機動戦士ガンダムSEED COORDINATION   作:笑嘲嗤

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第16話 姿なき悪意

 戦闘が行われている林から少し離れた山間部に一機のモビルスーツがいた。上半身はダガー系列だが、下半身はバクゥのような四脚の奇妙な機体だった。そのコクピットにはディショーンとキャサリンが乗り込んでいた。複座の前にディショーンが後ろにはキャサリンがいる。ディショーンはモニターにガンダムを表示させながら、ポップコーンを摘まみ、コーラを飲んでいた。キャサリンは大してひたすらサブモニターを見ながらキーボードを高速で操作していた。

 

「ユニウス条約があったからできなかったが、やっぱりミラージュコロイドの部隊は脅威だね」

 

「そのようですね。これでガンダムが討てればよし。失敗しても損耗するのはソキウスたちだけ。在庫一掃のチャンスですね」

 

「在庫とはひどいね」

 

「あんな主体性のない生き物は在庫ですよ。ナチュラルのためといいながらも、そのナチュラルを管理対象と考えているのですから歪んだ選民ですよ。うっとおしいことこの上ないです」

 

「まあ彼らは鼻についたな」

 

「所詮はコーディネーターですよ」

 

「あたりが強いねぇ。おっと!すごいぞガンダム!三機の同時攻撃を躱しやがった!ひゅー!!」

 

 二人はまるで野球を観戦するかのように戦闘の風景を楽しんでいた。

 

「粘るなぁ。ガンダムは核動力だが、こちらはそうではない。いずれはミラージュコロイドも消えてしまう。時間切れでの負けなんて退屈だよ。まるでぐだったサッカーみたいだ」

 

「では我々アメリカ人らしく、野球のように進めましょう。ピッチャー交代!マリーンレイダース!!」

 

 キャサリンがノリノリで何処かへと指示を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵の姿が見えないのがこんなに厄介だとは!さっきからずっと押し込まれてる。こちらは防戦一方だ。

 

「相手の反射神経が早い。ナチュラルじゃないな!」

 

「ええ。コーディネーターでもたぶん上澄みの方ね。初回から出し惜しみはしないってことね。でもこっちにラクスがいるのはわかってるはず。なのに容赦がなさすぎる!」

 

「人質が通用する相手じゃないってことだな!ラクス!よろこべ!俺たちは戦友だぞ!!」

 

「うれしいですわね。ですがこのままだと一緒に死んでしまいますわね。わたくしはかまいませんけど?」

 

「それはごめんだな。ロミ!モニターのパラメーターを弄ってくれ!」

 

「どうしたいの!!」

 

「解像度を下げてくれ!木々の揺れだけ検知できればいい!そこだけに処理を集中させろ!どうせ見えないんだからな!!」

 

「わかったわ!!」

 

 すぐにモニターの解像度が著しく落ちる。カラーではなくモノクロになり、さらにはコマ落ち位に変化がなくなる。だけど。

 

「揺れがみえんだよぉお!!」

 

 木々の揺れだけはくっきり見えた。すぐにそちらに飛び掛かり、ビームサーベルで切り裂く。そして爆発する前の機体を近くにぶん投げる。それは空中で停止した。ようは味方に当たったということだ。

 

「みえなくてもみえた!!!」

 

 そちらにビームライフルを放ち一機撃破した。

 

「よし行ける!このまま叩く!」

 

 木々の揺れだけを頼りに敵機をばっさばっさと切っていく。相手の動きがだんだんと精彩を欠いているように見えてきた。よしこれなら……!そのときだ。木から何かが降ってきた。モニターの上に銀髪の男が載っている。迷彩服を着た戦闘員?

 

『ナチュラルのためのプラン万歳!!』

 

 そう言って男は胸に巻かれた爆薬のスイッチを押した。肩あたりで爆発が起きる。機体がよろけた。モニターに血がべっとりと表示された。すぐにCG処理で血は消された。

 

「はぁ?うそだろ!何だよ今の!?」

 

「ソキウスシリーズだわ!まさかMSにカミカゼしてるっていうの?!」

 

 ロミが何か知っているようだが、それでも俺は混乱の中にいた。また木から何人か同じ顔の銀髪の顔の男たちが降ってくる。そいつらはガンダムにとりつき次々と爆発していく。

 

「うがああ!なんだよこれ?!なんなんだよ!!!」

 

「ひどすぎますわ?!こんなの?!」

 

 俺もラクスも恐慌状態に近い。それに機体からアラートが出てる。

 

「ユウ!まずいわよ!関節部をやられてる!特攻で隙間に衝撃入れられたのよ!」

 

「ち!すぐに上昇!ビットを展開できるか!」

 

「やれるけど!大気圏下だと機敏に動けないわよ!」

 

「それでもいい!四方八方にビームを乱射する!!」

 

 俺はガンダムを飛び上がらせてビットを展開する。そしてあちらこちらにビームをひたすら乱打した。木々が倒れていく。そしてその中に倒れきってない木々を見つける。ようはMSが木の下敷きになっているってことだ。

 

「うおぉおおおお!!」

 

 ビットを展開して軽くなった機体で敵のダガージンを切り裂いていく。数は数えてない。だけど沢山切った。

 

「周囲に機体は?!ないな!ない!!」

 

「だけどまだ歩兵がいるわよ!」

 

「ロミ、ラクス!目を瞑ってろ!!」

 

 俺はそう命じる。だけど二人とも目は瞑らなかった。周囲の木々に頭部バルカンを掃射する。木々から同じ顔をした男たちが血みどろになってぼろぼろ落ちてくる。

 

「ぐぅ。こんなことさせんじゃねよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 敵の全滅は確認できた。俺はただ叫び続ける。あまりにもむごい戦場に吐き気がとまらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 観戦していたディショーンとキャサリンはガンダムにロックオンする。すると山間部に隠れていたMS体が姿を続々と現す。

 

「砲撃開始!」

 

 ディショーンの命令によってMSたちがビームをガンダムに向かって放つ。そしてディショーンと一部の部隊がガンダムに向かって進撃を開始する。

 

「さてガンダム。我々は逆転ホームランを打ってやったぞ。如何にするかね?」

 

 ディショーンが機体を走らせる。それはまるで騎兵隊の如く。そしてガンダムとすれ違いざまにビームサーベルを振るう。

 

『新手か?!』

 

「違う。ずーっと見ていたよ。ユウ・ニニギくん」

 

 声だけの通信をディショーンは入れる。砲撃の雨の中でガンダムの周囲を素早く駆け抜けながらひたすら切りつけていく。ガンダムはなんとかそれらを捌いていた。だがあちらこちらから煙を噴き始めている。

 

『お前があなんなことを命令したのか?!外道め!』

 

「何をいう。MS以外の手段だって使ってもいいんだ。だって我々は戦争しているんだからね!」

 

『やり方があるだろう!』

 

「それは敗者の言い訳だ!!」

 

 ガンダムはディショーンに翻弄され続けている。そしてとうとう装甲が灰色になり膝をついた。

 

「ユウ・ニニギ。本当はいっぱいお話したかった。そしてラクス・クライン。さようならだ!!」

 

 ガンダムを討とうとするまさにその瞬間だった。ディショーンが横にさっと避けた。そしてさっきまでいた場所をビームが掠めていった。

 

『よう!ガンダム!!カウボーイが来てやったぜ!!』

 

 赤と白と青で塗られたギャンがガンダムを庇うように立った。さらに同じようなカラーのゲルググたちが続く。

 

「ち。じゃまだなぁウェントワース・アズラエル!!」

 

 ディショーンは舌打ちをしてすぐに退いた。帝国軍のMSもまた退いていった。

 

「助かった…のか……?」

 

 ユウは操縦桿から手を放す。そして通信が入った。

 

「よう。歓迎するぜ!ガンダム!ようこそ!自由の国アメリカへ!!」

 

 モニターに映っているのは金髪碧眼の白人男性だった。ジーンズにチェックのシャツの民間人にしか見えなかった。

 

 

 

 

 

 




ソフトウェアの変更で対処するのはキラリスペクトです。


自爆覚悟でMSに取りつくとかいうド鬼畜外道作戦。
ユウのトラウマがまた一つ増えた(;´Д`)


ちなみにディショーンはナチュラル、キャサリンはコーディネーターですね。

そしてウェントワース・アズラエルはみんな大好き盟主王の息子さん。


ではアメリカ篇。始まります。
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