【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… まで完結!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

49 / 49
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
https://hatuyuki-ku.com/?p=707


第49話 かくして、俺はまた肩身が狭くなった

「レトゥス製薬会社の日本支社で見つけた、隠語のグレープフルーツは、俺が処理した。村ごと消してな?」

 

 生徒会室に、沈黙が満ちた。

 

 (いな)真夕(まゆ)は、すぐに指摘する。

 

「待って! 10人以上の失踪者がいた村のこと? 地元の県警では全く不明のようだけど、何があったの?」

 

「人知を超えた邪神がいた……。そう思ってください! 知ることで発狂するため、お勧めしません」

 

 不満そうな真夕は、しぶしぶ黙った。

 

 代わりに、天城(あまぎ)梨理香(りりか)が訊ねる。

 

「月面の『アルカディア』による悲劇は、これで防げたと考えましょう! ですが、事態はより深刻になりました。もはや、地球上でいつ同じような存在が出てきて、同じように滅びるやら……」

 

 のんきな女刑事の京本(きょうもと)香穂(かほ)が、指摘する。

 

「それこそ、あなたが予知すれば?」

 

「私の未来予知は万能ではなく、それだけでは警察も動きにくいと思います」

 

 ポーカーフェイスの梨理香は、歯切れの悪い返事。

 

 これ以上は、議論する意味がない。

 

 俺は、上座にいる生徒会長、安倍(あべ)良高(よしたか)を見た。

 

 頷いた彼が、宣言する。

 

「ひとまず、分かった! ここでいきなり発砲した件は、本来なら退学とそれなりの処罰にするべきだが……。警察がもみ消したことから、対外的な問題はない! ウチとしても、天城くんの未来予知を信用するなら時間との勝負だったと言わざるを得ず、現状では何もなかったと見なす」

 

 露骨にホッとしたのは、俺ではなく、副会長の夢咲(ゆめさき)アリア。

 

 俺が処罰される場合、漏れなく彼女も巻き添えだ。

 

 良高は、俺に釘を刺す。

 

「事実がなくなるわけではない……。また校内で事件を起こせば、まとめて処罰されると、覚えておきたまえ」

 

「はい、会長……。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

 

 俺の返事に、無言で頷く良高。

 

 アリアは、見ていると精神が不安になる笑顔へ戻った。

 誰か、トドメを刺してやれよ?

 

 良高が、解散を宣言する。

 

「みな、ご苦労だった!」

 

 

 ◇

 

 

 報酬というわけではないが、俺たちの探偵部に女子2人が名前を貸してくれることに。

 

 天城梨理香と、その親友である(いずみ)佳乃(よしの)だ。

 

 せまい準備室で、女子の割合が一気に増えた。

 

 梨理香が、話を進める。

 

「代わりに(さい)さんとアレーテさん、綾ノ瀬(あやのせ)さんは、ゲーム部と兼部してもらいます」

 

「分かった……」

 

「いいですわ!」

「よろしくお願いします」

 

 ふと、尋ねてみる。

 

「泉は、これでいいのか?」

 

 顔を引きつらせた佳乃は、それでも答える。

 

「良くないけど……。梨理香ちゃんが心配だから」

 

 ところが、本人はケロリとして、付け加える。

 

「ああ、今後は名前の呼び捨てで構いません!」

 

「そうか……」

 

 

 ――数日後

 

 良くも悪くも他人を気にしない、ゲーム部。

 

 その部室で、ゲームの『アルカディア』を遊んでいた。

 

 気づけば、部室には誰もいない。

 

 時計を見ると、夜の8時だ。

 

(普通の高校だったら、見回りの警備員か教師にドヤされているな……)

 

 そう思いつつ、ゲームを終了して、後片付けへ。

 

「少し……話しませんか?」

 

 クールな女子の声に、そちらを向く。

 

「梨理香……。お前、ずっといたのか?」

 

「忘れないうちに話したいと思いまして……」

 

 どう話したものか、という雰囲気でマゴマゴする、天城梨理香。

 

「お前、未来予知のスキルを持ってないだろ?」

 

 ビクッとした梨理香は、俺を見つめる。

 

「なぜ?」

 

「ランダムに閃くか、啓示を受けるタイプもいるだろうが、それにしては理詰めだった……。最後のデブリーフィングでも、未来予知ができる人間とは思えない反応ばかり。しかし、近い未来の人類滅亡は嘘とは思えない声音だった! 未来から送り込まれたエージェントと考えるのが自然だ」

 

 息を吐いた梨理香は、ブレザーの上着を脱いで、上のシャツも脱ぐ。

 

 2人だけの部室に、シュルシュルという音が響いた。

 

「見てください……」

 

 そこには、肌の後ろにあるはずのない、機械的なギミック。

 

 俺が視認したことで、梨理香は顔を赤くしたまま、制服を着直す。

 

「私は、天城博士が開発したサイボーグです。あなたが指摘したように、未来からやってきた……」

 

「とりあえず、滅びの未来は変わったのだろうな? 今の博士に会いに行くか?」

 

 首を横に振った梨理香は、悩んでいる様子で答える。

 

「今の博士は、何も知りません……。ところで、今は佳乃の家に間借りしているようなもので」

 

 視線で訴えられた俺は、息を吐く。

 

「こっちは、奈々美(ななみ)の家に居候だ! 一緒に住みたいってか?」

 

「はい! 私がサイボーグという事実はなるべく伏せたいので。それに、地球上に未知の危険があると分かった以上、それと接する機会が多そうな才さんの傍にいるのが最善手だと思います」

 

 俺は、思案する。

 

「そもそも、お前はいつまで稼働できる? メンテは?」

 

「あなた方が寿命で死ぬぐらいまでは……。メンテナンスフリーですから、そちらも大丈夫だと思います」

 

 息を吐いた後で、返事をする。

 

「とりあえず、家主の奈々美に聞いてみる!」

 

「お願いします……」

 

 

 綾ノ瀬奈々美は、二つ返事で了承した。

 

 黙っているわけにはいかず、未来からやってきたサイボーグと告げたが……。

 

 ともあれ、デッドエンドの1つを潰せたわけだ!

 

 等価交換で、俺はあの家でまた肩身が狭くなった。




過去作は、こちらです!
https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

元ITエンジニアの俺、祖先の召喚術から召喚プログラムを組み上げて神も悪魔も従える(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル現代/冒険・バトル)

祖父の死に際、元ITエンジニアの御門悠真は、自分が「召喚師の家系」の末裔だと知らされる。▼御門家は、かつて神も悪魔も妖も精霊も呼び出した、万能召喚術の本家本元だった。▼だが、万能であるがゆえに術式はあまりにも複雑化し、始祖以降は衰退の一途を辿る。▼火だけを呼ぶ家、水神だけを祀る家、鬼だけを使う家――分家たちは属性や対象を絞ることで生き残った。▼一方、万能に固…


総合評価:1523/評価:8.48/連載:16話/更新日時:2026年06月15日(月) 17:23 小説情報

暴君忠長に転生したので、兄上のために日本列島をメンテします 〜SFチートのはずが、田んぼと水路と寺社ノードの保守係なんですが〜(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル歴史/戦記)

現代日本で死んだ主人公が転生した先は、江戸幕府を開いた徳川家。▼身分ガチャは大当たり――かと思いきや、幼名は国松。▼のちに兄・徳川家光と対立し、「暴君」と呼ばれて破滅するはずの徳川忠長だった。▼将軍の座など絶対にいらない。▼生き残るためには、兄・竹千代を全力で支え、「敵」ではなく「便利で忠実な弟」になるしかない。▼そう決意した国松が最初に始めたのは、天下の根…


総合評価:1501/評価:7.66/連載:89話/更新日時:2026年06月24日(水) 16:58 小説情報

魔法科高校のサーヴァント(作者:綾辻真)(原作:魔法科高校の劣等生)

――これは一人の少女の『救済』と、一つの『未知』との『出会い』による『始まり』の物語である。


総合評価:1999/評価:8.51/短編:11話/更新日時:2026年06月21日(日) 11:00 小説情報

和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?(作者:鬼怒藍落)(オリジナル現代/冒険・バトル)

一般和風好き転生者VS曇らせと理不尽と絶望▼ファイ!▼カクヨムにも出します


総合評価:3939/評価:8.05/連載:42話/更新日時:2026年05月07日(木) 07:10 小説情報

第四魔法科高校の優等生(作者:悪事)(原作:魔法科高校の劣等生)

 四葉という魔法師の名家に生まれ、隔絶した美貌と天賦の才覚を持ち、畏怖と憧憬を一身に受けてきた少女、四葉百合香。▼ 四葉において最高位の精神干渉系魔法を操る彼女が第四魔法科高校に入学した時、暗躍と策謀、諜報と騙し合い、嘘と欺瞞に満ちた波乱の舞台が幕を開けた。▼ これは陰謀と暗躍に特化した現代の異能、最強にして災厄の魔法師が織りなす愛と狂気の物語である。


総合評価:1910/評価:8.47/連載:18話/更新日時:2026年06月07日(日) 20:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>