機動戦士ガンダムSEED COORDINATION 作:笑嘲嗤
ラクスの機嫌が悪い。家に帰ってもつーんとしている。
「今日もロミさんと遅くまで遊んできたんですわね」
「仕事してきたんだけど」
「スロットとにらめっこしたり、麻雀するのがお仕事ですか?その間にわたくしは一人で家を掃除したりお皿を洗ったり大変でしたのに」
ああ言えばこう言う。最近俺とロミは賭場に出てギャンブルで荒稼ぎしていた。流れってやつを昔は信じてなかったけど、今はわりとあるんじゃないかと疑ってる。ロミはパチンコパチスロでバカ勝ちするし、俺は俺でカードカウンティングが冴えわたる。手こずったのはやたらとあごの細い人たちしかいないざわざわうるせえ雀荘くらいだった。
「金なきゃなんも出来ないんだよ」
「なんですのそれ!お金を稼いだ方が偉いってことですか!!」
なんでそう受け取られるのかわからない。とにもかくにもラクスは今ぷりぷり怒ってる。酒を飲んでテレビの野球中継見ながらバナナをぺろぺろしていた時を見た時なんか、正直に言ってヤバいと思ったもの。どうすりゃいいのかわからない。すごく困っていた。
部品屋のおっさんのところにやってきた。ガンダムの設計データからシミュレーションした部品の検討が必要だったからだ。おっさんと専門的な話を終えて一段落着いた頃だった。
「そう言えばあのピンクの子は今日は来ないのかい?」
おばさんがルートビアを渡しながらいった。
「今日は俺だけ仕事。あの二人には休みを出した」
つーても二人とも家の外には出ない。出れないというのが自然か。
「なんだい?ちゃんと一緒にいなきゃだめじゃないか!」
「うーん。今彼女機嫌悪いんですよ。そっとしておきたい」
「そりゃもっと駄目だよ!!女は構わなきゃダメ!!」
そんなこと言われても。話せばすぐに喧嘩する羽目になる。今は生活でいっぱいいっぱいなのだ。
「あんたもしかしてレスになってない?」
「レス?ああ、そうだね。ニューヨーク来てからやってないな。仕事が忙しくて」
「おーまいがっと!そりゃ可哀そうだよ!あんた!そりゃ不機嫌にもなるよ!」
「因果関係が全く理解できないんですが?」
「かー!これだからインテリ坊やは!女だって性欲はあるんだよ!抱いてやりないよ!」
「ええ…ぴんとこない」
「じゃあこれをくれてやるよ!今すぐに帰ってここに行きな!」
差し出されたのは二枚のチケットだった。
「デスティニーランドのチケットだよ。隣接するホテルに一泊できる。娘夫婦からもらったけど、うちらはそういう年でもないからねぇ!あんたらにやるよ!」
半ば強引にチケットを握らされた。
「女に100の言葉を贈るよりも!一本のおちんぽ!それが合言葉だよ!!」
下品すぎる。だがおばさんの言うことには説得力があるようにも思えたのだ。
「ほら!行っといで!こんどはあの子と一緒に来な!」
背中を押されて店から追い出される。そしてモーテルの部屋に戻ってきて。
「あら?お仕事じゃなかったんですの?部屋が狭くなりましたわ」
かちんと来るような物言いだったが、堪える。俺はチケットをラクスの前に差し出す。
「ここに行きたい」
「はい?」
「ラクス。お前と行きたいんだ」
ラクスは目を丸くしていた。だけどすぐに柔らかな顔になって、そっぽを向く。
「え、ええと!準備!準備いたしますので!外で待っていてくださいませ!」
「ああ」
俺は外に出された。そしてしばらく待つとラクスが出てきた。ノースリーブのワンピーススカート。丈はひざくらいでフワフワした感じ。だけど胸元がわりと開いていてセクシーな感じがあった。
「ああ。あっと。いつもと違う感じだね」
「それだけですか?」
「いや。だけど可愛いね」
ラクスはやっと笑顔を見せてくれた。そして彼女は俺の左手側に寄り添う。俺はラクスの手を取った。
「一緒だって約束したから」
「そうですわね」
ラクスは頬を少し染めていた。あれ?すごく。なんだろう。すごく可愛いです。何度もセックスしてるのに、なんかきゅんとくるんだ。あれ?なんだろうこの気持ち。とりあえずそれは棚に上げてデスティニーランドへと向かった。
デスティニーランド。世界的に人気なアニメブランドのテーマパークである。開戦前にプラントにもできるという話があったが、開戦でそれはなくなった。
「じつは来てみたかったんですの!!」
ラクスはすごく楽しそう。まだゲートをくぐったばかりなのに。着ぐるみのキャラクターたちに子供が群がっているが、そこにラクスも突撃しかねない感じだ。
「とりあえず写真いっしょに取ろうか?」
スマホを取り出して、キャラクターを挟んで俺たちは並ぶ。近くのスタッフドローンにスマホを渡すと器用に写真を撮ってくれた。
「きゃー!かわいいですわね!」
「俺も懐かしいよ。子供のことはよく見てたし」
「わたくし、像が空飛ぶのが好きでしたわ!」
「あああれか。そう言えばあれ途中でやたらとシュールなシーンが入るよな」
「酒入って飛ぶんですわよね。今思うとすごいお話ですわね」
わりと不思議だ。俺とラクスは育った環境というか、階級が違う。向こうはプラント最高評議会の議長の家でありザフトの設立者だ。モノホンのコーディネーター貴族だ。対して俺は母親がナチュラルの、言っちゃ悪いがプラントの被差別階級出身だ。だけど同じ文化を共有してたいた。
「俺もラクスも同じものを見て育ってたんだな」
「そうですわね。同じなんですね。人って」
なにか俺たちの間に共通点みたいなものが出来たように思える。だけどこんなことさえも気軽に話せないままここまで来ていたんだ。
「ゾウさんのコーナー行こうか。なんかジェットコースターあるんだと」
「それはたのしみですわね」
俺たちはただただ二人の間にある微かな共通点を膨らませることだけを楽しんでいた。写真を撮って、お菓子を食べて、アトラクションを楽しんで。無心に子供のように遊んだ。気がついたら夜のパレードを俺たちは耳飾りをつけて愉しんでいた。そしてパレードが終わる。
「もうお終いなんですわね。でも楽しかったですわ」
「ラクス。まだ終わりじゃない」
俺は海に面する桟橋でラクスを引き寄せて抱きしめる。そして唇を奪った。
「あっ。ずるいんじゃないですか?」
「いいんだ。ここからは大人の時間だから」
俺はもういとどラクスにキスをする。今度は向こうからも舌を絡めてくるような情熱的なやつだった。
「ラクスお前が欲しい。今日は帰さない」
「……はい……」
顔を真っ赤にしたラクスは俯いて、でも俺に体を預けながら一緒に歩く。そしてチケット使ってホテルに入る。部屋に入ってすぐに俺たちは激しくキスして抱き合った。一緒にシャワーを浴びてイチャイチャして、すぐにベットに入って激しく交わり続けた。
「ユウ!ユウ!ユウ……!」
「ラクス!」
互いに名前を呼び合う。ここには俺たちしかいなくて、世界なんて関係なくて、ガンダムも、デスティニープランも関係ない。ただの男と女がただ自然にお互いを求め合っていた。それが本当に気持ちよくて。なによりも目の前の女が愛おしかった。
最近はラクスの機嫌がいい。朝には一品だけ俺にはおかずが多くついてくる。
「シャンパン入りましたわー!」
前よりもラクスは人を引き寄せるようになった。なんか艶々しいというか瞳がキラキラしているというか。まあよくわからないけど。夜に賭場荒らしにでても文句を言わなくなった。俺たちが帰ってくるのを待って食事をして、夜になればイチャイチャしながらテレビを見て、ベットでは毎日セックスして。あれ?やっぱりセックス大事じゃん?!と俺は心底思ったのだ。
「あらぁ!お嬢ちゃんうまくいってるのねー!」
「ええ。元気でやっておりますわ」
おっさんのところにやってくるとおばさんはラクスを見て褒めていた。
「前よりもずっと綺麗で可愛いわよ!」
「ふふ。ありがとうございますわ」
セックスが体にいいのか心にいいのかは知らないが、ラクスの機嫌がいいのならよし!そして話は変わる。
「お前らは賭場を荒らしすぎたな。ニューヨークは全部出禁になったんだろ?」
「うん。まあ稼ぐには稼げたからいいんだけどね。まだ100億にはさすがに届かないよ」
「じゃあいい儲け話をこっちから提案してやるよ。俺の知り合いにクランバトルをやってる奴がいるんだが」
「クランバトル?」
「モビルスーツ二機によるMAV戦術。一機でも無双してくるコーディネーター相手にナチュラルが考案した戦術だ。二機のMSが有視界戦闘で互いを補い合うんだよ」
「ふーん。それは知らなかったな。まあ理にかなってるよね」
コーディネーターは言っちゃ悪いけど、大昔の侍の一騎打ち的な発想から抜けられないところがある。あるいは騎士の突撃精神か。
「そのクランバトルは賭けの対象になってる。もちろんパイロットも相手を倒せば高額の賞金が手に入ることになる」
「殺しはやりたくないんだが」
「安心しろ。相手の頭を破壊すればいい。まあコックピットを露骨に狙ってくる奴もいるが、一応頭を壊せばそれで勝ちだ。最後の一機まで残ったチームが勝つ」
クランバトルなんて言うものがあるとは。でもMSがここまで出回るようになればそう言う競技も生まれるか。
「お前らならMSの腕はいいだろう。クランバトルに出るんだ。いま友人のチームがパイロットを探してる。顔を繋いでやるよ。そこで稼げ」
「なるほどね。わかった。やろうじゃないか」
やっと自分の得意領域が出てきてホッとする。同時にチキン屋に未練も覚えるが。こうして俺たちはクランバトルにのぞむことになったのだ。
ラクスには生々しい女の鬱陶しい我儘をやってくれ!!
そんなこと言って!原作の天然フワフワキャラを壊す気なんだな!
そうでもあるがああああ!!