ご冥福をお祈り申し上げます。
場所は変わって関係者席。
全日本ジュニア優駿の時と同じく、森内トレーナーと藤正トレーナーが最前列の手すりに寄りかかってレースを分析している。
「序盤、2人、3人と一気に飛び出している!インシルカスラムは追いかけない、現在4番手!」
「結構飛び出しますね」
藤正トレーナーが手元の出走表に目を落とす。
出走者のうち逃げが得意なウマ娘の何人かが一気にインシルカスラムより前に飛び出したようだ。
さらにぐんぐんとインシルカスラムを突き放し、インシルカスラムは逆にセーフティリードを取られた形で序盤の展開が決まる。
「おそらく全日本ジュニア優駿のサルートを参考にしたんでしょうね。サルートはダメだが、自分なら"ワンチャンス"あるんじゃないかって、それに賭けた」
他のダートウマ娘が参考にするレースの第1候補はたしかにジャパンダートダービー意外に唯一のG1、全日本ジュニア優駿だ。
ビデオさえ見れば、フルセイルサルートが3分の2くらいまでは、インシルカスラムをリードしていた。
最後は追い抜かれてしまったが、自分ならいけるのでは。インシルカスラムをビックリさせて崩せばわずかな希望が見えるのでないか。と思うのは無理もない。
だが、森内トレーナーはその大逃げをかましたウマ娘を鼻で笑い飛ばした。
「"ノーチャンスだ"」
インシルカスラムは崩れていない。前を走られることは想定内だ。
わずかな希望に大博打を打ったウマ娘たちは、残念ながら大外れ。おそらく最後まで持たないだろう。
「--フルセイルサルートは8番手にいます」
「……サルートは中団か。先行だったよな?」
森内トレーナーはバ群の真ん中くらいにいるフルセイルサルートを指さす。
フルセイルサルートは本来先行ウマ娘だ。8位の位置にいるのは、数字だけ見れば少し後ろすぎるといえる。
藤正トレーナーはそれに対してコクリとうなずくも、表情は険しかった。
「サルートはあの位置でワンチャンス狙ってんですよ。展開、どう傾きますかね」
「1000m通過しました、タイムは58.8。60秒を大幅に切るかなりのハイペース!」
「順位をもう一度確認していきます――4番手にインシルカスラム――フルセイルサルートは7番手」
あっという間にジャパンダートダービーも折り返し地点を過ぎる。
1~3位の位置にいたウマ娘たちは、序盤から飛び出した大逃げでハイペースを記録した。
しかし、全日本ジュニア優駿で800m地点で息を上げたフルセイルサルート以上に消耗しており、残り1000mは明らかに持たないだろう。ペース配分ミスだ。
となれば、注目するのは4位の位置にいるインシルカスラム。
「(アタシの前の奴らは飛ばしすぎ。いないものだと思ったほうが気が楽かな)」
先頭のメチャクチャになったペースに惑わされず、インシルカスラムは冷静にレースを消化しつつ、後ろに意識を向けた。
フルセイルサルートは後ろ2~3バ身ほどにいる。
どうやら、今回はごくごく普通の先行策を取ってきている。
「(トレーナーは、通用するなら正攻法でいいって言ってた。ならアタシは正攻法でやる!全力で逃げ切る、それだけでいいんだ!)」
真っ向勝負なら自分がトップ。
そう自分に言い聞かせてスタンダードな逃げを続けていく。
一方、フルセイルサルートは多くの先行ウマ娘のバ群に飲みこまれていた。
ブロックだ!まずいぞサルート!
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