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「紹介するよ。アメリカから来たアンベールとハイエストフェロー」
翌日、ダートウマ娘たちが集まる部室で、インシルカスラムはフルセイルサルート、ガルディアコダン、テンカバスターに2人を紹介した。
「こんにちは。皆さん。私、Unveilです」
「Are you friends with Incy? If so, let's be friend me!(お前たちはインシーの友達か?なら私とも友達になってくれ!)」
3人は突然インシルカスラムがアメリカ人を連れてきたことに驚きのあまり口を開けたまま固まっている。
「あなたがチャンピオンズカップに出たのは知ってたけど……まさか、アメリカのウマ娘と友達になっていたなんてね」
「ってかすげえなインシーお前英語ペラペラなのかよ!?なんでそんな特技隠してたんだ!?」
「I wasn't trying to hide, just I studied a lot.(別に隠してたつもりないよ、いっぱい勉強しただけ)」
「いや英語で説明されてもオレには分かんねえって……」
インシルカスラムの頭の良さなんて自分とだいたい一緒で大したことないだろ、と高を括っていたガルディアコダン。
今日あまりに急すぎるインシルカスラムの英語力のアップデートに対し自分の大したことない頭が追いついていかなかった。
残念ながらインシルカスラム以外の日本ウマ娘3人は外国のウマ娘と関わる機会など皆無に等しく、英語はほとんど話せない。
「あ、あいむてんかばすたー。はうあーゆー?」
「Couldn't be better, Tenka!(バッチリだぜ、テンカ!)」
「ごめんなさいわかんないです……」
テンカバスターはどうにかハイエストフェローに話しかけてみたが、ニコニコしながら両手でサムズアップされたことと、テンカという単語以外はわからなかった。
「最高、とfellow言っています。私、少し日本語分かります」
「助かるわアンベール。フルセイルサルートよ」
「ガルディアコダンだ。インシーが迷惑かけてないか?」
「大丈夫。インシーとても強いです。Uh......PirateのSaluteと、Bad girlのKodan。間違いないですか?」
アンベールのゆっくりとした海賊と不良の発音にさすがのフルセイルサルートとガルディアコダンも聞き取れてしまい、2人はぎょっとする。
インシルカスラムにならまだしも、海外から訪れてくださった客人に悪そうなウマ娘扱いされてはたまらんと、慌てて2人はインシルカスラムにこそこそと耳打ちした。
「ちょっとインシー、何吹き込んだの……!?」
「オレの変な噂流すなよ、アメリカで誤解されたらどうすんだ……!」
「だってそうじゃん」
「2人のnickname、かっこいいです」
幸いアンベールはフルセイルサルートとガルディアコダンのことは悪いウマ娘だとは思っていないようで、2人はほっと胸をなでおろした。
「お、ちょうどいい。インシーのライバルが勢ぞろいか?」
そこへ、森内トレーナーが部室に入ってくる。
手には記者が使うような立派な一眼レフのカメラを持っていた。
「俺の思い出用に集合写真を、と思って集まってもらったんだ。Would you like to be in the photos I'm going to take?(君たちも写真に入ってくれるか?)」
「For sure!(当然!)」
「お願いします。Incyのトレーナーさん」
インシルカスラムのライバル5人は快く承諾し、インシルカスラムを中心に集まって思い思いのポーズをとる。
「ファンサだと思って決めポーズしてくれ。行くぞ。Say Cheese!」
カシャ!
この集合写真は、森内トレーナーが大切にするアルバムの中に保管されている。
この物語が終わってからも、ずっと。