ロドス・アイランド製薬は三人のトップから成り立っている。医療部門のケルシー先生、作戦部門のドクター、そして残りの一人は対面に座って、口元を隠している。
「それではヒスイさん、これより──────『第二十六回ドクターとイチャイチャしたい会議』を開始します!」
ロドス・アイランド製薬CEOのアーミヤさん。コータスで十代前半でありながらロドスの総責任者という重責を背負っている人だ。そんな人だから多くのオペレーターやスタッフは彼女を支えになろうと、助けになろうと努力している。
「あの、アーミヤさん?いい加減この会議やめません?本艦最下層の誰も来ないような部屋を私的に使うのも、後でバレたら問題ですし」
「やめません!この会議を止めるとしたらそれは私がドクターとお付き合いしてイチャイチャできる時ですっ!!」
この会議が始まったのはドクターがロドスの仕事に慣れて始めた頃、個人面談として呼び出された。その当時はただドクターの様子を確認されるだけだと思っていた。それが回数が増え、会議の内容がドクターの普段の様子から段々過激な話題に変わっていった。
「私はもっとドクターとイチャイチャしたいんです!恋人みたいに手を繋いだり、食べさせ合いっこをして一緒のベッドで眠りについて朝を迎えたいんです!!」
「もう直接ドクターに言ってくださいよ・・・・・・」
「とっくに言いましたよっ!!」
「言ったの!?」
あぁ・・・・・・あの純粋で頼りになるアーミヤさんが煩悩まみれに・・・・・・。
「手は繋いでくれたんです!でも食べさせ合いっこと添い寝はいつも断られるんです!ドクターは『そういう事はアーミヤが本当に好きな人とするべきだ』って言うんです!私の好きな人はドクターなのに!!」
机に突っ伏して泣き出すアーミヤさん。アーミヤさんがドクターの事を好きなのは知っていたけど、ここまで拗らせる程と
は・・・・・・。
「あー、アーミヤさん?仮にドクターと恋人同士をなれても二人とも同性ですから、子供とか無理かなーって思うんですよ?いや、養子を迎えるとか出来ますけど」
「──────」
さっきまで泣きながらジタバタしていたアーミヤさんの動きがピタッと止まった。
「──────ヒスイさん。この大地は広大です。未だ私達が辿り着いたことがない場所は多く、未発見の物や未知のアーツが存在しています。だから、私は思うんです。テラの大地の何処かに女性同士でも子供を産むことが出来るアーツがあると、私は信じていますっ!」
「そんなアーツがあったら今ごろ末世だよ」
「そ、そういうヒスイさんはケルシー先生とはどうなんですか!?」
何故かドクターとアーミヤさんの話から俺とケルシー先生との関係に話が逸れた。
「どうって・・・・・・俺とケルシー先生は上司と部下の関係ですよ?ケルシー先生も俺に対して他のオペレーター達と変わらない態度ですし」
「ほ、本気で言ってますか・・・・・・?」
「えー、この人本気で言ってません?」って言う感情が乗っている目でアーミヤさんが見てきた。
「ケルシー先生とよく一緒に食事をされていますよね?」
「たまたま食堂が混んでて、ケルシー先生の近くって空いてる事が多いんで相席させてもらってるだけです」
「・・・・・・ケルシー先生を抱えてケルシー先生の自室に入室されるところを多くのオペレーターの人達が目撃されていますが?」
「無理矢理にでも仕事を止めて寝かさないといつまでも作業を続ける人ですから」
「ケ、ケルシー先生からヒスイさんと同じ石鹸の匂いがすることも・・・・・・」
「あー、それは俺が勧められた石鹸をケルシー先生にも勧めたからですね」
再びアーミヤさんが机に突っ伏して頭を抱え出した。
「そ、そこまでしてるのに付き合ってない?ヒスイさんが鈍感なだけ?それともケルシー先生が奥手なだけ?え、でも同じ石鹸を使って同じ匂いがしてるのに?それってもうマーキングなんじゃ・・・・・・」
「うぅ〜〜〜〜〜〜っ!」や「んぅ〜〜〜〜〜〜っ!」と頭を抱えてしばらく呻いていると、ガバッ!と勢いよく頭を上げた。
「ヒスイさん!これからもケルシー先生の事をお願いしますね!!私、応援しますから!!」
「え、いきなり何ですか?」
・ヒスイ
定期的にアーミヤによって開かれる『ドクターとイチャイチャしたい会議』に強制参加させられている。この件がケルシーにバレたらどう言い訳するか考え中。
・アーミヤ
我らがロドスのCEO。表では頼れるCEOだがヒスイとの面談中は年相応の表情や反応を表に出す。ヒスイに恋愛感情は無いが「年の離れた兄がいたらこんな感じかな?」って思っている。後日、ケルシーにヒスイとのことを応援すると伝えたら、ケルシーは飲んでいたコーヒを噴き出した。