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ファンサービスの一環でもあるレース後のウイニングライブは、Unlimited Impactという曲になる。
これはダートレースなら全日本ジュニア優駿から東京大賞典まで一切変わらない。
ステージは金網や鉄骨に脚立、複数のテレビといった装飾が目立ち、まるで工事現場をどうにかライブステージに改装したようだ。
もう森内トレーナーもこの荒っぽいライブステージも見慣れてかつてティアラ路線にいたころの彩Fantasiaを忘れかけている。
トレーナー4人は最前列を予約して、担当ウマ娘のテーマカラーにしたサイリウムを準備して待機する。
森内トレーナーは赤、藤正トレーナーは青、打出トレーナーは緑、小原トレーナーは白だ。
「この4人でライブ見るのは初めてですかね?」
「ああ。去年は中止になったからな。今思えばここ3年くらいやたらとお前が隣にいた気がするぜ」
「はは、同感です」
小原トレーナーは森内トレーナーに冗談を飛ばし、打出トレーナーは苦笑いで返した。
「そうだな。お前たちの担当を打ち破ったんだから当たり前だ」
「んで、俺のサルートは打ち破られて今日バックダンサーなんスね?恨みますよ?」
照明が消えた。夜なこともあり、隣すら見えない暗闇になる。
しばらくすると、砂嵐のテレビが映り、メロディーが始まった。
スモークからだんだんと明るくなっていき、3人のシルエットでしか映らないウマ娘が前に出てくる。
そして、一気にバッ、と青白い照明が付き。
「視界全部奪うような 打ち付けるスコールの中でも……」
センターのインシルカスラム、そして両サイドにいるテンカバスターとガルディアコダンが慣れた手つきでUnlimited Impactを歌いだした。
東京大賞典に出るようなウマ娘たちだ、着外のバックダンサーのウマ娘だってUnlimited Impactは何回、何十回とやっている。
寝てても無意識に歌って踊れるくらいだ。
「Yes…Unlimited Impact♪」
サビの最後までいつも通り、キッチリと全員が歌いきる。
観客たちは「見せてあげる Evolution Go Ahead 未来 DAYS!♪」で終わりか、と少ししんみりと惜しもうとして。
「ん?今音程下がらなかったか?」
森内トレーナーの他、かなり多くの者が気づいた。
通常のライブならImpactの音程は上がる。
ここにいるウマ娘たちが揃って音程を外すはずもない。
つまりは……
メロディーが最初のAメロに戻る。
「2番ですよ!」
「フルで歌うなんて聞いていないぞ!」
藤正トレーナーと小原トレーナーは思わずやってくれた!、とガッツポーズをする。
「これは嬉しいサプライズですね。普段あまり聞かない歌詞です。嚙み締めるとしましょう」
打出トレーナーの言葉に他3人も頷き、目を閉じて、歌声に耳をすませた。
Unlimited Impactの2番、聞いたことはありますか?
そこにはどんな想いが込められていると思いますか?