ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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今回より第2章「ワンチャンスのクラシック」編が始まります!


2章 ワンチャンスのクラシック(ジャパンダートダービー編)
第21話


インシルカスラムは3戦3勝の完璧な結果でクラシック級へと向かう。

 

年が明けて1月1日。

 

「あけましておめでとう、インシーとそのトレーナーさん。お邪魔するわね」

 

相変わらずバーンと扉を開け、トレーナー室に入ってきたのはフルセイルサルート。

 

中にいた森内トレーナーとインシルカスラムはちょうどお雑煮を食べていたところだった。

 

2人は露骨に「またかよ!」という表情をする。

 

「サルートあけおめ!帰れ!」

 

「この前12月30日に年越しそばを食べに来たばっかりじゃないか。ということは」

 

少し遅れて藤正トレーナーがニヤニヤしながら入ってくる。

 

「お二人さん、あけましておめでとうございます」

 

「いやー、俺は『今度は正月にモチでも食いに行きましょうよ』って冗談のつもりで言ったんですよ?そしたらサルートが乗り気になっちゃいまして」

 

「ここに来たらタダで食べ放題よ、行くに決まってるでしょう」

 

絶対冗談ではない。

 

「はぁ、かつては貧乏暮らしだったのか?それかただ食い意地が張ってるか」

 

森内トレーナーとインシルカスラムは顔を合わせてため息をつくと、ゴン、と音を立ててやや乱暴にお雑煮をフルセイルサルートと藤正トレーナーに差し出した。

 

「どっちもよ。いただきます」

 

フルセイルサルートはあっさりと過去の貧乏暮らしと食い意地を認めて、お椀に汁が跳ねたのも気にせずお雑煮を食べ始めた。

 

話し方は高飛車な女王様のようだが、案外体裁は気にしないのかもしれない。

 

 

「じゃ、せっかくライバルが集まったんです。正月ですが仕事しましょう」

 

藤正トレーナーは手を叩いてトレーナー室にいる3人を振り向かせる。

 

今後のレース方針について話し合おう、ということだ。

 

「ああ。インシーとサルートは今後も勝負するからな」

 

「リベンジマッチの場所は選ばせてください……と言っても、1個しかありませんがね」

 

「分かってる。"ジャパンダートダービー(JDD)"だろ?」※

 

「ええ。クラシック級のダートウマ娘のみが出走できるG1、大井の2000m」

 

トレーナーたちは未だお雑煮に夢中な2人に振り向く。

 

「口酸っぱいかもしれんが、ダートに3冠はない」

 

「つまりは3回も猶予をくれる芝と違ってこのジャパンダートダービー、1チャンスだけです」

 

「秋からは嫌でもシニアとの無差別階級に放り込まれる。悔いの無いようにな」

 

口にしつこく残っていた餅を飲み込んだ2人はやれやれ、釈迦に説法だぞと首を振った。

 

「1チャンスあれば十分よ」

 

「次もアタシのモンだからな!」

 

「フッ、聞く必要なかったかもしれん。藤正、ジャパンダートダービーは7月だ。その間のレースは?」

 

「サルートはG3のマリーンカップに舵を切ってからジャパンダートダービーに向かう予定です。ちょっとばかし、ドサ回りで積み上げてきますよ」

 

「分かった。インシーはG2の関東オークスを狙ってからにする。ジャパンダートダービーまでかち合うことはなさそうだな」

 

「成績に土ついてもしょげないでくださいよ?」

 

「そっちこそ、G3で壁を感じてG1を諦めたりするんじゃないぞ」

 

トレーナーたちは軽口をたたきながらハイタッチする。

 

「お、トレーナーたちかっこいいことやってるなー。アタシたちもあんなこと言いながらハイタッチしたい!サルート!」

 

「おはあり。いまあえうのにいほあひいはらあほえ(おかわり。今食べるのに忙しいから後で。)」

 

「コイツ人のお雑煮食べつくす気か!?ったく、その食欲、誰に似たんだか……」

 

「ごくん。あらインシー、オグリ先輩みたいだなんて嬉しいこと言ってくれるじゃない」

 

「褒めてねーよ」

 

 

※2024年より「ジャパンダートクラシック」に名称変更され、開催月が10月に変更されていますが、今回はアプリ版で実装されている7月開催の「ジャパンダートダービー」として扱います。




この辺りは芝とダートでの差が一番大きいところなんじゃないかなと思います。
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