転生したら赤ガヴだった件   作:仮面大佐

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第21話 英雄王の来訪

 俺たちは、お盆の後も日常を過ごしていて、月日が経過した。

 その間、豚頭族から進化した猪人族達は、カイジン達の指導の下、あっという間に技術を覚え、頼れる労力になっていた。

 ゲルドやギルド達の頑張りのおかげで、街の発展が進んでいく。

 徐々に発展していく村を、俺たちは丘の上から見ていた。

 家や服とかも出来て、上下水道や道路とかも出来てきた。

 これは、リムルの前世のゼネコン時代の知識を使ったそうだ。

 

「それにしても、お前、色んなお菓子を作るように頼んだんだってな?」

「まあね」

 

 リムルがそう聞いてくると、俺はそう答える。

 そう。

 色々な施設を作る様に頼んだのだ。

 ゴチゾウを生み出す為にも。

 色々と必要かなと思って。

 こうして、安住の地、俺たちの町が出来た。

 ………のだが、そうは問屋が卸さないのだった。

 俺たちの所に、蒼影がやって来る。

 

「リムル様、タオリン様。緊急事態です」

「え?」

「どうした?」

 

 蒼影の報告に、俺たちは首を傾げた。

 それは、ペガサスに乗った騎士団が、この町にやって来たとの事だった。

 どうして、そうなったのか。

 


 

 それは、少し前、武装国家ドワルゴンでは、暗部からの報告を、ガゼル・ドワルゴ国王が聞いていた。

 そして、その報告書を、蝋燭の炎で燃やす。

 

「王よ、暗部は何と?」

「…………豚頭帝は討伐され、戦争が終結したそうだ」

 

 ガゼルのその言葉に、ドルフは驚く。

 

「何ですと!?」

「13万の豚頭族は、暴走する事も無く、各地に散ったらしい。しかも、猪人族に進化してな」

「そんな事が………!?」

 

 ガゼルの言葉に、ドルフは再び驚き、ガゼルは考えていた。

 

『複数の上位魔人の参戦により、戦争は終結。魔人達は、例のスライムと魔人の配下であると思われる………か。魔人を従え、魔物に進化を齎す者たち。此度の件、対応を誤れば、国が滅ぶやもしれぬ』

 

 ガゼルは、複数の上位魔人………鬼人勢………を従えているのが、スライムと魔人………俺とリムル………である事を見抜き、口を開く。

 

「あのスライムと魔人の正体、余自らが見極めてやろうではないか」

 

 そうして、ガゼル王とペガサス・ナイツは、俺たちの町に向かって来ていたのだ。

 そんな事を知る由もない俺たちは、すぐに着陸するであろう場所へと向かう。

 向かっているのは、俺、リムル、シズさん、絆翔、紅丸、蒼影、紫苑、リグル、リグルド、嵐牙、カイジンだ。

 俺たちは、上空を見上げると、そこにはガタイの良い男の姿が。

 

「まさか………!」

「ドワーフの英雄王………!」

「ガゼル・ドワルゴ………!」

「マジかよ…………⁉︎」

 

 カイジン、リムル、俺、絆翔はそう言う。

 何であの人が。

 一国の王がやってくるというのは、相当な出来事だからだ。

 すると、紅丸が質問して来る。

 

「リムル様、タオリン様。いかが致しますか?」

「出来れば、争うのは避けたいんだが………」

「相手の出方によるか」

「問題ありません!蹴散らせば良いのです!」

「いや、蹴散らしたら、面倒臭い事になるだろ!」

「まあ、いざ戦闘になったら、住民たちを避難させる」

「その間、俺たちで時間を稼ぐぞ」

「はっ!」

 

 俺たちがそう話している間、旋回していたペガサス達は、一斉に地面に降り立つ。

 カイジンはガゼル王の下に向かい、跪く。

 

「お久しぶりでございます」

「…………久しいな、カイジン」

「はっ!」

 

 カイジンとガゼル王は、そんな風に話す。

 俺とリムルは前に出ると、ガゼル王は俺たちを睥睨する。

 

「スライムに魔人か」

「最初に名乗っておく。俺の名はリムルで………」

「俺の名前はタオリンだ。魔人呼ばわりはやめてほしい」

「これでも一応、俺たちはジュラの森大同盟の盟主なんでね」

 

 俺とリムルはそう言って、リムルは人間としての姿になる。

 リムルが口を開く。

 

「こっちの方が、何かと話しやすいだろう?」

「………それで、何の用ですか?」

 

 俺とリムルはガゼル王にそう尋ねる。

 俺とリムルの質問に対して、ガゼル王が答える。

 

「…………単刀直入に言おう。リムル、タオリン。貴様らを見極めに来たのだ」

「………見極め?」

「俺の剣で、貴様の本性を見抜いてくれるわ」

「なるほど………」

「この森の盟主になったなどとホラを吹く貴様らには、分という物を教えてやらねばなるまい。その剣が飾りでないというのなら、俺の申し出を受けるが良い」

 

 ガゼル王はそう言って、剣を抜刀しようとする。

 部下達もガゼル王の行動に驚いたのか、声をかける。

 

「王よ、まさか………⁉︎」

「ふん。本気で戦ってみるのが、手っ取り早いであろう?」

「よし、その申し出を受けるよ」

「ホラ吹き呼ばわりした事、後悔させてやるよ」

 

 部下の一人がそう言う中、ガゼル王がそう言う中、俺とリムルはそう答える。

 そうして、まずはリムルとガゼル王との一騎打ちとなった。

 ガゼル王が口を開く。

 

「俺の一連の攻撃を防ぎ切ったら、貴様らの勝ちで良い。それは、後にやるお前も同じだ、タオリンよ」

「ああ。リムル、負けんなよ」

「ん?ああ!」

「ただし、この俺、剣聖ガゼル・ドワルゴの剣を甘く見ない事だ。」

「分かった」

 

 ガゼル王はそう説明する。

 どうやら、一騎打ちの形になるみたいだ。

 そんな風に話すと、リムルとガゼル王は剣を構える。

 すると、風が吹いて来て、トレイニーさんが現れる。

 

「トレイニーさん」

「それでは、立ち会いは私が行いましょう」

「ん?」

「まさか、樹妖精(ドライアド)?」

 

 トレイニーさんが現れて、そんな風に言うと、部下の一人はそんな風に言う。

 トレイニーさんの姿を見たガゼルは、突然鼻で笑った。

 

「貴様らをホラ吹き呼ばわりした事は、謝罪するぞ。それに、事情も朧げながら読めたわ」

「じゃあ………!」

「だが、貴様らの人となりを知るのは、別の話だ」

「だろうな」

「立会人も決まったならば、あとは剣を交えるのみ」

「ああ、そうだな。軽く勝利して、今回の件をきっちりと説明してもらうとするわ!」

「フフ………!俺に勝てたなら、答えてやるさ」

 

 ガゼル王がそんな風に言うと、リムルは希望を見出したのか、そんな風に言う。

 それに対して、そんな風に言う。

 そうして、トレイニーさんの開始の合図と共に、リムルが駆け出す。

 最初の攻撃は防がれるが、すぐに走って、別の方向から仕掛ける。

 ガゼルはリムルを突き飛ばすが、すぐに着地する。

 

「貴様の力は、そんなものか、リムルよ!」

「うるさい!まだ本気を出していないだけだし!慌てんな」

 

 ガゼルの挑発に、そう答えるリムル。

 ガゼルの攻撃で、リムルは大きく下がる。

 あの動き……………見覚えがあるな。

 すると、ガゼルはある構えをする。

 

『あの構えは………そういう事か』

「行くぞ、リムル!朧・地天轟雷!」

 

 俺は、それを見て納得した。

 そんな中、ガゼルがそう叫ぶと、ガゼルが消え、リムルは、下からくる攻撃を躱し、上から来る攻撃を、刀で受け止める。

 

「ふん。フフフ………ハハハ!俺の剣を受け止めおったわ!」

「え?」

「それまで!勝者、リムル=テンペスト!」

 

 トレイニーの宣言と共に、ガゼル王は剣をリムルから退かす。

 すると、ガゼル王は俺を見ながら口を開く。

 

「リムルは分かった。次はお前だ。タオリンよ」

「ああ」

 

 今度は、リムルの代わりに俺が出て、ガヴガブレイドを取り出す。

 ちなみに、変身はしていない。

 この状態で、どこまで行けるのか、試したいからだ。

 俺の意識は、ガゼル王のみを捉えていた。

 

「始め!」

 

 トレイニーさんのその声と共に、俺は駆け出して、ガヴガブレイドで攻撃する。

 ガゼル王は自分の剣でこれを受け止める。

 少しの間、鍔迫り合いとなり、お互いに離れる。

 

「ほう。やるではないか。だが、それが貴様の本気か?」

「大丈夫です。俺は徐々に上げていくタイプなんで」

 

 ガゼル王の挑発に、俺はそう返す。

 今度はガゼル王が仕掛けて来て、俺はガヴガブレイドで剣を受け止める。

 そして、俺は少し離れる。

 ガゼル王は、再びあの構えをする。

 

『…………来るっ!』

「行くぞ、タオリン!朧・地天轟雷!」

 

 ガゼル王は一瞬で消え、俺は下からくる攻撃を躱す。

 俺は攻撃を見極めていた。

 

「来る!上だ!」

「なっ⁉︎」

 

 俺はそう叫ぶと、ガゼル王の剣をガヴガブレイドで弾く。

 そして、ガヴガブレイドを構えると。

 

「今度はこっちから行かせてもらう!朧・流水斬!」

 

 俺はそう叫ぶと、水をまとったガヴガブレイドで斬撃を行う。

 ガゼル王の剣を切断して、ガゼル王の首元に剣先を突きつける。

 

「こんなもんかな」

「…………まさか!俺の剣が斬られるとはな!」

「それまで!勝者、タオリン=テンペスト!」

 

 トレイニーの声と共に、ガゼル王は、部下に剣を持たせた。

 俺は、ガヴガブレイドをしまう。

 ガゼル王は、俺とリムルを見ながら言う。

 

「剣を交えて、よく分かった。お前達は邪悪な存在ではない」

「うんうん」

 

 ガゼル王の言葉に、紅丸達は後ろで頷く。

 それを聞いたリムルは。

 

「何でだよ………」

「それにしても、よくぞ俺の朧・地天轟雷を見切ったものよ。見事だったぞ、リムル、タオリン」

「偶然だ。何せ、その技をよく使う師匠が居てな。俺も、訓練でよく打ちのめされたんだよ」

「なんだと?まさか、その師匠というのは………」

 

 リムルが呆れていると、ガゼル王がそう言い、俺はそう答える。

 俺の答えを聞いたガゼル王がそんな風に驚いていると、白老が前にやって来る。

 

「ああっ………!」

「お?」

「白老」

「ほっほっほ。お見事でしたな、リムル様、タオリン様」

「おおっ………!剣鬼殿!」

 

 白老の姿を見て、ガゼル王が驚いていた。

 えっ?

 2人って知り合いなの⁉︎

 俺がそう驚いていると。

 

「森で迷っていたあの時の小僧が、見違えましたぞ。………いや、失礼、ドワーフ王。わし以上の剣士へと成長したようで、重畳ですじゃ」

「剣鬼殿にそう言っていただけるとは………」

 

 白老がそんな風に言うと、ガゼル王は嬉しそうにそう言う。

 どうやら、白老が師匠って事か。

 世界って、意外と小さいもんだな。

 すると、ガゼル王が俺たちに話しかけてくる。

 

「さあ早く案内してくれリムル、タオリン。上空から見たかぎりじゃ美しい町並みだったぞ?美味い酒くらいあるのだろう?」

「…………まぁ、ありますが」

「裁判の時と比べて軽すぎない?」

「なぁに。こっちが素よ」

 

 そんな風に話しながら、町へと戻る。

 移動している中、魔物の危険度について、ガゼル王から色々と教わった。

 

「魔物の危険度?そんなのがあるんだ」

「大まかな区分だがな。災害級(ハザード)災厄級(カラミティ)災禍級(ディザスター)と上がっていく。例えば豚頭帝(オークロード)災害級(ハザード)だ。群勢は別だがな」

 

 俺がそう聞くと、ガゼル王はそう答える。

 そんな風に設定されてるんだ。

 

「魔王はどこに区分されるんだ?」

「魔王ならば災禍級 (ディザスター)だな。だが一部の魔王は天災級(カタストロフ)が存在する。」

「もう一段上があるんだ………」

「文字通り天災だ。怒らせれば世界の崩壊が起こりかねん」

「マジかよ…………」

 

 リムルがそう聞くと、ガゼル王はそんな風に答える。

 魔王となると、そんな風になるんだ。

 すると、ガゼル王が口を開く。

 

「暴風竜ヴェルドラも天災級(カタストロフ)よ」

「やっぱり………」

「まぁ、会うことなど普通にしていればない存在だ」

「ちなみに俺達はどの階級に当たるんだ?」

「街を造る魔物は前代未聞。その知性の高さと集団から見ても災禍級(ディザスター)となるだろう」

「人間側から考えたらそうだろうな」

 

 ガゼル王はそんな風に説明する。

 まあ、街一つを軽く滅ぼす事が出来るのだから、無理もないけど。

 そんな風に話をする中、旅館に到着する。

 


 

 その夜、宴をしながら、俺たちはガゼル王の話を聞いていた。

 

「なるほど」

「豚頭帝を倒した、謎の魔物集団の調査だったと」

「それが敵となるか、味方となるか、見極めにな」

 

 まあ、そうするのが正しい判断だろう。

 すると、ガゼル王が真面目な顔で、俺たちに聞いてくる。

 

「リムルにタオリンよ。聞きたい事がある。」

「おう」

「俺と盟約を結ぶつもりはあるか?」

「あっ」

「お前達がもしも、この広大な森を全て掌中に出来たならば、我が国をも上回る富と力を手に入れる事が出来よう。その時に、後ろ盾となる国があれば、便利だぞ?」

 

 ガゼル王は盟約を持ちかけてくる。

 確かに。

 後ろ盾があった方が、何かと良いしな。

 

「願ってもない事だが………」

 

 リムルはそう言うと、紅丸達の方をチラリと見て、聞く。

 

「良いのか?それは、俺たち魔物の集団を、国として認めると。そう言っているのと同じだぞ?」

「無論だ。それとこの話、我らにとっても、都合が良い」

「………と、言いますと?」

「お互いに利益があるからな」

 

 リムルがそう聞くと、ガゼル王はそう答える。

 俺とリムルはお互いをチラリと見て、答える。

 

「断る理由はないね。喜んで、受けたいと思う」

「よし。…………で、お前の国の名前は何と言うのだ?」

「………お」

 

 ヤッベェ。

 国の名前とか、一切考えてなかった。

 豚頭帝討伐後、色々と忙しかったからな。

 すると、リムルが口を開く。

 

「ジュラ・テンペスト連邦国だ」

「ジュラ・テンペスト連邦国」

「おおっ!」

「さすが、リムル様です!」

「では、国の名はジュラ・テンペスト連邦国!この町の名前は、リムルと致しましょう!」

「お?良いね!」

「中央都市、リムルです!」

「おいおい!それはちょっと恥ずかし………」

「決まりのようだな」

「………ああ」

 

 こうして、国の名前はジュラ・テンペスト連邦国、首都は中央都市リムルに決まった。

 だが、この時の俺たちは気づいていなかった。

 俺たちに興味を示す者達がいる事を。

 そして、それをきっかけに、テンペストに嵐が巻き起こる事も。




今回はここまでです。
今回は、ガゼル王がやってきた話です。
ガゼル王と戦い、盟約を持ちかけられ、二人はそれを受け入れた。
こうして、ジュラ・テンペスト連邦国が誕生した。
そして、いよいよあの魔王がテンペストに向かってきます。
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