ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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この話を書くために元ネタについて調べました。
30年以上前の地方のウマにしてはそこそこありました。


第122話

ーーー110ーーー

 

テンカバスターは新潟県で生まれた。

 

あまり馴染みがないかもしれないが、実は新潟県には新潟レース場を使ったウマ娘の県大会が存在する。※

 

……とはいえ、その県大会はローカルシリーズですらなく、ましてや中央などとは比べ物にならないほど、極々小さなイベントだ。

 

テンカバスターのレース人生は、そんな新潟県のウマ娘レース大会に出たことから始まった。

 

 

そして、圧勝しまくった。

 

そして、誰も戦ってくれなくなった。

 

あまりに強すぎて、周りのウマ娘が「テンカとは無理」と最初から勝負を諦めだしたからだ。

 

途方に暮れたテンカバスターに、当時のウマ娘大会関係者は、テンカバスターはここで収まる器ではないと気づき、テンカバスターを中央へ斡旋した。

 

そしてテンカバスターは中央へ移籍し、今までダートで戦ってきた。

 

他3人が誰彼構わず偉そうに喧嘩を吹っ掛けるため、相対的に目立たなくて大人しそうに見えるテンカバスター。

 

だが、そんな彼女の走る理由は。

 

"強者と闘い、討ち取る"こと。

 

そんなテンカバスターにとってインシルカスラムと出会えたのはまさに僥倖と言える。

 

 

テンカバスターは閉じていた目をゆっくり開く。

 

目の前には、大井レース場の地下バ道が広がっている。

 

今日は帝王賞の日。

 

あと数歩前に歩けば、見慣れた大井レース場が広がる。

 

「……今まで、私を満足させてくれるのは、コダンとサルートくらいだった」

 

でも今日は、より新鮮な気持ちでレースを迎えられそうだ。

 

「インシーは、私を満足させてくれるよね?」

 

テンカバスターは前へと歩を進める。

 

自分より強いウマ娘に会いに行くために。

 

そして、自分より強いと思ってるウマ娘を倒すために。

 

 

「私はこの日を待ちわびていました!この帝王賞にクラシックを席巻したあのダートクイーンが帰ってきたのです!」

 

私情の若干混じった実況から、今年の帝王賞は始まった。

 

観客席も去年と比べて、異様なざわつきを見せている。

 

「1番人気、2枠3番インシルカスラム!ここまで9戦7勝、前走の平安ステークスでは見事な復帰を見せつけました!」

 

久しぶりに赤いショートブラウスで大井レース場にやってきたインシルカスラムはぐるぐる回転しながら観客席に向かって手を振っていた。

 

「私の見解ではありますが、インシーは平安ステークスを勝ったくらいでは復帰とは言わないんじゃないかと思います」

 

「G3は前菜、オードブルのようなもの。メインディッシュたるこの帝王賞で勝ってこそ、彼女にとって本当の復帰と言えると思います」

 

解説もややインシルカスラムびいきな言葉を並べたが、その説明はインシルカスラムについてよく分かっていると言える。

 

ダートの大舞台で勝ち、堂々とG1で奇跡の復活を果たすことこそ、インシルカスラムがシニア級へと歩んだ理由だ。

 

「--さて、インシルカスラムの対抗バとなるのはもちろんこのウマ娘!」

 

「3枠6番、2番人気のテンカバスターです!」

 

名前を呼ばれたテンカバスターは顔を上げて胸を張り、堂々と歩きだす。

 

2番人気とはいえ、その勝敗予想は1番人気のインシルカスラムと紙一重と言ってもいいほど意見が割れている。

 

ところで、地方から中央に来たウマ娘の勝率を聞いたことあるだろうか?

 

"1勝でもあげられる確率"がたったの"7%"だ。

 

そして、7%の中でも上澄み中の上澄み中の上澄みといえるウマ娘がオグリキャップやイナリワンであり、彼女たちは1つの時代を作り上げた。

 

ましてやテンカバスターなど地方ですらないウマ娘。

 

しかしテンカバスターの中央での戦績は……

 

「これまで25戦17勝!さらなる勝利、G1タイトルの獲得に期待がかかります!

 

怒涛の勝率68%。

 

そして、フェブラリーステークス、JBCクラシックといった名だたるダートG1も複数勝利してきた。

 

テンカバスターは地方から中央にやってきて勝利を重ねる7%の中に、その中でもかなり上位にいるウマ娘だ。

 

簡単に勝たせてはくれないだろう。

 

 

※ブラス・トレーサー独自の設定です。




さすがにオグリやイナリほどの実力はないかもしれませんが。
十分強いですよ。今回のライバルも。
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