ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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今はシニア級の11月です。
この辺に目標レースがないウマ娘ってかなり珍しいんじゃないでしょうか。
短距離勢くらいしかいないかも。


第129話

ーーー117ーーー

 

トレーナー室でつけっぱなしのテレビからはニュースが流れていた。

 

「--天気予報です。今年も11月に入り冬の足音が近づいてきました」

 

「来週は低気圧の停滞により、広い地域で雨となるでしょう」

 

「大幅な気温の低下が予想されますので外出の際は雨具だけでなく、防寒対策も忘れずに」

 

トレーナー室にいた森内トレーナーは窓から外を見る。

 

まだ曇り、で耐えてはいたが、既に空の曇は灰色で分厚く覆われており、そろそろ降らせますね、と言わんばかりの天気になっていた。

 

森内トレーナーは大きくため息をついた。

 

もちろん、これから雨になるという天気に対してもだったが、それ以外にも森内トレーナーは不安になることがあってため息をついている。

 

「続いてはスポーツ特集です!」

 

いつの間にか天気予報は終わり、ニュースはスポーツのコーナーになっていた。

 

「今年もエリザベス女王杯やジャパンカップがやってきます。注目ウマ娘は――」

 

11月は芝にとって大きなG1がどんどんと続く時期。

 

クラシック路線のウマ娘にとってはジャパンカップ、ティアラ路線のウマ娘にとってはエリザベス女王杯、マイラーのウマ娘にとってはマイルCSとどの距離を走るウマ娘にとっても忙しくなる時期だ。

 

そしてダート路線のウマ娘にとっても。

 

「また、来週はJBCクラシック3レースが開催されます」

 

「注目となるのは前年度JBCレディスクラシックの覇者となったフルセイルサルート。今年も出走し、2連覇を狙います」

 

「その対抗ウマ娘になるのが……」

 

 

「はあ!?マジで言ってんスか!?」

 

来週、大井レース場の控室前で森内トレーナーと再会した藤正トレーナーは説明を受けて目を見開いた。

 

「俺がお前の立場なら同じことを言ってたと思うが、マジだ」

 

森内トレーナーは人差し指で頭を押さえながらも頷いた。

 

藤正トレーナーは自分の目が信じられないという風に出走表の新聞にもう1度目を落とした。

 

JBCレディスクラシックの出走ウマ娘が書かれている。

 

そこには。

 

3枠6番、フルセイルサルート。

 

6枠11番、インシルカスラム。

 

インシルカスラムは、JBCレディスクラシックに出走を決めてきたのだ。

 

「うちのサルートともう1度やりたいってのは聞いてますが、東京大賞典でいいでしょう!それまで待てなかったんスか!?」

 

藤正トレーナーはここまで動揺しているのも無理はない。

 

今年のJBCレディスクラシックは11月の初旬、つまり前半に行われている。

 

そこから11月の後半を挟むと、すぐにチャンピオンズカップ、東京大賞典と連闘するスケジュールになる。

 

半週の休養があるとはいえ、2カ月で3戦を行うのは超がつくほどハードなローテーションだ。

 

悲劇の故障を経験したクラシック級以上の負担を負うことになる。

 

「それもあるが、クラシックは南部杯に行って、代わりにJBCクラシックを見送ったからな。今年はどうしても出たいと」

 

そう、インシルカスラムが言っていた"おねだり"とは、JBCレディスクラシックへの出走だった。

 

「だからってそんなホイホイとインシーの頼みを聞いちゃ……」

 

そこまで言いかけると、藤正トレーナーは呆れたように首を振って続きを言うのをやめた。

 

「頭のネジがぶっ飛んでます。でもそうでなきゃ、インシー担当トレーナーはできないんでしょうね。」

 

「誉め言葉をどうも」

 

「しかも……」

 

藤正トレーナーは外にあるダートコースに目をやった。

 

天気予報通り、大井レース場には雨が降っている。

 

土砂降りとまではいかないが、通常に外出するなら傘かレインコートなしではいらなれないほどの、かなり強い雨だ。

 

それに伴って、気温もグッと下がり、ほぼ冬と言ってもいいほどの寒さになっていた。

 

「インシーって寒さには強いんです?」

 

「全然。ジュニア級の今頃はこたつを占領して引っ張っても出てこなかった」

 

藤正トレーナーは頭を抱えた。




えっ?
3戦確定?
何してんの?
去年、3戦して骨折したんですよね???
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