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やがてインシルカスラムに案内されて2人が理事長室にが入ると。
そこにいた秋川理事長は笑顔で扇子を広げる。
いつも2文字の漢字で意思表明をするその扇子に書かれていた文字は珍しく"Welcome!"だった。
「アンベールにハイエストフェロー、ようこそッ!2人ともまた来てくれて嬉しいぞ!」
と同時に秋川理事長の頭の上に乗っていた猫もニャー。と鳴いた。
「We come to win again, chairman!(もう1回勝ちに来たぜ、理事長!)」
ハイエストフェローはWelcomeの文字だけを見て歓迎のガッツポーズを秋川理事長に向ける。
一方アンベールは1歩前に出ると。
「もう1度、お世話になります。秋川先生」
とキレイなお辞儀と共に日本語であいさつした。
とりあえず付け焼き刃で単語だけ覚えていた去年と違って、長い間日本で暮らした外国人くらいまでイントネーションも上達している。
「かっ、感嘆ッ!日本語を覚えたのか?」
思わず秋川理事長は扇子を広げ直し、"Awesome!"の文字をアンベールに見せた。
「えっ!?アンベールいつの間にそんなに日本語話せるようになったの!?アタシが今何言ってるかわかる!?」
インシルカスラムもまた驚きのあまり早口の日本語でアンベールにまくしたてる。
「Incy、話す速度、速いです。まだ完璧ではありません。しかし分かります」
まだ完全に日本人と見分けがつかないほど流暢に話せているわけではないものの、日常会話も問題なくできるほどだ。
ハイエストフェローはやれやれ、もう話していいよな?という風に呆れた。
「I wanna tell you that she had studied hard, but I was told not to say anything.(コイツ勉強頑張ってたんだぜって言いたかったんだが、口止めされててな)」
「Cuz you have a loose tongue. How about you learn japanese too?(だってあなた口軽いもの。あなたも日本語勉強したら?)」
「I hate studying!(勉強はキライだぜ!)」
ハイエストフェローは「HAHAHA!」と擬音がつくくらい豪快に笑い飛ばして開き直った。
「Incy。この人ダメです」
「うん……まあフェローがわざわざ日本語勉強してくれるイメージはないね……」
死んだ目でハイエストフェローを指さしたアンベールに対してインシルカスラムは苦笑いで返した。
随分勉強したんだな……