらかと言うと一番バカっぽいのはハンナさんだと思いますけどね!大丈夫です2人ともお馬鹿さんでも私たちは友達です!」
「あんたが一番頭お花畑にきまってんでしょうが!バカシェリー!」
「おーい。漫才せずにあてぃしの意見聞いてもらっていいですかー?」
「ココちゃん1人で盛り上がらずに一回落ち着こう?ほら深呼吸深呼吸」
「盛り上がってねぇーし!というかなんで『名無しの魔女』っちそんなに冷静なん?」
「『名無しの魔女』っち!?ボクはエマだよ!」
「ぜーてぇ嘘だ!あてぃしは成り代わられてないからあてぃしじゃねーし。というか、あてぃしを吊る理由がないと思う!」
「あるよね?」
「ある」
「あるようだね」
「ある...かな?」
「あるにきまってんだろ」
「あるぞ」
「あるよー」
「ありますわね」
「ありますねー」
「あるわ」
「あるわね」
「あると思うわ」
「えっぐ!皆してなんで!!?というかユキっちもなに同意してんの!?」
1秒かからず12人全員に証言は潰される。
なんで?もないだろう。
ココの戯言が切って捨てられたのをみて呆れながら私はため息をついた。
前回の裁判では、食堂でミリアと話した『なんか違う尊厳裁判』で私が出した結論と同じ結論が皆で決められている。
それは今日『名無しの魔女』の唯一の成り代わり先である2人を吊るということ。これは決定事項だ。あれほど前回の裁判で大騒ぎしたのに忘れてしまったのか。
そんな私のため息と呆れた視線に気がついたのか、ココが今度は私に噛みついてきた。
「なぁーに?その態度。ひどくない!?」
「ひどいも何も前回決まったことだろう?」
「自分が黒幕じゃない可能性があるからって偉そうに!」
「可能性も何も、前回私に2票投票されている。私が『名無しの魔女』に成り代わられないのは確定している」
「いーや!あてぃしは納得行ってないからね!」
「納得も何も公平にジャンケンして決めたじゃないか」
「勝ち抜けじゃんけんで6人でジャンケンした時、一発目でココさんが負けた時はすごかったですねハンナさん」
「あんなココさんの表情はじめて見ましたわ」
「絶望…というには少しコミカルだったかな?」
「レイアちゃん…それはあんまりだとおじさん思うな…」
「あら?ミリアちゃんはそう思わないの?」
「えーと。マーゴちゃん。それはノーコメントで」
「ひどくねおっさん!?あの時、そんなこと思ってたん!?」
「わぁ!違うよココちゃん!おじさんはそんなこと少しも思って」
「ノア、何を書いているのだ?」
「あのねーアンアンちゃん。目が覚めたらあの顔思い出せないから今描いてるんだよー」
「ほぉ〜後で見せてくれ」
「見せてくれじゃねーしヒッキー!!なぁーにいつの間にか普段通りになってんの!?さっきの落ち込みは!?」
「普段通りではないぞココ。わがはいはわがはいの姿でミリアを吊った黒幕に腹を立てている」
「腹を立てているのなら雑談してる余裕なくね?絶対話を進めて黒幕を炙り出そうとした方がいいんですけど〜!?」
「馬鹿か?何を話せばいい?何を話そうが貴様とエマが吊られるだけだろう?」
「吊られるだけじゃねーし!!何が起こるか理解してる!?前回いなかったのに何わかった気になってるし!」
「いーやわかっている。何故なら状況説明はマーゴのクイズで理解している。つまり貴様が吊られてわがはいは黒幕に復讐できる!それが答えだ『名無しの魔女』!」
「だーれが『名無しの魔女』だっていってんの!つーか前回わがはいが責任取る〜とかほざいてたくせに何安全圏にいんの!?ずるくね!?」
「ずるいも何も、前回のわがはいはわがはいではない。お前がわがはいに成り代わって好き勝手に言ったのだ。それこそ前回わがはいの体で言った『責任を取る』とやらを実際にその体で試すといい!」
「だーかーら。あてぃしは『名無しの魔女』じゃねぇって何度言ったらわかんの!?日本語わかる?あーゆー すぴーく じゃぱにーず?」
『Yes!! Do you need a diaper?』
「なめてんのかヒッキー!!」
「どうどう、ココくん一旦落ち着こう」
アンアンのパネルに対してキレて叫び殴り込もうとするココを抑えるレイア。
ココの叫びはまさに怒りを込めたと形容しても誰も文句の言わない感情のこもった叫びだった。乙女の尊厳が死にそうなのだ。ここまで叫ぶ理由はわかる。だがその叫びも無駄に終わる。
それはそうだ。今『名無しの魔女』が成り代われるのはココとエマだけだとみんなで結論が出ている。そんな中、エマは処刑を受け入れココのみが反対をしている。
正誤はどうであれ、怪しいのは圧倒的にココだ。
つまりそんなココが嫌だ嫌だと言っても殆ど誰も聞き入れることはないだろう。
とはいえ、こうも嫌々と駄々捏ねるとどうなるか。我々は覚えている。
だれかが処刑されそうになったり、場の雰囲気が悪くなった時に現れる1人の少女。
そう
「落ち着こうよ!一回話を整理してみよう!もしかしたら別の可能性があるかもしれないよ!」
「おっさぁん!」
「むぅ…」
ミリアがでてくる。
アンアンは不服そうにだまり、ココは眼を潤ませ神に祈るかのようなポーズを取る。
このポーズがメルルだったのなら様になってただろうがココだと馬鹿にしてるようにしか見えないのはどうしてだろうか?
だが、まぁ、誰かが吊られそうになるとそれを防ぐためなんとか平和的に終わらせようとする良くも悪くも優しい少女であるミリアが出てくるのは予想していた。
しかしミリア自身もどうしようもないと思っているのだろう、目が泳ぎ、視線があちこちに揺らめいている。
視線を他の者に移す。
マーゴはおもしろそうに微笑み、エマは何かを考え込んでいる。
君達までもココを処刑しないと言い始めるのはやめてくれよ?
ちょっとした危機感を抱きながら思わずため息をつく。
ミリアを説得するのは私の役目か。
好都合ではあるのだが、どうにも面倒だ。
「なぁーにまたため息ついてるのさ!ほら!おっさんも言ってやれ!」
「え!?な、何を言えばいいのかな!?」
「何って、あてぃしを助ける弾丸で論破的なものを...」
「そんなものは無い」
ココの戯言を切り捨てる。
ぐぇっという苦虫を噛み潰した顔をココがしているが、無視して話を続ける。
「ミリア。今回ココを吊らなかった場合どうなる?」
「それは…次回吊ることになるね」
「そうだ。本来ならば今回で終わる裁判が、次回まで続いてしまう。そして処刑しなければならない人間が1人増える。それが誰だかは言わずともわかるな?」
「あ、あはは。だよね〜」
「だよね〜じゃねぇ!2人処刑するところを、今日エマっちを吊って明日あてぃし吊る…一旦それにしね!?とりあえず今日はエマっち吊る感じで!!」
「一旦!?ひどいよココちゃん!」
「別にいいでしょー。結果は変わらないんだし」
「変わるにきまってますわ!」
駄々こねるココに対してハンナの咆哮が叩きつけられる。
その顔は怒りと焦燥感で真っ赤である。
そんなハンナに対しても怖気付かずココは駄々をこねる。
「えーいいじゃんお嬢」
「いいわけありませんわ!!」
ココの戯言を今度はハンナが切り捨てた。
それはそうだろう。
前回の裁判の最後にて、2票投票される事になったのが私、シェリー、レイア。そんな私たちに投票したのが、アリサ、ココ、エマ。そしてミリアに投票したのが、アンアン、ハンナ。
つまり、現在魔女に成り代わられる可能性があるのはエマ、ココ、ハンナのみ。
そしてハンナは前回成り代わられたアンアンと同じ投票先に投票されているため、今回は成り代わられることはない。
だが、もし次にもつれ込んだ場合ハンナは成り代わられる可能性があり、処刑される可能性があるのだ。
なぜわざわざしなくてもいいおねしょをしなくてはならないのか。
避けれるおねしょは避けて当然に決まっている。
「ねぇいいじゃんお嬢!エマっちと違ってお嬢はおねしょしたくないでしょ?あてぃしと一緒に乙女の尊厳守るために戦おうよー!」
「ココちゃん!ボクもおねしょしたくないよ!?でも今回処刑されることでこの裁判を終えられるんだよ!?」
「そうですわ!なんでわざわざこんな悪趣味な裁判を引き伸ばすひつようがありますの!絶てぇやだですわ!エマさんと仲良くおねしょしてくださいまし!」
「ハンナちゃん!?」
「いーやーだー!エマっちと秘密の関係なんてなりたくねぇー!そんなのマーゴとナノカでいいじゃん!」
「ココちゃん!?」
「やだ!この年でおねしょなんて絶対やぁだぁ!なんであてぃしがこんな目に!!」
「いい加減にしろ沢渡。桜羽や遠野に迷惑かけんな」
「はぁぁあ!?迷惑って何!?あてぃしの乙女の危機なんですけど!?」
「現に迷惑じゃねぇか。ここで2人が吊られれば終わる。桜羽も覚悟決めてんだお前も覚悟決めろ」
「はぁー!!安全圏から好き勝手に!!おねしょしてベットびちょびちょにするなんてあてぃしぜーたい嫌だから!ヤダヤダヤダヤダ!!」
「左伯がおむつくれただろ。それ履いているからびちょびちょになんねーよ」
「キッモ!!だれがあんな恥ずかしいもの履くかっての!」
「履いてねぇのかよ。自業自得じゃねぇか」
「ココちゃんは年頃の乙女なんですぅー。ヤンキーみたいな常日頃からオムツ履いてる奴とちがうんですぅー」
「あぁ?舐めてんのか?」
「舐めてんだよ、ばーか!!」
ついに幼児のように手を振り回し怒りのまま駄々をこねアリサと喧嘩をし始めるココ。
彼女の様々な姿を記憶として見てきたが、ここまでプライドを投げ捨てた姿を見たのは初めてだ。呆れを通り越して憐憫すら湧いてくる。
それほどおねしょをしてしまうという乙女の尊厳を破壊する行為は重いのだ。
まぁ、処刑するのは変わらないのだが。
「…なぁノア。もしやわがはいが参加しなかった裁判でナノカたちの秘密の関係が明らかになったのか?」
「ん〜?...そうかも〜」
「城ケ崎ノア。絵を描いているからって適当に返事をするのはやめなさい。」
「あら?ナノカちゃんは嫌なの?」
「巻き込まないで、ややこしくしないで」
また各自好き勝手喋り始め裁判所がわちゃわちゃし始める。
正しくない。まったくもって正しくない裁判だ。
だが前も考えたのと同じように、皆死ぬリスクがないからこう伸び伸びと話せているのだろう。伸び伸びしすぎだとは思うが。
とりあえず一旦この混沌とし始めた話し合いを落ち着かせるとしよう。
思わずまたもや、ため息をつく。
ちらりとココを見るがアリサとの言い合いで気がついていないようだ。
「今日はため息ばかりつくね?」
さてどう投票を分けて吊っていこうかと頭を悩ましているとレイアがにこやかに話しかけてきた。
「前回決まったことをここまで駄々こねられるとため息ばかりもつきたくなる。」
「ココ君だけにかい?」
「…君らしくないジョークだ」
あまりにレイアらしくないジョークに私は眉を顰めた。
するとレイアもまた苦笑する。
「わかっている。ちょっとした役作りだよ」
「君には似合わない役だな」
「確かに私らしくないジョークだった。まったく柄にもないよ」
そう言ってレイアは楽しそうに笑みを浮かべる。
突然の奇行に眉を顰めるが、レイアは時々こういう事をするのは記憶を見る限り知っている。
これもそれの一種だろう。
私はそう結論付けるも、一応聞いてみることとした。
「一体どうしたんだ。悩みがあるのなら聞くが」
「大丈夫だ。ただ君の真似をしてみただけだよ」
レイアはそういい私に向けてウインクをした。
ーーー私?
その言葉に一瞬呆けてしまう。
私はそんなくだらない冗談をしゃべるタチではない。一体どこが私の真似なのだろう?
疑問を口にしようとした時、先にレイアが口を開いた。
「それで、ここからどうするつもりだい?」
「…どうするとは?」
「ココくんの投票だよ」
「どうするも何も、ココが投票した先を見てから皆の投票先を分配すれば…」
「そこじゃない」
レイアが私の話を区切る。そんなレイアの瞳はじっと私を見つめている。
…流石に気がつくか。
レイアが今から起こる可能性のある避けるべき事態に気がついている事を私は察する。
わざわざいうつもりはなかったが、向こうが催促している以上先に言っておこう。
「それなんだが、説得を頼めるか?」
私がレイアにそういうと、レイアはふふんと息巻いた。
「私に任せたまえ!まったく前回からこの可能性を話していなかったから心配したんだよ?」
「話さなくてもわかる事だと思ったから話さなかっただけだ」
「本当かい?」
レイアが悪戯っぽく笑う。
その疑問に答えようとした時、会話に別の参加者が現れた。
「『この可能性』『話さなくてもわかる事』ってなんですか?」
突然の声にギョッとしながらそちらに目を向けると、そこにはシェリーが私の証言台のすぐそばに移動してきていた。
自分の席を離れての大移動。最初の日私たちが動こうとして動けなかったが、どうやら処刑タイミング以外は動けるらしい。
だがそれにしてもだ
「シェリー自分の席にもどるといい」
「えぇ〜ちょーと気になっただけじゃないですか『この可能性』『話さなくてもわかる事』ってレイアさんとコソコソ話しているから悪い話かなぁて」
私の忠告を無視してシェリーは私に疑問をぶつけてくる。
質問に質問を返すのは正しくない。思わず眉間に皺が寄るが、すぐにレイアはわたしたちの間に立った。
「まぁまぁ、教えてあげてもいいんじゃないかい?」
「わざわざ教えることでも…」
「ぜひ教えてください!!名探偵シェリーちゃんにその情報をくれると全てを解決するかも知れませんよ?」
シェリーはそういうと自信げに胸を叩いた。
自信有り余るほどのその仕草。怪力の魔法がなくなっても彼女の自認はまだ名探偵なのだろう。
しかし、私が言わなかった『この可能性』『話さなくてもわかる事』そこまで重要なものではない。誰でも思いつくことだ。
「今から言う。別段難しい話では無い。面白い話だと期待するなよ?」
「ええもちろん」
了承を取ったのでまず答えを言う。
「それが起こると私たちが全員が処刑される」
「やっぱり今から面白い話だと期待していいですか?」
好きにしたらいい。私は話を進める。
単純な事だ、ココがある行動をとると、全員が処刑されることになってしまう。
ゆえにその行動を制限する必要がある。
そのあることとは…
私が続きを話そうとした時、クックックと怪しげな笑い声が聞こえた。
そちらに目線を向けると、そこにいたの怪しい笑みを浮かべたココがいた。
「そっか〜!わかったよ〜」
「やっとわかったか馬鹿」
「うっせぇヤンキー。あてぃしがわかったのはこの状況を打開する術に決まってんじゃん」
「あぁ?そんなもんないだろ?」
アリサはココの言葉に呆れた声を上げる。
...ある。一つだけある。それが今私がシェリーに語ろうとした方法。
まさかそれをする訳がない。あまりに正しくない行いだ。だれも勝者がいなくなる方法だ。
流石にココでもそれをする訳がない。だが視線の先のココはニヤニヤと笑うばかり。
あまりの不気味さに呆れた声を出したアリサもまた顔を引き攣らせた。
「何気持ち悪い笑み浮かべてんだよ」
「なぁに?ビビってんのヤンキー?」
「ビビってねぇ!それにお前が何したって今回吊られるのは確定してんだ」
「本当にそう思う?」
「あ?」
「まだ別の方法あるし」
「んなもんあったら前回の裁判の時に」
「投票しない」
「は?」
「あてぃし誰にも投票しないよ?」
やはり…説明する前に気づかれたか。
思わず表情を変えてしまうが、傍に座るシェリーは少し悩んだ後、気がついたようだ。
「なるほど…確かに投票しなければみんな処刑になるってルールに書いてましたね」
「そうだ」
「つまり…」
「あてぃしに投票してほしかったら、あてぃしの意見を聞いてほしいなぁ〜って」
にやにやとココが笑う
基本ルール(3)投票の時間は参加者全員が眠ってから始まり、誰かが起きるまでの間。制限時間内に全員が投票しなければ全員処刑される。
ココが誰にも投票しなかったら、全員が投票しなかったと処理され、全員を巻き込んで処刑されることとなる。
つまりココは自らの投票権を人質にとったのだ。
「な、何考えてんですの!?」
「てめぇ何考えてんだ!」
「だってー。しょうがなくね?」
ハンナとアリサが思わずツッコミを入れるが、それでもココの笑みは取れない。
覚悟を決めたかのようにココはいう。
「あてぃしは抵抗するよ?最後まで」
その姿に思わず今日何度目かもわからない、ため息をついた。
さて、どうやってココに投票させるか。
ココの逆転裁判、後半戦が始まる