カサマツの2番星   作:美涼

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大変お待たせしました。
久しぶりで申し訳ないんですがまたしばらく間開くかもです。


夏休み前

シンボリメサイアから宣戦布告を受けてから2週間ほど。私は相変わらずちょくちょく嫌がらせされる日常を過ごしていた。

 

今日は午後から授業がないから、一旦ミーティングをする為にオグリさんのトレーナー室へ向かう。

 

 

「オグリさーんレイダーが来ましたよーっと」

 

「ん、来たか。ちょっと話したい事があるから椅子に座って待っててくれ」

 

「ほーい」

 

 

そう言われて、私は椅子に座り机の上に置いてあるお菓子を食べる。

お、これ美味しい。また今度買ってみよ。

 

 

「レイダー、夏休みの期間別のトレーナーと練習できるか?」

 

「どうしたんですか急に。別に構いませんけど」

 

 

オグリさんはパソコンから目を離し、私の方に向き直って話しかけてきた。

 

 

「いや、そろそろ夏休みだろう?実はクラシック級のウマ娘は夏合宿というものがあるんだ。トレセン学園と提携している所を使ってな。でもジュニア級のレイダーは参加できないんだ」

 

「それって規則なんですか?」

 

「ああ。そもそもジュニア級は疲労を溜めてはいけないんだ。年を跨いで数ヶ月したらクラシックの王道路線が待っているし、それ以外にも重賞は多いからな」

 

「そーなんですか。てかその間って誰が見てくれるんですか?流石にルドルフさんは無理でしょうし。かと言って他の人なんて承諾しないでしょうし」

 

「大丈夫だ。もう既に話は通してある。そろそろ来ると思うんだが…」

 

 

オグリさんはそう言った後、しばらく扉の方を気にしていた。ソワソワと落ち着かない様子で、それがどことなく犬みたいに見えた。

 

少しして、廊下から誰かが走ってくる足音が聞こえてきた。足音の主はこの部屋の前で止まり、勢いよく扉を開けた。

入ってきたのはハンチング帽を被った中年のおじさん…いやもうだいぶ年くってそうだな。

 

 

「すまないオグリ。会議が長引いて遅れた……っておいおい。噂にゃ聞いてたけどマジかよ」

 

「キタハラ!久しぶりだな!」

 

「久しぶりって言うほど期間空いてないでしょうが。ってかそうか。あの噂本当だったんだな…」

 

 

キタハラと呼ばれたその男が部屋に入ってくるなり、オグリさんはその人の目の前に駆け寄っていった。

目ぇめっちゃキラキラさせてるし尻尾めっちゃ振ってるし。犬にしか見えなくなっちゃったよ。

そしてキタハラさんはナチュラルにオグリさんの頭撫でてるし。

 

 

「改めて紹介しよう。この人が夏休みの間にトレーニングを見てもらう予定のキタハラだ。元々私のトレーナーだったんだ」

 

「君がファントムレイダーか。オグリから少し話は聞いてるよ。俺は北原穣。北原でも穣でも好きに呼んでくれ」

 

「あー、オグリさん確認だけどこの人大丈夫な人?」

 

「ああ。キタハラはよっぽどの事がないと口を滑らせないからな」

 

「ならいっか。初めまして北原さん。ファントムレイダーです」

 

「お、おう。よろしく」

 

 

北原さんはなんか若干言葉に詰まった後、私に哀れみの視線を向けてきた。

 

 

「なんですか。そんな人を哀れむような視線は」

 

「あっ。いや、そう見えたならすまない。ただ、オグリがすごい迷惑かけてるんだろうなと思っちまったからな…」

 

「む、私はもう立派な大人だぞ?迷惑はかけた覚えはないが」

 

「じゃあ質問だ。仮にファントムレイダーの靴が壊れた時お前はどうする?」

 

「私は靴は詳しくないから、またベルノに頼る」

 

「ダメじゃねえか。てかまたってどう言う事だよ」

 

「最初にレイダーの靴を選ぶときに、ベルノに着いてきてもらったんだ。久しぶりに話せたから楽しかったな」

 

「いいかオグリ。ベルノ含めお前の知り合いは基本的に有名人だったり凄い奴が多いんだ。そう易々と呼んでいい奴らじゃないの!」

 

「そうなのか…」

 

 

オグリさんめっちゃ落ち込むじゃん。子供なの?

てか一応中学生の前でイチャイチャすな。私の中身大人だからいいけど私が本当に中学生だったら絶対変な噂広めてたぞ。

 

若干白い目で2人を見ていたが、北原さんが咳をして話を戻した。

 

 

「まあ、俺は他にも見なきゃいけない奴らがいるから専属はできないが注目はしておく。ウチのメンツと顔合わせをしたいからまた今度俺のトレーナー室に来てくれ」

 

「わかりました。明後日でいいですか?明日は用事があるので」

 

「別に構わねえよ」

 

「キタハラ、レイダーがいくら凄いからってスカウトするなよ」

 

「そんなことはしねえよ!」

 

 

そんな話をして、北原さんはオグリさんのトレーナー室を後にした。

それを見送ってから、私はひとつだけオグリさんに質問した。

 

 

「オグリさん、北原さんの事好きなんですか?」

 

「好きだぞ」

 

「……ふーん」

 

「私に走り方を教えてくれたし、私の為にわざわざ中央のトレーナー資格を取っていた。…うん。やっぱりキタハラの事は好きだ」

 

 

いやLOVEやなくてLIKEかい!

いやなんとなく察してたけども!天然だから恋愛感情とか鈍そうだなこの人とか思っていたけども!

 

まあ、オグリさんってこういう人だしな。

 

 

「今日ってなんのトレーニングするんですか?」

 

「今日はスピードトレーニングだな。というか、もうそんな時間か。申し訳ないが、スズを呼んできてくれるか?」

 

「りょーかいです。グラウンド行けばいいですか?」

 

「ああ。ジャージに着替えてから来てくれ」

 

 

そのあと私は、スズを呼びにいってからトレーニングをした。

スズは教室で寝てたから叩き起こすと、めっちゃ驚いてて面白かった。

 

しかし、夏合宿か。宿泊研修的な感じなんだろうか。いや部活の遠征の方が近いか?

その日は来年私も経験するであろう夏合宿に思いを馳せながらトレーニングをした。

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