どのシーンかはファンなら分かってほしい。
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インシルカスラムの見舞いを終えた後、次に森内トレーナーはダートトレーナーたちの居室に向かっていた。
道中、森内トレーナーはSNSを開ける。
インシルカスラムが故障したこと、その原因は森内トレーナーが無茶な連闘を組んだことであることは一般社会、そして海外にも知れ渡ってしまった。
当然、森内トレーナーは大バッシングを受けることになる。
「自分の担当ウマ娘を壊しておいて表彰式に出席とか、どんな面の皮してるんだ?」
「トレーナーが無能でインシーかわいそう」
「ふざけるな森内!インシーに死んで詫びろ!」
「なぜ病弱なことを知っていながらリスクのある連闘を?何か理由があるはずだ!誰も何も知らないのか!?」
「He's a disqualified trainer! It's like Incy died because of his poor judgment! Give our Incy back!
(アイツはトレーナー失格だ!アイツの判断ミスでインシーは死んだようなものだろ!俺たちのインシーを返せ!)」
「Reply: Don't say ridiculous! Are you asking him to predict the future in order to prevent this tragedy? Mr.Moriuchi would have done his best!」
(返信:バカなことを言うな!この悲劇を防ぐために彼に未来予知でもしろってのか?森内トレーナーはベストを尽くしたはずだ!)」
案の定大荒れだ。
森内トレーナーはSNSを閉じて、早足で目的地に向かった。
自分が批判の的になることくらい分かっていたではないか。
森内トレーナーの追放ルートはインシルカスラムに協力を仰ぐだけでは不十分だ。
インシルカスラムだけが森内トレーナーを擁護しても「森内に脅されて、あるいはかばって心にないことを言わされているだけ」と判断されてしまえば終わりだ。
本部理事会のメンバーの気を変えるには、もっと多くの賛同者がいる。
今、森内トレーナーが最も信頼できるトレーナーたちが、藤正トレーナー、打出トレーナー、小原トレーナーといったダートトレーナーたちだ。
「すまん、入るz……」
森内トレーナーは誰に似たのか、ノックをすると返事を待たずに居室の扉を開ける。
すると。
「この馬鹿野郎!!」
扉の前で仁王立ちしていた者から、固く拳を握った鉄拳制裁が森内トレーナーに飛んできた。
突然の奇襲に、森内トレーナーは避けたり防御をすることができず、左頬に、まともに右フックを喰らってしまう。
「ぐっ……!」
森内トレーナーは尻餅をつき、腫れた左頬を押さえる。
森内トレーナーを殴ったのは、小原トレーナーだった。
「--お前のことをよく知らなけりゃ、あと99発はブン殴ってたぜ」
小原トレーナーはそう吐き捨てて拳を開いた。
強面であるが、人一倍ウマ娘のことを想っている小原トレーナーにとって、無茶のさせすぎによる故障、など到底許されるものではない。
「……ああ。お前に100発殴られても文句は言えん」
森内トレーナーは頬をさすりながら立ち上がった。
よく見ると、小原トレーナーも、左頬が赤く腫れている。
後ろには、ため息をつく藤正トレーナーと打出トレーナーが。
2人の左頬も腫れていた。
「インシーさんの故障は東京大賞典への出走を止められなかった僕らにも責任があります」
「だから、俺たち全員1発ずつぶん殴りあったってわけです。ちらとでもインシーのことを気にかけてやれなかった俺らを殴れ、ってね」
藤正トレーナーはセリヌンティウスのセリフを引用したジョークを飛ばして頬をさすった。
「さ、目が覚めたらこれからどうするか話し合いましょうや」
藤正トレーナーは手を叩いて4人の視線を集めた。
今や頼れるのはライバルウマ娘のトレーナーだけ。
そして、そのトレーナー3人も、何も聞かずに首を縦に振ってくれるわけではないようで。
森内トレーナーはインシーが病弱なウマ娘であることを知っていながら、無理な連闘させた結果、骨折させてしまいました。 あなたの意見は?
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トレーナー失格だ!クビにしろ!
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ペナルティを受けるべきだ!
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事情があったなら仕方がないのでは?
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トレーナーは何も悪くない!