時は進んで6月。
ジャパンダートダービーまではもう1か月を切った。
担当が激しいライバル同士となったトレーナー同士はちょくちょく会って近況報告をしていた。
「もう残すところはジャパンダートダービーだな。どうだ藤正、サルートの調整は順調か?」
「ええ、マリーンカップはキッチリ、あとスレイプニルステークス(OP)も取って中距離のコツ掴ませました。数こなしたら見劣りしないでしょう?」
「最初からサルートを見劣りする相手だとは思ってないさ」
「おっと、愚問でしたね。インシーはどうです?」
「関東オークスの玉座の座り心地はいまいちだった、とさ」
「じゃ、前哨戦はお互い順調ってことで。本番いい勝負にしましょう」
2人のトレーナーはそれぞれの担当の勝利を称えつつ、ジャパンダートダービーでの再戦を誓った。
ほぼ同時刻。インシルカスラムは理科準備室を訪れていた。
「やっほータキオン!」
相変わらず誰に似たのか、声はかけるが相手の返事を待たずに理科準備室の扉をバーンと開ける。
どうやら、インシルカスラムはアグネスタキオンから何か頼まれていたらしい。
理科準備室はいつもの通り、アグネスタキオンとマンハッタンカフェがいた。
「やあインシーくん!よく来たねえ、早速なんだが……」
アグネスタキオンは嬉しそうにインシルカスラムを出迎えるが、それをもう1人の住人の手が遮った。
「ちょっと待ってください。インシルカスラムさん、ですね?」
マンハッタンカフェだ。
「え?うん。アタシがインシー」
キョトンとした顔で自分を指さしながらインシルカスラムは答えた。
マンハッタンカフェは少し前にインシルカスラムの写真を見せられた時のことを思い出し、そして今、目の前にいる本人を注視する。
マンハッタンカフェの強い霊感によれば。
……やはり、"死"が濃く映っているように見えるのだ。インシルカスラムには。
そう遠くないうちに、インシルカスラムは何かしら生死の境を彷徨う出来事に会うのかもしれない……。
「どうしたの、アタシじっと見て。砂とかついたまんまとか?」
「いえ……。インシルカスラムさん。あなたにはムグ」
マンハッタンカフェが危険を伝えようとしたところ、アグネスタキオンに口をふさがれた。
アグネスタキオンはマンハッタンカフェにこっそり耳打ちする。
「カッフェ~……インシーくんに死相が見えるなんて伝えたところで、まともに取り合ってくれると思うかい?」
インシルカスラムが予言を信じるタイプとはかけ離れていることは今までの行動から見ても明らかだ。
おそらく伝えたところで「は?何言ってんの?」以外の返事は返ってこないだろう。
「……アンタもアタシになんか用だった?」
口をふさがれたマンハッタンカフェを見てインシルカスラムは首をかしげている。
マンハッタンカフェはアグネスタキオンをジト目で見た後に口をふさいでいる手をどけた。
普段はロクなことをしないアグネスタキオンだが、こればかりはアグネスタキオンの言い分にも一理ある。
「……すみません、なんでもありません。マンハッタンカフェです。コーヒーでしたら用意しますよ」
ブラック一筋なマンハッタンカフェにしては珍しく客用のコーヒーカップに砂糖とミルクも足したコーヒーをインシルカスラムに出す。
「あー、コーヒーね。タキオンの用が終わったらもらうよ。で、タキオン、話ってなーに?」
あれ、なんかタキオンが、まとも…だぞ…?
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