ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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アプリだと速けりゃ30分で終わる3年間。
でも、じっくり見てみると、これだけたくさんのドラマがありました。

インシルカスラムの物語はここで完結します。


第155話

ーーー144ーーー

 

ウマ娘のレース日程が全て終了し、12月31日。

 

トレセン学園の広場では大々的にラストランを終えた者たちの引退式が開かれていた。

 

この後の進路ではまだトレセン学園に残留する者も少なくないが、この引退式に参加することで一旦はトレセン学園からの卒業を意味する。

 

参列する有名なウマ娘のほとんどのラストランは有馬記念かジャパンカップだ。

 

 

芝で大きな結果を残して華々しく見送られていくウマ娘たちの横で、ダート組はこじんまりとしていながらも、多くのライバルウマ娘たちが駆けつけてくれた。

 

今年はインシルカスラムとガルディアコダンが花束をもっており、見知ったダートウマ娘たちが集まって次々に握手している。

 

「コダン先輩!たくさん私と戦ってくれてありがとうございます!」

 

「引退してもコダンさんは私のお手本です!」

 

「おう!お前らはまだまだ頑張るんだろ?たまには来るからいい知らせ用意しろよな!」

 

「インシーちゃん!G1、7勝おめでとう!まさか会長さんと並んじゃうなんてね!」

 

「大変なこともあったけど最後まで走り切ってくれて感動したよ!」

 

「ありがとー!バッチリ最後も飾ってやったからな!」

 

一通り知り合いに祝ってもらったところで、ガルディアコダンは肘でインシルカスラムを小突いた。

 

「インシー、お前シニア級1回で引退かよ。まだまだダート界荒らしてもらいたかったぜ」

 

「普通は1回だっつの!コダンが長すぎんだって!」

 

 

そう言ってる間にテンカバスターとフルセイルサルートがやってくる。

 

「私はシニア2年目も行くことにしたわよ、インシー?」

 

「強い子が減っちゃって寂しくなるね」

 

やってきた2人はまずガルディアコダンと握手する。

 

「へへ、テンカ、来年からアンタがダート引っ張って行ってくれよ!」

 

「アンタすっごく強かったよ!来年頑張ってな!」

 

「うん。いっぱい戦うね」

 

そう言いながら、テンカバスターは2人の手を両手でやさしく握った。

 

次にフルセイルサルートが握手しに来る。

 

「サルート、来年からアンタもダートの主力だぜ、バリバリ荒らせよ!」

 

「優勝レイで部屋埋め尽くすくらいがんばれよな!」

 

「当然よ。ちゃんと私のレース見なさいよね」

 

しばらくすると、今度は打出トレーナーと森内トレーナーが見送りに来た。

 

「たくさんの勝利を頂いて感激です、コダン。一生の思い出にします!」

 

「それはこっちのセリフだぜトレーナー!オレのこと、ずっと支えてくれてありがとな!」

 

ガルディアコダンと打出トレーナーはお互いハグで今までの健闘を称えあう。

 

「インシー、少し歩きながら話さないか?」

 

インシルカスラムは頷き、森内トレーナーと広場から校門に向かって歩き出す。

 

 

「まずはおめでとう。インシーのおかげで俺の部屋は優勝レイで埋まってしまったよ。」

 

「アタシに感謝しろよなー!って言いたいけど。感謝したいのはアタシも!」

 

3年間を通して、インシルカスラムは偉業ともいえる成績を残した。

 

そして、森内トレーナーとインシルカスラムとの絆はかけがえのないものになった。

 

だが、このハッピーエンドにたどり着くまでに、いくつの危機を乗り越えただろう。

 

クラシックの年末だけじゃない。

 

他のウマ娘以上にバッドエンド・デッドエンドになるルートはたくさんあったはずだ。

 

それでも、全てを乗り越えたのは。

 

「俺、インシーのやりたいこと全部させてやったのは間違いじゃないと思ってる」

 

「でなきゃこんなにニコニコして隣歩いてないって!」

 

森内トレーナーがどんな無茶でもできるよう支えたから。

 

「アタシ自身でも思うけどさ、アタシに合わせるの大変だったでしょ?」

 

「ああ、正直大変だった。が、インシーはそれ以上に結果を残してくれた」

 

インシルカスラムが、その無茶を全てやり通したからだ。

 

 

校門前に2人はたどり着く。

 

「じゃあなインシー。これでお別れだ。元気でな」

 

森内トレーナーはインシルカスラムの背中を優しく押す。

 

インシルカスラムは2歩、3歩と歩き出し、トレセン学園の校門を出た。

 

これにて、2人の契約は満了となる。

 

2人は背を向けて道を歩き出す前に。

 

お互い、大きく手を振った。

 

 

「--森内トレーナー!本当に……本当に、今までありがとーなー!!」

 

「--こちらこそ!インシーは、俺にとって最高のウマ娘だ!!」




残り1話。はリザルト回みたいなものです。
なぜ、このタイトルが「ブラス・トレーサー」なのか?
それだけを伝えて終わりにしようと思います。
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