ファンサービスの一環でもあるレース後のウイニングライブは、ダートレースならすべてUnlimited Impactという曲になる。
ダートでしか見れないG1ウイニングライブ、ということもあってかレースは見ないがウイニングライブは見てみる、という観客も見かけられる。
ステージは金網や鉄骨に脚立、複数のテレビといった装飾が目立ち、まるで工事現場をどうにかライブステージに改装したような荒々しさを感じさせる。
同時期のホープフルステークス後のライブで行われる、豪華絢爛な中央のステージから全方位にライブをするSpecial Recordとは明らかにテーマが違う。
トレーナー2人は最前列を予約して、森内トレーナーは赤、藤正トレーナーは青の、担当ウマ娘のテーマカラーにしたサイリウムを準備して待機する。
照明が消えた。夜なこともあり、隣すら見えない暗闇になる。
しばらくすると、砂嵐のテレビが映り、メロディーが始まった。
スモークからだんだんと明るくなっていき、3人のシルエットでしか映らないウマ娘が前に出てくる。
そして、一気にバッ、と青白い照明が付き。
シルエットだったインシルカスラムとフルセイルサルート、そして3着のウマ娘が観客席に手を伸ばして、初めてとは思えないほど手慣れた振付を始めた。
後ろには惜しくも4着以下となったバックダンサーも同じく慣れた感じで踊っている。
どいつもこいつもレース直後の砂を落とさず、汚れたままの格好でのライブだったが、みんなむしろその姿を誇らしそうにしていた。
どうやら、汎用ライブ衣装への着替えは全員断ったようだ。
「視界全部奪うような 打ち付けるスコールの中でも♪」
3人が三角形のようなフォーメーションを取り、まずはセンターのインシルカスラムから歌いだす。
「きっと攫われ流れるのは 言い訳と迷いだけよ♪」
続けてセンターが入れ替わり、フルセイルサルートが歌う。
「ぬかるんだ現状に足をとられて 陰鬱な空気が喉塞いでも――♪」
「すげえ……自分の担当をG1ライブに立たせるのってこんな気持ちなんスね……」
オレンジ色に変わった照明を浴びながら、藤正トレーナーはフルセイルサルートをG1ライブの主役級に立たせた瞬間を見て感動に圧倒されていた。
「センターに立たせたときはもっと感動するぞ。藤正、お前なら近いうちにわかるかもな」
「へっ、インシーが邪魔してくるんでしょどうせ」
「もちろん」
「この声は絶やせないでしょう この足は止まらないでしょう♪」
Bメロに入り、インシルカスラムとフルセイルサルートが向かい合いながら同時に歌う。
出会って数秒でいがみ合うような2人も、この瞬間は楽しそうに笑っていた。
「いのちのかぎり!♪」
照明が一気に明るくなり、メロディーがサビに入る。
「どうか全力で射抜いてよ 瞳で私を♪」
「焼き付けていこう それは約束の進化系♪」
「傷を痛がって投げ出す程度の想いじゃない♪」
「君は目撃者だよ♪」
「Yes…Unlimited Impact!♪」
「見せてあげる Evolution♪」
最後に、フルセイルサルートは片手を、インシルカスラムは両手を突き上げ。
観客に向けてグッと握った。
「Go Ahead! 未来 DAYS!♪」
これにて第1章「艦隊襲来(全日本ジュニア優駿編)」は終了になります!
次回よりクラシック級、そして第2章「ワンチャンスのクラシック(ジャパンダートダービー編)」が始まります!
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