ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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ここからインシーの復帰戦。
Re-challenge(再挑戦)です。


第119話

ーーー107ーーー

 

時期は飛んで5月後半。

 

芝の戦線では日本ダービーとオークスでクラシックの絶頂期を迎えていた。

 

シニアでも、宝塚記念に向けてより一層追い込みをかける時期。

 

そして、シニアダートでも、1年の前半戦の区切りとなるべき"帝王賞"がやってくる。

 

インシルカスラムはこの帝王賞でテンカバスターに打ち勝ち、気持ちよく夏合宿を迎えたいところだ。

 

 

「続いては、平安ステークスまもなく発走になります」

 

この日、インシルカスラムは京都レース場に姿を現していた。

 

ダート1900mのG3、平安ステークス。

 

芝では見ることのない、珍しい非根幹距離レースだ。

 

周囲のウマ娘たちは、体操服で現れ、順調に準備体操をするインシルカスラムに驚愕して息をのんだ。

 

"あのインシーが……!?"

 

出走者の中にクラシック級でのインシルカスラムの活躍を知らない者はいない。

 

ケガしたはずじゃ、なんでこんなレースに、もし完全復活したなら私たちでは……。

 

それでも、例えインシーでもブランクがあるなら、と出走者たちは複雑な気持ちのままゲートへ向かっていく。

 

「--ビックリしたって結果は変わんないよ」

 

当のインシルカスラムは、自信ありげに達観した様子でゲートに入った。

 

 

京都レース場の関係者席の一番前で、森内トレーナーは背筋を伸ばし、何とも言えない表情でゲートを見つめていた。

 

と、そこへ。

 

「隣、ええですか?」

 

軽い感じの関西弁で声をかけられた。

 

森内トレーナーが振り向くと、淡い黄色くらいの髪形で眼鏡をかけたラフな格好の男が立っていた。

 

手には立派な一眼レフ、首には使い込まれた手帳。

 

「どうぞ。取材か?」

 

森内トレーナーとは初対面だが、隣に立った記者の名前を知る者は多いだろう。

 

「藤井言うモンです。おたくのインシーのインタビューに来さしてもらいました」

 

そう、オグリキャップのダービー特例出走で世間を騒がし、ジャパンカップで語学堪能な様を見せつけ、六平トレーナーに毛嫌いされているあの藤井泉助だった。

 

「森内だ。写真なら好きなだけ撮ってくれ、カッコよく撮ってくれたらインシーも喜ぶ」

 

「おおきに」

 

藤井記者はそう言いつつもカメラには手を出さず、使い込まれた手帳を開いた。

 

「オグリキャップがおらんようなって、芝は新しい時代が来た、っちゅう感じですわ」

 

「今のクラシックはトウカイテイオーがアツイんやけど、ボクはようやく三流記者から二流記者になった、っちゅートコや。やっぱご本人にはそうそうお目にかかれへん」

 

「だから、ダートに来たと?」

 

「あ、いや、別にダートが下とかくだらんこと言いたい訳ちゃうんです。今日はインシーの復帰戦やないですか」

 

苦節5カ月、とつぶやきながら藤井記者はびっしり書き込まれた手帳をペンでつつく。

 

「奇跡の復活、見せてもらお、思いましてね」

 

「ならしっかり目に焼き付けてくれ」

 

森内トレーナーが言うと、ようやく藤井記者は一眼レフをコースに向けた。

 

「インシーのコンディションは最高だ」




アイツが登場やで!
たかぽんは比較的ネイティブ地域に住んでますが、タマ語間違ってたらごめんなさい。
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