ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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ブラス・トレーサーには「チーム」の概念が出てきません。
なぜかって?ダートウマ娘だけでチームを組むような理由もなければ人数もいないからだよ…
基本的にブラス・トレーサーではトレーナーとウマ娘でマンツーマンになります。


第4話

阪神レース場、ダート1400mを模した模擬レース場。

 

インシルカスラムという名の有力ウマ娘が今から出走するらしい。

 

彼女の走りを一目見るべく、森内トレーナーと藤正トレーナーはトレーナー用の観客席を訪れていた。

 

有力な芝のウマ娘が出る模擬レースであれば、大量のトレーナーに加え、野次馬や記者、ほかのウマ娘などでごった返し、人込みに押されながら遠目にしか模擬レースを見れないほどなのだが。

 

今回は最前列の手すりもスカスカなほど人はまばらだった。

 

お互いを除き、見知った顔はいない。

 

ベテラントレーナーと言える森内トレーナーにとっても完全にアウェイの場所だった。

 

 

「連れてきました。こいつが例のです」

 

藤正トレーナーは2人のトレーナーの前まで歩き、森内トレーナーを指さして紹介した。

 

2人のトレーナーのうち、1人は白いスーツジャケットを着た30代半ばほどの仏頂面の男で、もう1人は深緑のセーターに紫色の縁眼鏡をかけた柔和そうな感じの20代後半ほどの男だ。

 

そのうち、眼鏡をかけた男のほうが森内トレーナーに振り向く。

 

「ああ!あなたが!ええと……どちらさまで?」

 

眼鏡の男は明るくも丁寧な感じにあいさつを返してきたが、どうやら名前は覚えていなかったようで、仏頂面の男の方を向く。

 

「知らねえよ。俺の担当に関係のないレースに出てたウマ娘に興味はねえ。ましてやトレーナーなんぞは尚更な」

 

仏頂面の男は森内トレーナーに振り向くことすらなく、素っ気ない返事を返す。

 

「森内だ。これでも去年まではシニアG1戦線にコンスタントに出てた子を担当してたんだがな」

 

「こいつのトレーナーとしての腕は俺も保証します。去年までこいつの担当だったウマ娘は幸せそうでしたよ」

 

森内トレーナーの自己紹介に加えて、藤正トレーナーが肩を持つ。

 

それを聞いて初めて、仏頂面の男のトレーナーが振り向いた。

 

トレーナーとしての腕が確かなら話は通じそうだ、と言わんばかりの表情だ。

 

 

「小原だ。覚えなくていい。俺の名前にたいした価値なんぞねえ」

 

「大事なのは、俺がどういうトレーナーか、誰を担当しているかだろ?」

 

仏頂面の小原トレーナーはようやく森内トレーナーに全身を向けた。

 

「俺の担当ウマ娘はテンカ。"テンカバスター"だ。そっちはよーく覚えておけ」

 

それに森内トレーナーが頷いたところで、隣の眼鏡の男が割って入る。

 

「僕からも自己紹介を。"ガルディアコダン"の担当をしております、打出、と申します」

 

「うちのコダンともども、以後よろしくお願いします」

 

眼鏡の男こと打出トレーナーは軽く会釈を森内トレーナーに返した。

 

森内トレーナーは2人の名前、そして担当ウマ娘を頭の中にインプットさせ、事前に調べたダートウマ娘の情報と照らし合わせる。

 

「テンカバスターにガルディアコダン……。地方ダートで好成績を収めているウマ娘だな。この前のフェブラリーステークスでも名前を見た」

 

「今、ダート界をけん引しているといっても過言ではない2人だな」

 

森内トレーナーが2人の担当ウマ娘を褒めると、2人のトレーナーはまんざらでもない表情をする。

 

「ふん、少しは予習してるようだな」

 

「ダート界をけん引だなんてそれほどでも……ありますかね?」

 

 

「どうです?期待のダートウマ娘ことインシルカスラムさんにとって、不足なトレーナーじゃないと思いますがね」

 

藤正トレーナーは森内トレーナーの背中を叩いて実力に判を押す。

 

「まあ、俺はダートじゃ新参者だ。この2人に習いつつそいつの走りを見てみるとしますかね」

 

そう言って森内トレーナーは小原トレーナー、打出トレーナーと同時に観客席最前列の手すりによりかかってレースを見学する。

 

ゲートの奥にいるオレンジ色の瞳とロングヘアの、150cmもないくらいの小柄なウマ娘。

 

髪飾りは白いシンプルなクロスヘアピンを左耳側に着けている。

 

情報によれば、その子がインシルカスラムだった。

 

 




トレーナーはこの4人が主な登場人物になります。
次回からレースシーンを始めます!

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