ここではブラス・トレーサーを読んでいただく前に独自解釈や原作とは異なる点について解説させていただきます。
読まなくても物語を理解するうえで影響はありませんが、原作と違うところや史実改変、独自解釈が気になる方は前書きをご覧ください。
・この物語は作者であるたかぽんのPC上で行われた「ウイニングポスト9 2022」で誕生した架空馬である「インシルカスラム」がたどった物語に多少改変を加え、ウマ娘化した物語となります。
・原作に登場しない名前のウマ娘が他にも登場します。
彼女たちはウイニングポスト上で実際に戦ったことのある史実馬を名前を変え、たかぽんが史実馬について調べてウマ娘したものです。
・この物語は「世代」の概念があります。
現実の1989~1991年をモデルにしており、その時代で活躍したウマ娘の名前が登場します。
・一方で「レース」についてのみ「世代」を無視しています。
開催されているレースは現実の2022年ごろ、アプリ版ではダートレースが追加された時期をモデルにしています。
1989~1991年時点では開催されていないレースや現在と条件が違うレースがありますがご了承ください。
・ブラス・トレーサーの1話から、「ウマ娘 シンデレラグレイ」の「第三章 永世三強篇」が裏で進行しているものとして物語を進めています。
・その他注釈がある場合は本文中に※を記載しています。
では本文より、ブラス・トレーサーをお楽しみください!
第1話
トレセン学園の出会いと別れの季節。
あるトレーナー室で30代前半くらいの1人の男がアルバムを見返して思いに耽っていた。
赤いスーツジャケットを着た男の机の上にはややくすんだトレーナーバッジ。
ネームプレートには"森内 洋一(もりうち よういち)"の名前。
森内トレーナーはトレセン学園に赴任してから幾年が過ぎ、何人も担当してきたベテラントレーナーであることがバッジとネームプレートの使い込み具合からうかがえる。
そして、彼が見ているアルバムは、これまで担当してきたウマ娘たちの思い出と軌跡だ。
「(新米の時は俺も青かった。初めて担当した子には苦労を掛けたな。)」
アルバムを最初から見ながら、森内トレーナーは遠い昔を思い出す。
今でこそ経験を積んだ彼でも、新米のころは最適なトレーニング方法とは何か。いや、シンプルにどうすれば担当ウマ娘が強くなれるかわからなかった。
今眺めている初めて担当したウマ娘は、何度もつまづき、後退し、敗北し、結局最後まで未勝利戦すら勝てなかった。
それでも、このウマ娘は「あなたがトレーナーでよかった」と笑顔で学園を卒業していった。
もうずいぶん昔の話だ。彼女は今頃立派な社会人になっているか、もしくはもう家庭でも持ったかもしれない。
「(ソリが合わなくて途中でウマ娘に契約解除されたトレーナーだっている。俺は恵まれたんだな)」
ページをめくっていくと記憶に新しいウマ娘の写真が出てくる。
最近担当したウマ娘だ。今思い返しても才能と情熱を併せ持つ素晴らしいティアラ路線志望のウマ娘だった。
そんな素晴らしいティアラ志望のウマ娘を、森内トレーナーはこれまで培ったノウハウを駆使し、彼女の能力を最大限引き延ばすようトレーニングを行った。
森内トレーナーはふと、棚に目をやる。
棚の中には『秋華賞』の優勝トロフィーが飾られていた。
彼女が京都レース場からもぎ取ってきた、G1制覇の証だ。
「アイツはトロフィー大事そうに抱えながら『一生感謝してもしきれない』って涙を流して喜んでいたな。こっちのセリフだぜ、全く……」
こうして、森内トレーナーは確かな実績と経験を持つティアラG1ウマ娘輩出トレーナーとなった。
そして、そんな彼女も卒業し、森内トレーナーは今年から新しいウマ娘を担当しなければならない。
森内トレーナーはアルバムを閉じて本棚にしまい、今度は練習コースのあるグラウンドを眺める。
順当に考えれば、森内トレーナーとは秋華賞ウマ娘を輩出したベテラントレーナー。
こちらから売り込みをかけなくても同じくティアラG1を望むウマ娘たちからアピールされることは目に見えて分かっていた。
「模擬レースに行けば、俺もついに黄色い声を浴びることになるのかな。ははっ、1人に絞るのは大変そうだ」
森内トレーナーは独り言を言いながら苦笑いした。
「随分贅沢な悩みをお持ちじゃないですか、森内さん」
トレーナー室の外からまた別の男の声がした。
森内トレーナーにはこの男の声に聞き覚えがある。
遠い昔に担当がライバル同士だったことで交友関係を持った、後輩トレーナーだろう。
「ちょっと話があるんです、入っても?」
ハーメルンでは初めての投稿になります!
たかぽんのウマ娘や競馬に関する考え方に大きく影響を与えた架空馬の物語をぜひ追いかけていただければ幸いです!
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