機動戦士ガンダムSEED COORDINATION   作:笑嘲嗤

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第18話 シュラとアイスクリーム工場

 アンサラーはアルテミスに呼び出しを喰らった。皇帝アウラとシュラ・サーペンタイン、オルフェ・ラム・タオ。帝国の重鎮たちの前に立たされている。

 

「結果的にラクス嬢は無事だろう?なら良かったではないか。懸案だったエゥーゴのイザーク・ジュールも死んだ。何か不満でも?」

 

「妾には不満しかない!ルゥ!ガンダムを取り逃がすどころか、妾の娘のラクスを!」

 

「エゥーゴには合流してない。北米大陸東部に墜ちたから物理的に合流も出来ないだろうさ」

 

 アウラの詰問にアンサラーは悪びれもせずに答えた。

 

「母上。この男はラクスへの敬意がないのです!」

 

「なんだ?ママに告げ口かね?本当に情けないものだな。アウラ。お前の子育てはどうなっているんだ?」

 

「母上を呼び捨てにしたな!!」

 

 アンサラーは口元を喜悦に歪める。本来ならばこの会合はアンサラーを絞り上げるためのはずだったのに、気がつけば彼のペースでことはすすでいた。

 

「アウラ。それよりもあのガンダムと担い手のことだ」

 

「あのガンダムは一体なんなのじゃ?」

 

「ヤヌアリウスを調査してみた。ガンダムを格納していたと思われる地下基地が見つかった。そこにあったデータを解析中だが」

 

「だが?だがなんじゃ?」

 

「あの機体は間違いなくシーゲル・クラインが作ったものだとは確定した。だがね。問題はそこではないんだ。実は気になってね。デスティニープランのサーバーのログをチェックさせてもらった。あの機体、デスティニープランとリンクが繋がっている」

 

「なに?!そんな馬鹿な事?!あり得ない!!」

 

 アコードとアウラたちがざわつく。

 

「あの機体のオーナーズマニュアルと仕様書の一部とプランのサーバー側のログを付き合わせて仮説が一つたった。あの機体はハーフコーディネーターにしか操れないようになっている」

 

「ハーフコーディネーター?ふん。雑種などにわざわざ乗せさせるなど……」

 

 アウラは鼻で笑う。だがアンサラーは真剣な声で言った。

 

「雑種強勢」

 

「あ?ああ?!まさかそんな!!」

 

 元遺伝子工学の学者であるアウラにはその言葉に耳覚えがあった。

 

「ありふれた技術だな。穀物も家畜も交雑第一世代を利用するのはごくごく一般的だ。ガンダムのオーナーであるユウ・ニニギの過去を調査した。初等教育から大学まで、すべての分野でつねに一位を取り続けていた。コーディネーターしかいないプラントでだぞ。彼はコーディネーター以上の性能を発現しているんだ。いいや。かつてユーレン・ヒビキが最高のコーディネーターを創り出したいと願ってキラ・ヤマトを生み出した。人工子宮を用いて遺伝子発現を100%コントロールする技術。だがね。そんな必要はないのだ。ナチュラルとコーディネーターの交雑第一世代のヘテロ接合とエピジェネティックな遺伝子発現だろうね。それらによってユウ・ニニギはコーディネーターの設計図通りの性能を発揮するに至ったんだよ。天然のスーパーコーディネーターといったところかな」

 

「……そうか。ああ、それならば納得はいく。だがそれは……」

 

「政治的には危険。だろう?遺伝子測定による安定した社会を建前にしているからこそ、コーディネーターは優良種として貴族になれた。なのにユウ・ニニギの存在があからさまになればかつてのクライン派の自然に帰れという声が無視できなくなる。帝国のイデオロギーが危機にさらされているんだよ」

 

 アウラは目を瞑り考え込む。

 

「だが我々アコードがいればそれも無意味だ!!」

 

 シュラが叫ぶ。

 

「たとえ天然のスーパーコーディネーターだろうと我々はすでにキラ・ヤマトを討ったのだ!たかが一人とガンダム一気に帝国は揺らぐことはない!!」

 

「ふん。まったくわかってない。視野が狭いなアコード。まあ所詮は遺伝子を弄らなければ有能になれなかった者たち。ブスが化粧をしているようなものだ。滑稽だよ君たちは!!」

 

 アンサラーは挑発をし、笑いだす。それが修羅の癇に障った。

 

「貴様の動きには怪しいことが多すぎる!帝国への忠誠も怪しいものだ!」

 

「なら覗いてみるかね?どうぞ。私に恥じることなど何もないのだ」

 

 アンサラーは自分の頭を指さす。シュラは激昂し、その思考をよもうと試みた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シュラとアイスクリーム工場!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シュラは気がついたときにはどこか寒いところに立たされていることに気がついた。

 

「なんだここは?」

 

「ここはアイスクリーム工場だ」

 

 近くに仮面の男が立っていた。

 

「ラウ・ル・クルーゼ?!」

 

「何を知ったとて、何を手にしたとて、変わらない、最高だなアイスは!!」

 

 突然クルーゼは絶叫する。周囲には甘いバニラの香りが漂っている。そして霧が晴れる。

 

「なんだ此処は……」

 

 シュラの前に広がる光景はあまりにも歪だった。豊かな芝生にはコーンやキャンディなどが刺さって林のようになっている。さらにその間にアイスクリームの川が流れていた。そしてそのコーンの隙間からひょっこりと金髪の美少年が顔を出した。

 

「レイ・ザ・バレルなのか?!」

 

 レイはビキニのパンツ一丁に毛皮のコートを纏っていた。

 

「破廉恥だぞ!」

 

「気にするな。俺は気にしてない」

 

「俺が気になるんだ!!」

 

 そしてレイが、さらに同じ姿で沢山コーンやキャンディの間から出てくる。

 

「なんなんだこれは?!」

 

「まもなく最後の扉が開く!!」

 

「何が開かれるというんだ!うわ!!」

 

 シュラは上から降りてきたUFOキャッチャーに掴まれて宙に浮く。そしてレイたちが踊り始める。

 

『あの人より傲慢なぁ♪イキり童貞空を飛ぶ♪』

 

 無駄な美声で歌い続けるレイたち。

 

「これが人の夢、人の望み、人の業!」

 

 クルーゼはアイスのコーンをマイク代わりにして叫び続ける。

 

『傲慢な童貞は♪アイスクリームにしちゃえ♪』

 

 レイたちはコートを脱いでシンクロしながらアイスの川に飛び込んでいく。

 

「これがさだめさ!知りながらも突き進んだ道だろう!」

 

「だから何をする気なんだ!!?」

 

 シュラはアイスの川の上にまで運ばれる。下ではレイたちが白いアイスでドロドロに淫靡に各々ポーズをとっている。そしてアイスの川の中からコーンが生えてくる。それはコーンというにはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、そして大雑把過ぎた。

 

「もはや止める術などない!」

 

「止めてくれぇえええええ!!」

 

 そしてキャッチャーはシュラを放した。シュラはコーンに墜ちていく。そしてシュラは立派なアイスになれた。そしてシュラは考えるのをやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シュラはアンサラーの前で膝をついた。

 

「うぁああああ!!寒い寒い!あまりにも寒すぎるぅ!!!」

 

「ルゥ……」

 

「アウラ。人の頭の中など知らぬ方がいいのさ。まあ他人にしつけられるのもたまには悪くあるまい?」

 

 シュラはガタガタと震えていた。もう会議どころではないようだ。

 

「とにかくあのガンダムはプランと何か交信している。それを掴むまであのガンダムを積極的に討つのはやめておくべきだ」

 

「だが帝国にも威信がある」

 

「なにガンダムは伊達ではないよ。ユウ・ニニギは帝国軍やブルーコスモスを嗾ければよい。あの男ならどんな試練も超えてくるはずだ」

 

「ルゥ。何を考えている?」

 

「言っただろう?人の頭の中など想像するべきではない。ガンダム。せいぜい見届けようじゃないか」

 

「ラクスの救出は行う。それで妥協しようぞ」

 

「わかった。助かるよアウラ」

 

 アウラとアンサラーの間で妥結が結ばれた。世界はより混沌へと舵を切った瞬間だった。




悪ノリしたかっただけだぞ!
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