機動戦士ガンダムSEED COORDINATION   作:笑嘲嗤

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第12話 陰謀

 俺は船に戻ってすぐに吐いた。頭がガンガン響く。二日酔いなんて目じゃない苦しさだった。あの能力は一体なんだ。あの時聞こえた女の声も。

 

「大丈夫ですか?」

 

 ラクスが俺に水のパックを差し出してくる。ありがたくそれを貰う。

 

「横になられた方が……」

 

「そんなこと言ってられない。ロミ。すまなかった」

 

「いいえ。気にしないで。でも相手の船がこっちをつけてきてるのは変わりないわ」

 

「まあそれはそうだろう。むしろ逃げられるチャンスが」

 

「ええ。なくなったわ。仕方なかったとはいえ人質作戦は下策ね」

 

「だけどまた生き延びられた。なら希望はあるさ」

 

 とりあえずはこのまま航行し続けよう。振り切ることはできないが、相手からの攻撃はないとみていい。しばらくは安全を手に入れた。それだけで良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会議は紛糾していた。

 

「攻撃するべきだ。テロに屈すれば帝国はもたない」

 

 アンサラーは出来もしないことを気軽に言っている。わかってて言っていることはこの場の誰もが察していた。

 

「ラクスを失うわけにはいかない!!」

 

 皇太子のオルフェは叫ぶ。大層ラクス・タオは大事にされているのだろう。だが代わりに踏みにじられている人間がいることをラグンヒルはよく知っている。どこかこの男を冷めた目で見ている自分に気がつく。

 

「ふん。埒が明かないな。休憩としようじゃないか」

 

 アンサラーは会議室から出ていった。多分このままつかず離れずの追いかけっこをするのだろう。

 

「大佐。取引を持ち掛けるのは駄目ですか?」

 

 廊下でアンサラーの隣についてラグンヒルはそう言った。

 

「皇太子殿のあのご様子をみただろう。子供が駄々をこねている。君の提案は魅力的だが、通ることはないな」

 

 そしてアンサラーは私室へと入ってしまう。ラグンヒルは近くの壁を殴る。

 

「なんで上の人間が駄々なんてこねるのよ!ふざけんな!」

 

 だがその叫びは誰にも届かない。

 

 

 

 

 

 

 アンサラーは部屋に入ってすぐにシャワーを浴びてバスローブに着替える。仮面はしていない。そのままデスクに向かい、モニターを開く。そして通信プロトコルを起動させてどこかへと通信を繋ぐ。

 

『なんのようだ?情報か?おしゃべりか?』

 

 モニターの向こうに金髪に橙色の瞳の女の顔が映る。豪奢な軍服を纏っていた。

 

「そう気難しい顔をしないでくれ。いい情報と助言があるんだ」

 

『情報を言え』

 

「では単刀直入に。ガンダムが出た」

 

『は?ガンダム?』

 

「ああ。帝国が作ったわけでもない未確認のガンダムだ。今戦闘データをそっちに送る。確認したまえ」

 

 モニターの向こうの女はそのデータをじっと見て目を丸くしている。

 

『なんだこの機体は?!誰がこんなものを創ったんだ?!』

 

「ヤヌアリウスの跡地から出てきた。おそらくだが、シーゲル・クラインの作ったモノだろう。無補給で動いているから核動力だ。そんなものを創れるのはシーゲル・クラインくらいだろう」

 

『ファクトリーのガンダムはすべてエゥーゴが把握し保有しているんだぞ!』

 

「ファクトリーにさえ黙って作っていた。なにか特別な使命があるようだね。ファクトリーを継承した娘のラクス嬢にさえも秘密にしていた。そう考えると面白いだろう?」

 

『ラクスにさえ言えない機体だったというのか?』

 

「そう言うことだ。これは帝国にとって脅威だよ。なにせあのブラックナイツ相手にも一方的に押し込んだんだ。その戦力はエゥーゴにとって魅力的だろう?」

 

『たしかにな』

 

「いま私の船がガンダムと付かず離れずの位置で追いかけてる」

 

『攻撃や鹵獲はしないのか?』

 

「ガンダムを手にした男のグループがラクス嬢を確保した。人質にしている状態なんだよ」

 

『なんだよそれは?!まるで昔のアークエンジェルみたいじゃないか!』

 

「キラ・ヤマトの再来かも知れんな。くくく」

 

 アンサラーはアイスを冷蔵庫から出してスプーンですくって口にする。その顔は愉悦に歪んでいる。

 

『キラの名前をだすのやめてくれ』

 

「くだらない。指導者なら私情は棚に上げろ」

 

『そんなのはわかっている。ガンダムの行く先はわかっているのか?』

 

「いや。だが誘導はできる。どうだろう?そちらの艦隊をはけんしてみたらいかがかな?」

 

『なに?』

 

「ガンダムとラクス嬢。その二つを手に入れられる。君のエゥーゴでの発言権はこの上なく高まるだろう」

 

『わたしは今宇宙にはいない』

 

「イザーク・ジュールはどうかな?」

 

『なぜ?』

 

「邪魔だろう?エゥーゴにコーディネーターの実力者は不要だ。君はデスティニープランから人々を解放した後を見据えている。その世界にコーディネーターの国家は必要かな?」

 

 モニターの向こうの女はアンサラーを睨みつけている。

 

『わかった。イザーク・ジュールの艦隊にガンダムの迎えを頼む。その時には』

 

「ああ。私たちがラクス嬢救出を名目に思い切り殴りつけてやる。イザーク・ジュールは亡き者に。ガンダムはどさくさに紛れて地球に降下だ。それを君が回収すればいい」

 

『了解した。では手配する。座標を教えてくれ』

 

「座標はdf8-gq0-mxi112だ」

 

 それだけ聞くと女は通信を切った。そしてアンサラーはほくそ笑む。

 

「さあユウ・ニニギ。世界の関節は外れてしまったぞ。君はどう動くのかな?くくく、あははははは!!」

 

 陰謀が策動を始める。運命は今動き出した。

 

 




ここでラクスを返せるのがキラ。

ここでラクスを返せないのがユウ。

キラは筋を通すためにラクスを返した。

ユウは守る人たちがいるからラクスを返せない。

駄々こねるのがオルフェ。

面白がるのがアンサラー。

その女だれ?とかヒスってるのがラグンヒル。

そして特に悪いことなんもしてないイザークが殴られる。

イザークは泣いてもいい!
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