▼梗詩魚、そこそこフラグ立ってるし、最終回でしれっと結婚してそうだなって プロポーズは某エロゲのこぼれ話参考
pixivより転載
梗史郎は東大を受けるはずだった。
受けるはずだったが落ちた。理由は単純だ。共通テストでインフルエンザをもらってきてしまい、東大の受験でへろへろだったのだ。
そういうわけで、滑り止めで受けた父の大学に入学したのだった。
最初は不本意だったが、講義を受けていくうちにまぁそんな毛嫌いするほどでないか……となった。
八重子と真木とは確かに同じ大学に入ることになったが、向こうは4年生。就職活動や教育実習に忙しい頃なので特に交流は持たなかった。隙間時間があれば抽斗通りに向かっていたし、自身も巻き込まれた。特に真木はなかなか内定が決まらず(八重子は早々に内定をもらったので教育実習と卒業論文に専念していた)、百暗の元に愚痴をこぼしに行っていた。
それから1年が過ぎて、八重子と真木は無事卒業していった。梗史郎は健やかに2年に進級した。
さて──梗史郎の結婚話が浮上してきた。
父の藤史郎は運命の相手に高校生の頃出逢ったので高校卒業と同時に結婚した。息子の梗史郎はというと、それらしい相手はいなかった。なので結婚せずごく普通に大学に進学したのだった。
憑物筋ゆえに短命の家系。なので早婚が推奨されるし、子作りもなるべく若いうちにしておけと言われる。そのフォローは家全体で行う。結婚したいし子どもも欲しいのに、その前に死んでしまったら悲劇この上ないからだ。
そういうわけで、梗史郎はレポートを書きつつ、考えを整理していた。
できれば健康な女性がいい。これは猫附家の男が本能的に求めるところだ。次に明るくあればいい。猫附家の男が大抵ひとりきりを望むのに、女性に求めるところがこれである。
あと、大事なのは、ちゃんと好きかどうか。短い人生、愛した人と一緒にいたい。
──以上を鑑みて、梗史郎は後ろを向いた。
高1の頃から猫附家に入り浸るようになった、犬飼詩魚である。以前は居間で杏子も交えて菓子を食べていたが、次第に梗史郎の部屋でもらった菓子を食べるようになった。話題は相変わらず自由だったが、梗史郎は以前ほどそれを不快に思うことはなかった。元々は無関心だったのもあるが。
気が付いたら、詩魚は当たり前のように日常に溶け込んでいた。それは決して不快ではなく、寧ろ──。
それで、梗史郎は、タブレットキーボードに文章を打ち込んでいた手を止め、振り向いた。
「あれ? どうしました先輩」
犬飼はきょとんとしていた。
そんな彼女に、梗史郎は言う。
「犬飼。俺と結婚する気はないか」
「いいですよ!」
「そういうわけで、犬飼が卒業次第式を挙げることになった。一応お前にも報告に来た」
「します! 結婚! 指輪もらいました!」
「いや色々早くない!? いや藤史郎の奴も高校卒業してすぐに結婚していたけど、詩魚ちゃんはいいのか!?」
「え? 先輩ほど信頼できる人はいませんよ?」
「惚気!!」
そういうわけで、犬飼詩魚は猫附詩魚になることになる。
了