呉爾羅✕駕瞑羅 -二大怪獣最終聖戦- 作:izuminnー3305
あのゴジラが、最後の一匹だかは思えない。
もし、水爆実験が続けて行われるとしたら。
あのゴジラの同類が、また世界の何処かで現れて来るかもしれない。
ー古生物学者、山根 恭平教授の言葉ー
クマバチで本土へと戻った信之達は、そのまま東京湾内に作られた防衛軍の新たな対怪獣用海上軍事基地、『
そしてカルミラはベースにある医療センターで念のために精密検査を受ける事となった。
「なんで健康診断を受けなきゃいくないのティガ?私は至って健康よ」
検査服を着こなしたカルミラが不思議そうな表情で問い掛けると信之は笑顔で答えた。
「すまない、カルミラ。念の為に君の健康状態を調べておきたいんだ。大丈夫、すぐに終わるから」
そう言って信之は明日香と共にカルミラを診察室へ連れて行った。身長、体重、レントゲン、X線、心音検査、呼吸検査、血圧検査、血液検査、聴覚検査、視力検査、尿検査が行われた結果、カルミラは現代人とほぼ変わらない健康体であった。
だが、その一方でベースの専務女性医師である上級陸尉の『
「それじゃカルミラにはガメラとギャオスの細胞が組み込まれていると?」
個室型の医務室で海自の第2種制服を着こなした信之からの問いに陸自の上着を脱いだ上から白衣を羽織り16式制服を着こなす律子が椅子に座り、頷く。
「ええ、そうです上級海佐。でも現段階ではまだ何とと言えません。ただ言えるのは彼女の体には二体の怪獣によく似た細胞があるとだけです」
「それで律子、カルミラは私達、人類にとって危険な存在なの?」
海自の第2種制服を着こなした明日香が問い掛けると律子は首を横に振った。
「それも今現在では分からないわ。でも普通に意思疎通が出来ているから危険は低いはずよ」
するとスライド式のドアが開かれ外から白衣の女性看護師が笑顔で入って来た。
「先生、カルミラさんの着替えが終わりました」
それを聞いた律子は頷く。
「分かったわ、ありがとう。それじゃ行きましょうか」
律子が椅子から立ち上がり、そう言うと信之と明日香は笑顔で頷き律子と共にカルミラの元に向かった。
■
身体検査をすべて受け終えたカルミラは着ていたビキニドレスではコンプライアンスに問題があった為、律子より貰った16式制服を着る事となった。
その後、迎えに来た信之達と合流したカルミラは空いている一室で信之達はカルミラからギャオスによって滅んだ超古代文明について聞いていた。
「これが現段階で日本の考古学会が出した超古代文明滅亡の仮説だ」
長テーブルの椅子に座り、現段階で日本の考古学会が提示した超古代文明滅亡の仮説を向かいに座るカルミラに聞かせた信之。それに対して聞いていたカルミラは口を開いた。
「ええ、確かに私の王国、ハイパーボリアは王国の科学者達が作り出した人工生命体のギャオスによって滅んだわ。でも本来、ギャオスはガメラと共に作られた守護獣であって繫殖能力はなかったのよ」
カルミラの口から出た意外な真実に信之一同は驚く。そしてカルミラは信之達に超古代文明の王国、ハイパーボリア王国について語りだした。
今から約七億年前、地球が誕生して間もない超古代の時代に海中内に初めて生まれたクラゲの一部が突然と起こった太陽のフレア爆発で地球に降り注いだ特殊な放射能を浴びた事で急速な進化が起こり、そこから生まれたのが最初の脊椎動物であり高い知性を持った最古の怪獣、イリスであった。そうイリスは超古代文明が生み出した人工生命体ではなく進化の過程で誕生した古の生物であった。
そんなイリスは自身の肉体から流れ出る特殊な細胞液を海へと流し、生まれたばかりの生物達の進化を促進させギドラ、モスラ、バラゴンと言った多くの怪獣達を生み出しただけでなく、超古代の類人猿でハイパーボリアの祖でもある『ショブ=ニグラス・サピエンス』を生み出した。
そんな中で高い知性を持ったショブ=ニグラス・サピエンスは自らの力で文明を築いて行ったが、同時に広く多くの命の母である海を称える『クトゥルフ族』、偉大な神力が宿る風が吹く大地を称える『ハスター族』、命を生み出した神々が住む神域である山脈を称える『ツァトゥグァ族』、文明を生み出した大になる父である火を称える『クトゥグァ族』によって分かれ、さらに信仰の違いで対立が激しくなった事で戦争が起こってした。
人類同士の戦争が激しくなるに連れて地球の自然は破壊されて行き、このままでは地球が滅んでしまうと思ったイリスは平和と共存を望む少数民族の『ガタノゾーア族』の男女、“ロイガー”と“ツァール”に自身の一部であり交信の為の魔石、“ニャルラトホテプ”を二人に与えた。
そして二人は人類同士の戦争に割って入っては人々にイリスの言葉を伝えた。そして自分達の争いが地球の命を危機に陥れている事に気付き、ようやく全人類は戦争を止め、武器を捨てた。そしてイリスも最後の言葉として超古代人類達に太平洋上に大陸を作り平和を築く事を伝えた後に今の日本本土にある山奥に自身の新たな命を残し、その命を終わらせた。
その後、超古代人類はイリスの言葉に従い太平洋上に人工の大陸を作り、そして平和へと導いたロイガーとツァールを中心とした王家を組織、平和と共存を愛する超古代王国、ハイパーボリア王国が誕生したのであった。
■
カルミラがある程度の場所まで話し終えると信之が自販機で買って来た缶ジュースを飲み、喉を潤す。
「なるほどね。でもまさかイリスが作られた存在じゃなくて原種の生き物だったのは驚きだな」
「そうね。しかもイリスが全ての生物の祖でもあったなんて。それでカルミラ、一体なぜギャオスは超古代文化を滅ぼしたの?」
信之の左隣の席に座る明日香からの問いにカルミラは悲しそうな表情で答えた。
「あの日、天から大きな岩が降って来たの。それがきっかけでギャオスは制御出来なくなってしまったの」
カルミラの話では白亜紀後、ハイパーボリア王国は大きく繁栄していた。そして王国の守り神として王国の科学者達は採取したイリスの細胞を使って人工生命体、ギャオスを生み出した。ところが突然と宇宙から巨大な隕石が落下。幸いにも落下したのは今のアメリカ大陸であった。
だが落下した衝撃で隕石に含まれていた未知の宇宙放射線が世界中に拡散し、それを浴びたギャオスが突然変異を起こし本来であれば繁殖器官を持たないはずであったが、突然変異による急速な進化で生殖器官を付け、さらに高い知識を得た事で突如として超古代人類や古代生物達に牙を向いた。
恐るべき食欲と爆発的繁殖能力はもはやハイパーボリアですら手に負えない所まで来てしまった。そこで科学者達は急ぎ魔石ニャルラトホテプを模した特殊合金魔石、“アザトース”と人工生命体、ガメラを大量に生み出しギャオスに対抗した。
王国はおろか全世界を巻き込んだ大戦はハイパーボリアと恐竜を含めた多くの古代生物を絶滅へと追いやった。何とかギャオスを滅ぼす事は出来たが、世界中に拡散したギャオスの卵までは根絶させる事が出来ず、滅び行く王国の中でカルミラだけでも冷凍睡眠に入れ、後世の人類文明の為にいずれ来るであろうギャオスの再来に備えてアザトースを通して生き残ったただ一匹のガメラに“地球の生命を災いから守る”使命を与えて長い眠りに着かせたのであった。
「なるほどね。それがあの沖ノ鳥島で発見されたガメラの墓場の正体だったのね。しかし、私達や倉田の見解はどうやら的外れだったようね」
立ったままカルミラの話をコーヒーの入ったマグカップを片手に聞いていた律子が納得した表情でいると突然、扉が開かれ赤いベレー帽を被り16式制服を着こなした一人の女性作戦指揮官、『
「信ちゃん、取り調べは終わった?」
美里の何気ない冗談に信之、明日香、律子は呆れた表情で軽く溜め息を吐く。
「美里二等陸将、カルミラは犯罪者じゃないですよ。それに公私混同はやめて下さい」
信之が注意をすると美里はまるで親しい間柄の様に信之に近づく。
「もぉーーーーっ信ちゃんは硬いんだから。ところで彼女、これからどうするか決まった?」
美里の問い掛けに明日香と律子が代わりに答えた。
「いいえ、まだです二等陸将。今現在は我々が保護する事にはなっています」
「上からの命令では彼女の事については公表を控える様にとは言われているから、しばらくはベースで暮らす事にはなるは」
「ふふぅーーーん、なるほどねーーーっ」
二人の話しを聞いていた美里は何かを思い付いた様な笑顔でをする。
「実は色々と私が上と掛け合って、カルミラちゃんは私と信ちゃんが住んでいるマンションで生活する事になったから」
満面の笑みの美里の口から出た衝撃に信之達は目を丸くした。
「「「はい⁉︎」」」
一方のカルミラは一体何の事なのか全く理解しておらず、キョトンとしていた。
新たに登場した弓 美里と早乙女 律子の苗字と名前はそれぞれ「マジンガーZ」に登場するヒロイン、「弓 さやか」と「ゲッターロボ」に登場するヒロイン、「早乙女 ミチル」と「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する「葛城 ミサト」と「赤木 リツコ」から来ています。