100話の内容がまさかのケガのお見舞いとはね…
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「見舞いに来たぜインシー!」
フルセイルサルートのお見舞いから数日後、今度はガルディアコダンが見舞いに来てくれた。
こっちもこっちで扉をバーンと全開に開けてズカズカ入り込む。
手には結構大きな紙袋を下げている。
「インシー、お前ヒマでしょうがねえから暴れたらしいじゃねえか!あんま病院の方々に迷惑かけんなよな!」
「うるせーな!病院では静かにしろ!!」
「オレの2倍くらい声量あるじゃねえか落とせ。こんな綺麗なブーメラン初めて見たぜ……」
相変わらず会った瞬間から口でのプロレスをやりだす2人だが、さすがに今日はガルディアコダンとてインシルカスラムにケンカを売りに来たわけではない。
ガルディアコダンは近くのパイプ椅子に座ると、似合わない神妙な面持ちになる。
「なあインシー。お前のトレーナー、辞めるんだって?」
「……辛いよな。オレなら絶対嫌だ。ジュニア級から今まで支えてくれたトレーナーじゃなきゃ走れねえよ」
ガルディアコダンは4人の中でも最も長く走ってきた経歴を持つウマ娘だ。
36戦20勝の大台に乗って、ガルディアコダンはさらに現役を続けることを表明した。
それは、人生の一部と言ってもいいほど共に歩んできた打出トレーナーに対して、精一杯、力尽きるまで恩を返したいから。
もし打出トレーナーがいなくなったのなら、ガルディアコダンは走る意味を失う。
だからこそ、インシルカスラムと共に歩んできた森内トレーナーがいなくなるかもしれない、という心の痛みが想像できる。
「……なんだよ気持ち悪いな。アンタ本当にガルディアコダン?」
「お前……!せっかく心配してやってるってのによ!」
なお、インシルカスラムにはしんみりしたガルディアコダンの様子が信じられずそっくりさんを疑ったようだが。
怒りマークの戻ったガルディアコダンに安心したインシルカスラムは鼻を鳴らした。
「いーや、辞めさせない。偉い人だか何だか知らないけど、気が変わるまでゴネ続けてやる」
それに対してガルディアコダンも鼻を鳴らした。
もしインシルカスラムが「どうしよう……」と迷ってたら「アンタが声を上げろ!」というつもりだったのだが。
「ハッ、インシーなら言うまでもなかったようだな」
「それと、これ、お前にやる」
ガルディアコダンは紙袋から赤い大きな布を取り出すと、インシルカスラムにビロビロと広げながら投げつけた。
ベッドの上に広げられた赤い布をよく見ると。
それは、東京大賞典の優勝レイだった。
この意味はインシルカスラムが故障し、代わりに1着となったガルディアコダンが受け取った東京大賞典の優勝の証を譲渡する、ということ。
つまり、ガルディアコダンは1着を取ったのにも関わらず「オレの負けだ」、と言っているのと同じだ。
「……なんでアタシに?」
ガルディアコダンは悔しいが認めざるを得ない、という風に頭をかいた。
「お前の勝ちだインシー!あの後のレース、お前が普通に走ってたらってイメージしたんだよ」
「--勝てねえ。何度シミュレーションしてもな。だいたいオレはずっと追い抜くチャンス狙ってたってのに、ラストまでずっと抜けてなかったんだ」
ガルディアコダン、インシルカスラムともに選択していた脚質は逃げ。
そして、0~1500m地点までずっと2人の差は、インシルカスラムが1バ身ほど前だった。
順当にあのままレースが進めば、ガルディアコダンが追い抜ける隙はなかっただろう。
インシルカスラム本人も思っていたように、ガルディアコダンも思っていた。
ケガさえしなければ、1着はインシルカスラムのモノだったと。
負けを認めた?
やっぱりインシーはクラシック級を全勝していた?
森内トレーナーはインシーが病弱なウマ娘であることを知っていながら、無理な連闘させた結果、骨折させてしまいました。 あなたの意見は?
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トレーナー失格だ!クビにしろ!
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ペナルティを受けるべきだ!
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事情があったなら仕方がないのでは?
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トレーナーは何も悪くない!