それを聞いてアグネスタキオンはケミカルな蛍光色の液体が入ったフラスコを振りながらインシルカスラムに近づいていく。
「そうだそうだ、早速なんだが、とっても元気になれる薬を試作してねえ」
インシルカスラムが健康面で悩んでいることはアグネスタキオンも聞いていた。
アグネスタキオンはインシルカスラムのため、ひいては自分のためにも、飲めば一段と健康になれる薬があればと試作してみたらしい。
もっとも、あくまでアグネスタキオン自作の試薬であり、副作用なしに有効性のある効果が表れるとは限らないのは、もはや語るまでもないだろう。
そしておそらく自分で試飲はしていない。
普通のウマ娘なら断るか逃げるかするだろう。事実マンハッタンカフェは断り続けている。
飲んでしまったことで有名なアグネスタキオンのトレーナーは身体が発光するという"被害にあってしまった"。
「よかったら一口試飲してみないk」
奪われた。
アグネスタキオンの話が終わるより早く、「御託はいいからさっさとよこせ」と言わんばかりにインシルカスラムは食い気味にフラスコを強奪する。
そして、間を置くことなく、ジョッキに入ったビールか何かみたいにラッパ飲みしだした。
これにはマンハッタンカフェはおろか差し出したアグネスタキオン本人ですら「ウソでしょ……!?」といった顔で固まっている。
まさか、アグネスタキオンの怪しい薬を自分から一気飲みしだす命知らずがいたとは……
しかも、"一口"試飲してみないか?といったのにも関わらず、インシルカスラムはフラスコ内の中身を全部飲み干した後、何か思い出した表情をする。
「いいよ!」
元気よく返事された。
どうやら思い出したことは、「あ、返事するの忘れた」だったらしい。
そしてやはり副作用か、アグネスタキオンのトレーナーが被害にあった時と同じく、インシルカスラムは全身が白く光り輝いていた。
「ってか何これまぶしっ!」
「私が言うのもなんだが躊躇がなさすぎないかい!?」
アグネスタキオンは、差し出した張本人とは思えないツッコミを入れる。
「タキオンが飲んでみろって言ったんじゃん。うぇ、味はあんまり美味しくないな。ちょっとコーヒーで口直しさせて」
インシルカスラムは自分の心配より味について言及した後、マンハッタンカフェが出していたコーヒーに口をつけだした。
当のマンハッタンカフェ本人は信じられないという顔のままフリーズしている。
幽霊なんかより何倍も信じられない光景を目にしたことでマンハッタンカフェ.exeは動作が停止してしまったようだ。
クラッシュレポートを送って再起動するまで動かないだろう。
「ってかアタシずっと光ったまま!?タキオン……アタシにも羞恥心ってのはあるんだけど。一応」
「いや、いずれは消えていくと思うよ……。次は一気飲みされても問題ないよう改善しなければ……」
予想だにしない激ヤバなモルモットくんが来てしまったことにアグネスタキオンは頭を悩ませることになってしまった。
マンハッタンカフェが感じていた死相は、怪しいものにもすぐに飛びつく無鉄砲さが原因なのかもしれない。
タキオンの薬を説明聞く前からノータイムイッキするウマ娘はうちのインシーだけだと思います。
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