今回も出ます。
昼休み、トレセン学園のカフェテリア。
多くのウマ娘が昼食をとる場所で、一部の大食いウマ娘たちによって、カフェテリアの厨房内は戦場と化す、なんて逸話もある場所だ。
今日はそこに、大食いウマ娘がいた。
「オグリが来たぞ……!」
「全種山盛り用意した!これで迎え撃つ!」
「来るなら来い!たっぷりくれてやろう!」
敵を迎え撃つ戦場の兵士にすら聞こえてきそうなカフェテリアスタッフの声を聞いたオグリはうれしそうな表情でトレーを取る。
その並び順の後ろにいたのは。
「なあ、オグリ!」
ちょうどインシルカスラムだった。
「君は……」
振り向いたオグリキャップはそういえばどこかで見たような、という表情をする。
「インシルカスラム!インシーって呼んでくれよな!」
その名前を聞いてようやくオグリキャップが思い出す。
「インシルカスラム、インシーか。そうだ、笠松のサルートから君の噂を聞いたんだ」
「いいライバルになりそうだと。サルートのこと、よろしく頼む」
どうやらオグリキャップは同郷の笠松トレセン学園出身、藤正トレーナーが担当予定のフルセイルサルートからインシルカスラムのことを聞いていたらしい。
「へぇ、アタシの噂そんなに広まってるのか!なんか、悪い気はしないな!」
「で、オグリ、相談なんだけどさ」
「相談?私でよければ聞こう」
すでにトレーに山盛りの料理を積み上げながら、オグリキャップは相談を聞く。
「健康の秘訣ってなーに?」
「健康の秘訣か……」
インシルカスラムは自分自身の身体が弱いことは自覚している。
なんとかしないと、という気持ちはあった。
「"ご飯をたくさん食べること"かな」
……予想はできたかもしれないが、オグリキャップが言える最適なアドバイスはこれ以外にはなかった。
「なるほどー!じゃ、アタシもオグリに負けないくらいたくさん食べないとな!」
それで納得してしまったインシルカスラムはオグリキャップに負けじと大量の料理をトレーに積み上げていく。
その様をみたオグリキャップはやるじゃないか、負けてられないという表情をしながらこちらもまたさらに料理を積み上げる。
「大食いウマ娘が一気に2人も……!?」
「あの子がオグリに張り合ってるんだ!このままじゃ足りなくなる!」
「追加急げ!後ろの子を待たせるな!」
カフェテリアスタッフはオグリキャップですら戦慄していたところに思わぬ強敵が現れ、劣勢の兵士さながらのセリフを吐きつつ調理に追われることになったとか。
一方、トレーナー室で森内トレーナーは、先日立てた練習メニューとローテーションの大幅な見直しを迫られていた。
本人はたくさん食べることで精強になろうとしているようだが、食って虚弱体質が治るなら苦労はしない。
「(ジュニア級、メイクデビューの後はどこかでいくつかレースをはさんで全日本ジュニア優駿に行く予定だったが……)」
メイクデビューが行われるのは6月。全日本ジュニア優駿が行われる12月までは6か月の期間がある。
この間、なにもレースに出ないでメイクデビューからストレートに全日本ジュニア優駿を目指すのは、慣れてないぶっつけ本番の状態でG1をさせることになり、かなりの悪手といえる。
そもそもメイクデビューしか戦績のない状態ではG1に登録しても出走できる実力にないとして除外される可能性も高い。
全日本ジュニア優駿までには6つのPre-OP戦があり、そのどこかで経験と実績を積むのがセオリーだ。
「たった6つか……」
森内トレーナーは頭を掻きながら何度も6つのレース表を見直す。
かなり限られた選択肢だ。
もし芝だったら同時期までに37もレースがあるのに。
その上、芝ならこの時期でもデイリー杯ジュニアステークスや京都ジュニアステークスなど有名なG2やG3を早くから挑戦できるにもかかわらず。
ダートにはG2やG3どころか、OP戦すらない。
限られた6つの選択肢は、全て最下級クラスのPre-OPだ。※
「しかも、こいつはやめたほうがいい。実質5個」
森内トレーナーは6つのレースのうち、"寒椿賞"に大きなバッテンをつける。
マイラーとして経験を積みたいのに1400mと短距離。そのうえ寒椿賞が行われるのは12月前半。全日本ジュニア優駿が行われるのは12月後半。
2連闘になる。普通のウマ娘であれば許容範囲内ではあるが、健康面に不安のあるインシルカスラムにとっては可能な限り避けたい選択肢だ。
「となると、これがベスト」
ローテーション予定表にあるメイクデビューと全日本ジュニア優駿の間には"カトレア賞"を書き加えた。
※地方レースを含めればジュニア級でもG2相当のレースがありますが、今回はアプリ版に実装されているレースのみ出走可能として扱います。
オグリならこれしか答え出ないと思いました。
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