ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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暗い話が続きますのでちょっと小ネタを。

現時点で世代で言えば1991年。さて問題です。
1991年に活躍したウマと言えば?


第116話

ーーー104ーーー

 

インシルカスラムがトレセン学園のグラウンドに訪れるのもまた3カ月ぶりになる。

 

「にっししー♪今年の三冠は、ボクのものだもんねー!」

 

「たはは、こりゃえらい強敵と同期になっちゃったねぇ……」

 

去年の12月に比べ、4月のグラウンドにいる芝のメンバーはガラッと入れ替わってインシルカスラムの知らないウマ娘だらけになっていた。

 

間近でグラウンドを見るのも久しぶりというのもあって、デジャヴならぬ、何度も見ているのに始めて見たようなジャメヴ感をインシルカスラムは感じていた。

 

「もともと芝に知り合いそんないないけど、さらに減った気がする……あ、でもあの青いのはなんか親近感感じるかも」

 

ダートはそこまで激しい入れ替わりはない。

 

というかガラッと入れ替わる、というほど人数がいないのだが。

 

「戻ってきたかインシー!」

 

「また私に倒されに来てくれて何よりよ」

 

「ここで合うのは久しぶりねインシー。脚はもう大丈夫なの?」

 

ダートの練習グラウンドには見知った3人の顔がいた。

 

トレセン指定のジャージで来ており、松葉杖のない状態で立っていたインシルカスラムに、テンカバスターは期待を膨らませたが。

 

「あー、いや、実はね……」

 

 

「PT……S……D?」

 

インシルカスラムはかくかくしかじかと説明すると、やはり聞き慣れない言葉にテンカバスターは首を傾げた。

 

「うん。今も歩くと痛いんだけど、脚は治っててメンタル的な問題なんだって」

 

「おいおい、なんだそりゃ!お前そんな訳のわかんねえモンに負けるようなタマじゃねえだろ!」

 

「軽率よコダン。あの叫び声、聞いてるこっちが怖くなったもの。トラウマくらい抱えるわ……」

 

インシルカスラムは近くの草むらに歩いて腰を下ろす。

 

その歩き方は、一応歩けている、という程度のもので、やはり左脚に体重がかからないよう、ひょこひょこと変な歩き方になっていた。

 

「だからトレーナーが今日はアンタたちを見学してろって」

 

森内トレーナーは荒療治として編み出した方法は。

 

何かをつかめるまで、3人の走りを見つめること。

 

しかし、見つめたところで、既に研究し尽くし、実際に対戦もした相手だ。

 

次々にインスピレーションが得られる望みは薄い。

 

「……そう。私たちはいつも通り練習するから、見たければ好きに見なさい。隠すことなんかないわ」

 

フルセイルサルートの言葉をスタートの合図にするように、3人はダートグラウンドへ向かっていった。

 

 

3人の練習をボーっと見ているだけでは退屈で退屈でどうにかなってしまう。

 

インシルカスラムはなにか今後の練習やレースに活かせることはないかを3人から探し出す。

 

……やはり、走り方自体に大きく変わりはない。

 

想定外の走り方でライバルを驚かせ、惑わせるような走り方はナンセンスだと分かったらしい。

 

3人は最も得意な、自分の走りを伸ばしていこうとしている。

 

「でも、みんな強くなってる」

 

インシルカスラムはぽろっと感想を漏らした。

 

東京大賞典で戦った時よりも勝つのに苦労しそう。

 

直観的ではあるが、インシルカスラムには感じ取れた。

 

少しずつではあるが、インシルカスラムのライバルたちは今も成長し続けているのだ。

 

「……それに比べてアタシは」

 

たしかに、東京大賞典までは3人を置いてけぼりにするくらいインシルカスラムは強かった。

 

だが、12月と比べて、インシルカスラムは何も伸ばせていない。

 

それどころか、トレーニングができず寝たきりだった分、明らかに劣っているだろう。

 

その差は急速に縮まりつつある。

 

……いや、抜かれてしまったか?どんどん引き離されつつあるのか?

 

「それなのに、今も取り戻すことすらできない……!」

 

インシルカスラムは悔しそうに拳を握りしめた。




なかなか治らないインシーを見ながら「ウマの世界で3カ月何もできないのはきついって……」としみじみ感じながらターンを進めていました。
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