機動戦士ガンダムSEED COORDINATION   作:笑嘲嗤

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第14話 旅路の果て

 また会議は紛糾するのかと思われた。だがアンサラーが静かにこう言ったのだ。

 

「妥協策を考えた」

 

 モニターに敵艦隊の姿が現れる。

 

「襲撃はする。だが船は沈めない」

 

「それじゃあ何のために襲うんですか?」

 

 ラグンヒルが当然の疑問を持つ。アンサラーはニヤリと笑う。

 

「するとだ。イザーク・ジュールはガンダムを地球へと降下させる。ラクス嬢も乗せてだ」

 

 誰もがはっとした。あり得ない話ではない。

 

「そうしたらガンダムを鹵獲すればいい。ラクス嬢もセットで返ってくる。お得な作戦だろう」

 

 誰もがその作戦に賛同に傾きつつあった。皇太子オルフェだけが沈黙を保っていた。

 

「ここで妥協できないのであれば、私は勝手に相手を沈めるよ。イエスかノーかだけ言い給え」

 

 しばらく皇太子は何も言わなかった。

 

「女というものはねぇ、多少なりとも荒っぽい男を好くものだよ。自分の気持ちを尊重などしないようなものに支配されたがってる。証明できるぞ。ラクス嬢の命も顧みずに救おうとする決意こそが彼女の心を射止めるだろう」

 

 悪魔のささやきとでもいうべきなのか。だが皇太子はしばらく考え込んで。

 

「わかった。すぐに出撃しろ。ガンダムを鹵獲するんだ」

 

「ふむ。では勝利の栄光を君に捧げよう」

 

 アンサラーはわざとらしく敬礼する。本心がどうかは知らないが作戦はこれで決まった。すぐにラグンヒルは着替えてドックに向かう。百式に乗り込んで発進シークエンスを待つ。

 

『百式。発進シークエンス。百式どうぞ!』

 

「百式、出すわ!」

 

 そしてカタパルトから百式は飛び立つ。愛する人に会いに行くために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 艦が揺れた気がした。そしてすぐにシホさんがやってきた。パイロットスーツを着ている。

 

「すぐにガンダムに乗ってください!」

 

「敵襲か?!なら俺も!」

 

「いいえ!子供たちもシャトルで地球に降ろします。あなたたちは自分のみを守ることだけ考えてください!」

 

 すぐに俺とロミとラクスはガンダムのところまで連れていかれる。俺は前方の席に、ロミは後ろの席。ラクスは俺の隣に助手席を出してそこに座った。

 

『先にあなた方を出します!そのあとに子供たちの乗ったシャトルを出しますから!』

 

「わかった!ありがとう!」

 

『地球への降下は指定の軌道で行ってください!』

 

「了解!ガンダムで行く!」

 

 俺はガンダムを艦から出す。外はしっちゃかメッチャかな戦場になっていた。子供たちのシャトルも続いて出てくる。それを守るように俺たちは地球へと近づいていく。

 

『ユウさん!みつぃけたぁあ!!』

 

 一機の金ぴかのMSが俺に近づいてくる。ビームを放つが、それらは装甲でかき消された。

 

「またメタ張られた!」

 

『ユウさん!!帰ってきてあたしに!そいつらはいらないからぁ!!』

 

 ラグンヒル機と鍔迫り合いになる。子供たちのシャトルは無事に地球に向かってすすでいる。俺は冷静にこの子を振り払えばいい。それだけに集中だ。そう集中するんだ。

 

『ラクス!迎えに来たよ!!』

 

 そこへブラックナイツたちが近づいてきた。

 

「冗談くれるな!!」

 

『ああ!冗談にしてやろう!!』

 

 デュエルガンダムが迫るブラックナイツの前に立ちはだかってくれた。

 

「イザークさん!」

 

『お前は先に行け!!ガンダムはエゥーゴに!自由を求める人たちに必要なのだ!!』

 

 ブラックナイツをたった一人で翻弄する。

 

『こいつ。思考が』

 

『早すぎる!!』

 

『お前らが愚図なだけだ!!こしぬけぇ!!』

 

 あれが第一次第二次を生き抜いたエースの力。凄まじい。俺はその猛攻に甘えさせてもらう。

 

「ラグンヒル!邪魔だ!!」

 

 鍔迫り合いからビットを切り離し、ロミにオールレンジ攻撃を仕掛けさせた。案の定、ラグンヒルはすぐに距離を取ってビームを躱していく。

 

『その女はいらない!!どけよぉ!!』

 

「しつこいわね。鬱陶しいわ」

 

 ラグンヒルが近づかないようにビットを周囲に固定し、砲台として弾幕を張る。あと少し。あと少しで地球への降下軌道に乗れる。そんな時だ。嫌な予感がして回避を取る。近くにブラックナイツの一機が迫っている。

 

『ラクスは渡しませんよ!』

 

「なら邪魔すんなよ!!」

 

 だがその時だった。

 

『ニコル。お前もこんな気持ちだったのか?ああ。すがすがしい……』

 

 遠くでデュエルが爆発したのが見えた。

 

「嘘だろ。嘘だろぉおお!!」

 

 そしてブラックナイツたちが一気にこちらに迫ってくる。だがそのとき、機体が一気に重くなった。

 

「重力めぇ!!」

 

 地球の重力に捕まった。俺の横を平行して飛ぶラグンヒルも同じように捕まったようだ。ブラックナイツたちは停止していた。あいつらはどうやら諦めたようだ。

 

『ユウさん!ユウさん!手が!手が届かないようぅ!!』

 

「……すまない。その手を取る余裕がないんだよ」

 

『他の女のせいじゃない!!』

 

 そんなんじゃない。そう言いたいが言い合うだけ無駄だ。もう軌道へのエントリーに入っているのだ。ラグンヒルは徐々に遠ざかっていく。

 

「ふぅ。これで……ふえぇ」

 

 俺とラグンヒルの間をシャトルが降りてきた。窓には心配そうにこちらを見るクレアの顔が映っている。

 

『ふがいない脱走兵めぇ!!』

 

 そしてラグンヒルがシャトルに向かってライフルの銃口を向ける。

 

「やめろぉ!それには!!」

 

 ライフルからビームが放たれた。それはあっけなくシャトルを捕らえて。破片が。破片が飛び散る。翼の大きな破片がガンダムにぶつかって軌道が逸れる。

 

「まずい!!軌道が!軌道が修正できないわ!!」

 

 モニターはアラートでいっぱいだ。そしてだんだんと赤く染まって。青い空に出た。なのに子供たちはもうどこにもいない。

 




ユウ……。

次章ー自由の国へようこそ!ー

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