ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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インシルカスラムの人生13戦中11戦目。
いよいよ大詰めを迎えつつあります。


第140話

ーーー129ーーー

 

12月に入り、いよいよ今年も大詰めを迎える。

 

インシルカスラムが今年残すレースはあと2つ。

 

そのうち1つが今日行われるチャンピオンズカップだ。

 

昨年、3着に終わったインシルカスラムは、ここで何としてもリベンジを果たしたい。

 

 

控室で、勝負服に着替え終わったインシルカスラムは白いサポーターで保護された両膝をバシバシと強く叩く。

 

……特に痛みや違和感はない。問題はなさそうだ。

 

JBCレディスクラシックから始まって、インシルカスラムはこのチャンピオンズカップ、東京大賞典と今年、怒涛の3連戦をこなさなければならない。

 

去年のクラシック級では、連闘2連戦のレース中で骨折した。

 

順当に考えれば、今年の2戦目にあたるチャンピオンズカップで何か異変が起きるかもしれない……と考えることは別におかしなことではない。

 

「……よしっ」

 

インシルカスラムは覚悟を決めて立ち上がった。

 

チャンピオンズカップで骨折するかも、不安だ……。

 

なんて迷いながらレースをして、アメリカでもトップクラスの2人に勝てるものか。

 

「行ってくるよ、トレーナー。何も心配しないで」

 

「ああ。絶対勝つと信じてゴールで待つ。俺ができるのはそれだけだ」

 

「ま、今度こそアタシが故障したらきっと痛いって思う間もなく死んじゃうだろうしね」

 

「……笑えん冗談だ」

 

顔の曇った森内トレーナーを後ろに、インシルカスラムは控室の扉を開けた。

 

 

インシルカスラムが地下バ道に出ると、ちょうどアンベールとハイエストフェローとばったりと会った。

 

どうやら2人も着替え終わって中京レース場に出ようとしてるところだったようだ。

 

「Incy, let's join hands and come with us!(手でも繋いで一緒に行こうぜ、インシー!)」

 

ハイエストフェローがインシルカスラムに手を差し出してくる。

 

去年の今頃、同じように差し出された手は見下すための挑発的な握手で、握ったとたんに引き寄せられたことをインシルカスラムは思い出す。

 

その意趣返しというべきか、インシルカスラムは差し出された手を強く握り。

 

自分のもとに引き寄せた。

 

「Gotcha!(つっかまーえた!)」

 

ハイエストフェローは空いた方の手でやれやれと呆れながらも、一緒に手を繋いで歩き出す。

 

「あなたたち、仲良しですか?」

 

仲良しかよお前ら……という意味でアンベールは後ろからややジト目で2人を見ていた。

 

「アンベールも入る?片手空いてるよ!」

 

「いいえ」

 




きっと真顔で「いいえ。(No.)」って言ってるアンベールを想像したらちょっと吹き出しました。
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