呉爾羅✕駕瞑羅 -二大怪獣最終聖戦-   作:izuminnー3305

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この世で古く、強烈なのは“恐怖”である。

そしてもっと古く、もっと強烈なのは“未知に対する恐怖”である。

ーハワード・フィリップ・ラヴクラフトー


第二話:ルルイエの眠り姫

 ゴジラ、バラゴン、モスラ、ギドラの四大怪獣による“横浜決戦”から二十四年が経過した2025年の夏。

 

 甚大な損害を出しながら見事にゴジラを撃退した日本防衛軍は決戦の経験やガメラやギャオスなどによる怪獣災害から大きく軍事力を強化させ、プラズマ・メイサーやレールガン、さらにパワースーツなどを開発し実戦採用した。

 

 その結果、日本防衛軍は各国の軍事力を超える世界トップクラスの軍事大国となった。また横浜決戦を皮切りに世界各地で多発する怪獣災害に対応する為に日本を中心に国連で『国際対(通称:)怪獣災害(ICA)対策(MD)条約』が締結された。

 

 日本防衛海軍に所属する若年男性の軍人、『金田(かねだ) 信之(しんじ)』は複数名の防衛軍人と考古学者達と共に二機の新型軍用高速大型輸送ヘリ、HО-71 クマバチで伊豆小笠原沖に向かって飛行していた。

 

「では冴島教授の見解ではガメラとギャオス、イリスを作った超古代文明の物であると確信しているのですね?」

 

 迷彩服3型の上から防弾チョッキ3型を着こなし88式鉄帽2型を被った信之が座る席の向かいに座る身軽な服装姿を着こなす初老の男性、『冴島(さえじま) 篤人(あつと)』に問うと冴島教授は頷く。

 

「ええ、そうです金田上級海佐。しかし少し妙な所がありまして断言が出来ないんですよ」

「妙な所?」

 

 すると冴島教授は持って来たリュックサックの中からフォルダーに入った一枚の写真を取り出し、それを信之に渡した。

 

「これは超古代文字ですね・・・いや、待てよ!暗礁となっていたガメラの背中から発見された石板の超古代文字とは違うなぁ」

 

 信之の疑問に冴島教授は頷いた。

 

「そうなんです。その写真は先にルルイエへ向かった先行隊からの物でして。映っている文字は確かに超古代文字ではあるんですが、石板に書かれていた文字とは酷似していない全く別物なのですよ」

「なるほど・・・・」

 

 信之はそう言いながら右手で下顎を触りながら写真に写っている超古代文字を注意深く見る。そしていると二機のクマバチはルルイエへと到着した。

 

 

 超古代都市、ルルイエ。三ヶ月前におこった小笠原沖の海底火山がきっかけで突如、海上へと浮上した超古代遺跡。冴島教授を中心とした発掘調査が開始され、現段階の調査結果ではガメラとギャオス、イリスを作った超古代文明の都市である事が判明した。

 

 さらなる発掘を行う事にはなったが、超古代文明の遺跡である為、まだ未確認の怪獣が眠っている可能性を考慮して日本防衛軍は信之を中心とした海軍内で新たに組織された日本防衛海兵隊の護衛一個連隊が冴島教授の発掘調査隊に同行する事となった。

 

 クマバチが着陸した仮の着陸地点の周りには多くのテントが張られ、さらに多くの考古学の人達が発掘作業をしていた。

 

 着陸した二機のクマバチは後部ハッチを開き、信之達、護衛一個連隊が冴島教授を中心とした発掘調査隊と共に降りるのと同時にもう一機のクマバチからは多くの発掘機材と武器類、物資などが降ろされた。

 

「では金田上級海佐、発掘作業終了まで護衛の方、よろしくお願いします」

 

 冴島教授が信之に向かって深々と頭を下げると信之は20式5.56mm小銃を携えながら笑顔で敬礼をする。

 

「はい。お任せ下さい冴島教授」

 

 それから冴島教授らは先にルルイエに着いていた発掘調査隊と共に発掘を開始、一方で信之ら護衛一個連隊は発掘現場付近の見回りを開始した。

 

「しかし発掘現場の見回りも案外、暇だなぁ」

 

 信之はそう言いながら発掘現場を見ながら、あくびをしていると20式5.56mm小銃を携えた一人の女性海兵隊員、『敷島(しきしま) 明日香(あすか)』一等海尉が金田に近づき声を掛けた。

 

「ちょっと金田!連隊長のあんたが気を緩んでどうするの。本当にあんたは昔から気を緩める馬鹿なんだから」

 

 きつい言葉を投げ掛ける明日香に対して信之は少し呆れた表情をする。

 

「はいはい、ごめんなさいねぇ。でもなぁーーーっ明日香、こう何もないと暇で気が緩んじまんだよぉ」

「まったく!じゃ私はこれから休憩に入るから後はお願いします、上級海佐」

「了解した一等海尉」

 

 そう言ってお互いに敬礼をして明日香は休憩所へと向かった。それを見送った信之は腰のベルトに下げている水筒を手に取り、水を一口飲む。

 

〈誰か・・・〉

 

 突然と響いて来た声に信之は振り向くが、誰も居らず気のせいと思い前を向いた。

 

〈誰か・・・そこに居るの?〉

 

 再び聞こえて来た声に気のせいではないと確信した信之は振り返り、何もない平野に向かって声を掛けた。

 

「おい!誰かいるのか‼」

〈誰か居るのね。私はここよ。お願い、ここから出して〉

 

 確かに聞こえる女の子の声。だが信之以外の人達には聞こえておらず自分のやるべき事に集中していた。

 

 信之は20式5.56mm小銃を構えながら辺りを捜索し始めるが、何もなく。ただ玄武岩の様な黒く、そして灰色の土と石しかなかった。

 

 信之は目を凝らして辺りを歩きながら探していると突然、地面にひびが入り崩れ落ちてしまう。

 

 滑り落ちた信之は落ちた時に発生した軽い痛みに耐えながらゆっくりと立ち上がると上を向き、落ちた穴を確認した。

 

「うわぁ!これはかなり深く落ちたなぁ。こいつは自力では登れないなぁ」

〈私はここよ。お願い、ここから出して〉

 

 再び聞こえて来た女の子の声に信之はハッとなり落ちた洞窟の奥へと20式5.56mm小銃の右横のピカテニー・レールに付けられたライトのスイッチを入れて進み始めた。

 

 

 まるで鍾乳洞の様な入り組んだ洞窟を置くへと進み続ける程、約三十分。すこし開けた空間へと出た。

 

「何だ⁉ここは!」

 

 信之は驚いた。見付けたのは地下洞窟の中に作られた建築物と石板の道。しかも地上の住居跡とは違い、明らかに神殿の様な作りをしており、しかも松明まで灯してあった。

 

 信之は歩きながら周りの建築物を見ているとピラミッドの様な階段の上にポツンと置かれた石棺を見付ける。

 

 信之は駆け足で階段を昇り、上にある石棺まで着くと石棺の蓋に描かれていた物に驚く。

 

「これは一体何なんだ⁉俺達がまだ把握していない怪獣なのか?」

 

 蓋に描かれていたのは人間によく似た体に頭はタコの様な軟体生物の形をし、両手の指と両足の足指は鋭い爪の様に尖っており、背中からは蝙蝠の様な翼を二つ生やした異様な生物の姿であった。

 

〈来てくれたのね。お願い、蓋を開けて。私をここから出して〉

 

 石棺から聞こえて来る女の子の声に信之は確信する。自分に呼び掛けて来た女の子は石棺の中であると。

 

「分かった!すぐに開ける」

 

 覚悟を決めた信之は小銃を構えるのをやめ、両手で石棺の蓋を力強く推し始める。だが蓋は相当な重さで信之の力でもちょっとちょっとしか前に押せなかった。

 

「こなくそぉーーーーーーーーーーーーーーっ!動けぇーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」

 

 そう大声で言いながら渾身の力を出した信之。そしてついに蓋が前へと押され、石棺から落ちた蓋は轟音を上げて地面に横たわり、石棺は開かれた。

 

 息切れをする信之であったが、なんとか呼吸を整えて開いた石棺の中を見ると石棺の外へと出る冷たい冷気と青白い光と共に何と白いビキニドレスを着こなし、頭には見たことがないティアラを着けた青い三つ編みヘアーの女の子が寝ていた。

 

「嘘だろ⁉まさか生きているのか‼それじゃこの石棺はまさか!」

 

 驚く信之が最後まで言おうとしていた時に寝ていた女の子がゆっくりと瞼を開き、信之を見ながらゆっくりと上半身を起こした。

 

「あなたは・・・誰?」

 

 起き上がった女の子に信之は戸惑いながらも冷静に被っている鉄帽を取り、少しボサボサとなったショートヘアーの黒髪を手で少し整え、姿勢をビシッとして女の子に敬礼をした。

 

「私は日本防衛海軍所属、第11海兵護衛連隊の指揮をしています!金田 信之上級海佐であります」

 

 女の子は自己紹介をする信之の顔をジーッと見ていると突然、まるで生き別れた者と再会出来た様な喜びに満ちた笑顔と涙を流しながらいきなり信之へと抱き着いた。

 

「ティガ!ティガなのね‼よかった!生きていたのねぇ‼」

 

 突然の事に驚く信之は引き剥がす様に抱き着いて来た女の子を話して問い掛けた。

 

「ちょっと待て!ティガって誰だ‼それに君は何者なんだ?」

 

 女の子は何故か不思議そうな表情で信之を見ながら答えた。

 

「私を忘れたのティガ?私よ。あなたの幼馴染で婚約者のハイパーボリア王国の第一王女、“カルミラ”よ」

「カルミラ?しかも王国の王女⁉」

 

 戸惑う信之。すると信之が持っている無線に突然と通信が入る。

 

「上級海佐!上級海佐!応答して下さい‼上級海佐!応答願います‼どうぞ!」

 

 信之はハッとなり、急いで無線のスイッチを入れた。

 

「こちら金田上級海佐だ!よく聞こえる‼」

「上級海佐!よかった!急に姿がいなくなったから心配しましよ‼今、何処に居ますか?」

「ちょっと待ってろ!今、照明弾を打つ‼」

 

 そう言いて信之は無線を切り一旦、カルミラに声を掛けた。

 

「カルミラ!君はここに居てくれ‼すぐに戻る」

 

 信之はカルミラにそう言って急いで自分が落ちた穴へと走って向かった。

 

 

 そして信之は20式の銃口に06式小銃擲弾型の赤い照明弾を装着し、上の穴に向かって発射する。地上では隊員達が信之が打ち上げた照明弾を確認し、急いで向かった。

 

 その後、信之はロープを使って降りて来た隊員達と冴島教授達と合流した。

 

「このバカ!心配したんだからね‼」

 

 そう怒る明日香に対して信之はまぁーまぁーと言う表情でなだめる。

 

「すまない明日香。でも凄い発見があったんだ、この洞窟の奥でな」

 

 すると他の男性隊員が二人の間に割って入る様に信之に声を掛ける。

 

「上級海佐、あれは誰ですか?」

 

 信之と明日香は隊員が指差す方を見ると岩の影からカルミラが身を隠しながら覗いていた。

 

「ああ、彼女の名はカルミラ。石棺型のコールドスリープ装置に入っていた超古代人の最後の生き残りだ。大丈夫だよカルミラ、俺の仲間達だ。味方だよ」

 

 信之が手招きするとカルミラはゆっくりと岩陰から出て、皆の前に姿を現す。現れた彼女の姿に明日香と冴島教授を含めた皆が言葉を失う程に驚きながら息を飲んだ。

 

「金田上級海佐、本当に彼女は超古代人の生き残りなのですか?」

 

 話を聞いていた冴島教授がゆっくりと近づきながら信之に問い掛けると彼は頷く答えた。

 

「ええ、そうです教授。しかもどうやら超古代に栄えたガメラやギャオスを生み出した王国の王女らしんです」

 

 その後、カルミラは信之達と共に洞窟を抜けて地上へと出た。そして地上の現状を目の当たりにしたカルミラは愕然とした。

 

「ああぁーーーーっ!そんな⁉ハイパーボリアが、王国が、お父様とお母様が、私の愛した人達が」

 

 膝から崩れ落ちたカルミラは涙を流しながら祖国が滅んだ現実に悲しみ、そんな彼女の姿に信之はゆっくりと近づき抱き寄せてカルミラを慰める。

 

「大丈夫だよカルミラ。俺達が居るから」

 

 その後、信之は副連隊長に指揮権を代行させ自身は明日香と冴島教授と共にカルミラを連れて一旦、本土へと戻る事となった。




今回から登場した信之、明日香の苗字と名前は『鉄人28号』の主人公、“金田 正太郎”とロボット工学者“敷島博士”と『新世紀エヴァンゲリオン』の登場人物、“碇 シンジ”と“式波・アスカ・ラングレー”から由来しています。
また王女、カルミラと幼馴染で元婚約者のティガは共に『ウルトラマンティガ』に登場する光の巨人“ウルトラマンティガ”とティガのリメイク作品である『ウルトラマントリガー』に登場する闇のウルトラウーマン“カルミラ”から来ています。
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