ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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ラストランを走り切ったウマ娘には、もう1つ大きな仕事が残っています。


第153話

ーーー142ーーー

 

ファンサービスの一環でもあるレース後のウイニングライブは、Unlimited Impactという曲になる。

 

これはダートレースなら全日本ジュニア優駿から東京大賞典まで一切変わらない。

 

ステージは金網や鉄骨に脚立、複数のテレビといった装飾が目立ち、まるで工事現場をどうにかライブステージに改装したようだ。

 

もう森内トレーナーもこの荒っぽいライブステージも見慣れてかつてティアラ路線にいたころの彩Fantasiaを忘れかけている。

 

トレーナー4人は最前列を予約して、担当ウマ娘のテーマカラーにしたサイリウムを準備して待機する。

 

森内トレーナーは赤、藤正トレーナーは青、打出トレーナーは緑、小原トレーナーは白だ。

 

「この4人でライブ見るのは初めてですかね?」

 

「ああ。去年は中止になったからな。今思えばここ3年くらいやたらとお前が隣にいた気がするぜ」

 

「はは、同感です」

 

小原トレーナーは森内トレーナーに冗談を飛ばし、打出トレーナーは苦笑いで返した。

 

「そうだな。お前たちの担当を打ち破ったんだから当たり前だ」

 

「んで、俺のサルートは打ち破られて今日バックダンサーなんスね?恨みますよ?」

 

照明が消えた。夜なこともあり、隣すら見えない暗闇になる。

 

しばらくすると、砂嵐のテレビが映り、メロディーが始まった。

 

スモークからだんだんと明るくなっていき、3人のシルエットでしか映らないウマ娘が前に出てくる。

 

そして、一気にバッ、と青白い照明が付き。

 

「視界全部奪うような 打ち付けるスコールの中でも……」

 

センターのインシルカスラム、そして両サイドにいるテンカバスターとガルディアコダンが慣れた手つきでUnlimited Impactを歌いだした。

 

東京大賞典に出るようなウマ娘たちだ、着外のバックダンサーのウマ娘だってUnlimited Impactは何回、何十回とやっている。

 

寝てても無意識に歌って踊れるくらいだ。

 

 

「Yes…Unlimited Impact♪」

 

サビの最後までいつも通り、キッチリと全員が歌いきる。

 

観客たちは「見せてあげる Evolution Go Ahead 未来 DAYS!♪」で終わりか、と少ししんみりと惜しもうとして。

 

「ん?今音程下がらなかったか?」

 

森内トレーナーの他、かなり多くの者が気づいた。

 

通常のライブならImpactの音程は上がる。

 

ここにいるウマ娘たちが揃って音程を外すはずもない。

 

つまりは……

 

メロディーが最初のAメロに戻る。

 

「2番ですよ!」

 

「フルで歌うなんて聞いていないぞ!」

 

藤正トレーナーと小原トレーナーは思わずやってくれた!、とガッツポーズをする。

 

「これは嬉しいサプライズですね。普段あまり聞かない歌詞です。嚙み締めるとしましょう」

 

打出トレーナーの言葉に他3人も頷き、目を閉じて、歌声に耳をすませた。




Unlimited Impactの2番、聞いたことはありますか?
そこにはどんな想いが込められていると思いますか?
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