最後まで言えなかった、1人の女の子の気持ち。
卒業式。3年間全力で走ってきた、バンドも学校生活も友達と遊ぶことも全部、全部。全力で楽しんで、それも今日で終わる……
たくさんの思い出が思い浮かんでは消えていく……学園祭でした結束バンドのライブ、ひとりちゃんに必死になって教えた定期試験、ひとりちゃんとのギター練習、さっつーや皆との休み時間の会話……過ぎてみれば一瞬のような、そんな私の宝物たち……
みんな違う道を進んでいく、ずっと一緒には居られない……そんなこと分かっていたはずなのに……
私とひとりちゃんも……結束バンドという繋がりは残ってる。それでも今までのように一緒には居られない……
私は大学へ進学し、ひとりちゃんは音楽に専念する。
ひとりちゃんに大学が向いているとも思えないし、
私のワガママでひとりちゃんに無理をさせることも、
ひとりちゃんの人生を歪めることもしたくない……
それでも……本当は……私はずっと…!ずっとひとりちゃんと一緒に……!!
そんな気持ちも伝えることすら出来なかった……怖かった……
ひとりちゃんに気持ちを否定されることよりも、
ひとりちゃんに嫌われることよりも、
私は……ただ……ひとりちゃんと一緒にいられなくなることだけが怖かった……それだけが怖くて仕方なかった……
一緒にいられればそれでいいと思えた、それで十分だとそう信じられた……
たとえ私達が友達でしかなかったとしても……
でもそれも……今日で終わって……これからは……
『き、喜多ちゃん!?ど、どうして、な、泣いているんですか!?』
ひとりちゃんとのことを考えているといつの間にか泣いていたみたい……ひとりちゃんに心配をかけちゃった……
『ううん、ちょっと色々込み上げてきちゃっただけ!大丈夫、大丈夫!ごめんね、ひとりちゃんに心配かけちゃって!』
『そ、そうですか、卒業式ですもんね……私はようやく学校に通わなくてすむようになると思うと…!』
ひとりちゃんは笑顔で私の目を見てそう言った。
ひとりちゃん…学校辞めたがってたものね……
それでも……ねえ…ひとりちゃん……私との学校生活……
そんなに嫌だった……?楽しくなかった……?
私は……ずっと……ずっとひとりちゃんと一緒に……!
『き、喜多ちゃん……?えっと……どうしました……?』
『ねぇ……ひとりちゃん、学校そんなに嫌だった……?私との学校生活……そんなに……嫌……?』
『ち、違います!違います!!そ、そんなこと絶対ありません!!喜多ちゃんがいてくれたから卒業式まで過ごせたんです!!喜多ちゃんがいなかったら、私なんてとっくに中退して引きこもってるに決まってます』
『そうなの……?……本当に……?』
『ほ、本当です!!喜多ちゃんと過ごした日々も!!喜多ちゃんとの思い出も!!私には眩しくて私なんかにはもったいない程大切な宝物です!!だ、だから……だから、絶対に!喜多ちゃんと一緒にいることが嫌だったわけじゃありません!!!』
ひとりちゃんが私の目をまっすぐに見つめる。
真剣な顔で……私の大好きなひとりちゃんの顔で、私だけを見てくれる。
そして……私との生活が…私と一緒にいて良かったと言ってくれている……
私はお礼を言わなくちゃいけないのに……ひとりちゃんに心配をかけないように……いつもみたいに笑顔で……
でも、そんな考えで体は動いてくれなかった……
私は溢れ出てくる涙を止められずに、ひとりちゃんに抱きついて子どもみたいに泣きじゃくった……
『き、喜多ちゃん…?え、えっと、ええっと……ご、ごめんなさい、喜多ちゃん、えい!!』
そう言って、ひとりちゃんは私を抱きしめてくれた。
力いっぱいに泣きじゃくる私をその胸の中で泣かせてくれた。
『だ、大丈夫!大丈夫です!喜多ちゃんはすっごく頑張ってましたから!少し疲れちゃっただけなんですよね?だから今は好きなだけ泣いてください。私はずっと…ずっと喜多ちゃんと一緒にいますから。』
私はひとりちゃんの言葉にかろうじて頷くと、そのままひとりちゃんの胸の中で泣き続けた………ひとりちゃんは私の頭をを優しく撫でて、大丈夫と優しく呟いてくれる……そのたびに私の涙は溢れてくる。
私の目からひとりちゃんへの大好きが止められないくらいあふれて止まらない。
……ねえ…ひとりちゃん……私がこの気持ちを……この想いを……あなたに伝えても……あなたは……私と一緒に…いてくれますか……?たとえ……伝えられなくても……たとえ受け入れてもらえなくても……それでも私は……私は、あなたが大好きです……心からあなただけを愛しています……