ジャパンダートダービーの舞台大井レース場に到着とほぼ同時に。
フルセイルサルートが着けていたウマ娘用イヤホンから音が鳴る。
どうやら、到着予想時刻に目覚ましを設定していたらしい。
「ん……ん?」
フルセイルサルートがアイマスク代わりのパイレーツハットを取ろうとしたとき、その感触がないのに気づく。
怪訝に思って目を開けると、頭上には、ニヤニヤしながらパイレーツハットを取り、油性ペンを持ったインシルカスラムがいた。
2秒ほど硬直し。フルセイルサルートは状況を理解して急に真顔になる。
「トレーナー。顔、どうなってる」
「セーフです。あと5秒遅かったら落書きされてましたね」
それを聞いた途端、フルセイルサルートはパイレーツハットと油性ペンを持つインシルカスラムの両手をわしづかみする。
「随分と低俗なイタズラを仕掛けてくれるじゃないのインシー……!!」
「無防備に寝てるほうが悪いんだよーだ」
「いい度胸ね!あなたの顔真っ黒に塗ってあげるわ、それでJDD出なさい!」
「へっ、やってみろよ。アタシの腕動かせないくせに」
「バスには油性ペンつけないでくださいよ」
「喧嘩が終わったら大井レース場の控室な」
もはや2人の喧嘩に慣れた森内トレーナーと藤正トレーナーは先に通路を通って下車していった。
「あぁクソ、サルートに一本取られた……」
控室で悪態をつくインシルカスラムの右手には黒い太線が1本横に入っていた。
おそらくさっきの喧嘩でフルセイルサルートにつけられたものだと思われる。
「まあ見えないしいいか」とケロッと機嫌を直して、インシルカスラムは赤土色の手袋をはめた。
「トレーナー、今度の作戦は何がいい?」
「いろいろやり方を考えたが結局全部対策されている気がしてな。1周回ってシンプルに行ったほうがいい気がしてきた」
「じゃあ、アタシの一番得意なやり方でいいってことだな!」
「それで通用しないと思ったらその場で変えろ。インシーならできるだろ」
「簡単!よーし、G1、2つ目もいただきだ―!」
手を叩き、インシルカスラムはパドックへ向かっていく。
「インシーったら、よくも私のパイレーツハットを……!」
控室で悪態をつくフルセイルサルートのパイレーツハットの黄色い羽根が半分黒くなっていた。
おそらくさっきの喧嘩でインシルカスラムにつけられたものだと思われる。
「まあ、これはこれで悪くないデザインね」とケロッと機嫌を直して、フルセイルサルートはパイレーツハットを頭に被った。
「トレーナー、全日本ジュニア優駿のようなやり方は通用しないわよね。どうしようかしら」
「いろいろ考えましたが、森内さんもインシーも頭が回る。下手な変化球を投げれば場外までかっ飛ばされるでしょう」
「……つまり、結局はストレートが一番いいってことかしら?」
「ええ、通用しなかったら走りながら別の手を試しましょう。できますねサルート?」
「当然よ。リベンジを果たしに行くわ!」
手を叩き、フルセイルサルートはパドックへ向かっていく。
ダート界の日本一を決めるレース、先にゴールするのは、果たしてどちらか。
君たち仲良しでしょ。
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