応募してくれた皆様のおかげで練習マークが虹色にビカビカ光っております。
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本格的にクラシック級ダート組も夏合宿に合流し、約2週間の遅れを取り戻すべくハードなトレーニングに励む。
「く……うっ、つっらあ……!」
インシルカスラムはなにやら物々しい大型マシンに鎖で繋がれた状態でビーチを重々しく歩くトレーニングをしていた。
インシルカスラムが体に巻き付けている拘束具のようなものには太い金属チェーンがつながっており、大型マシンは恐ろしい音を立てながらチェーンを巻き取っている。
引きずられまいとインシルカスラムが前に前に行こうしてチェーンを引っ張って伸ばすが、その重さは根性トレーニングでよく使われている巨大タイヤの比じゃなさそうだ。
「がんばれポニーちゃん!アメリカのダートウマ娘はみんなこれでトレーニングしてるんだよ!」
マシンの上でメガホンでインシルカスラムを激励しているウマ娘はアスカエンプレス。
普段は海外を飛び回っているが、今回の夏合宿では偶然日本に帰ってきており、どうやらアメリカ製のトレーニング機器をお土産に導入してくれたらしい。
森内トレーナーはあっけにとられた様子でインシルカスラムのトレーニングを見守っている。
「噂には聞いていたが、まるで拷問器具だな……」
「アメリカのトレーニングはRoughでWild。だから強いウマ娘がゴロゴロしてるのさ。ストーップ」
アスカエンプレスは停止スイッチを押し、マシンはゆっくりと巻取りを遅くして止まっていく。
「っあ゛ー……生きた心地しなかったぁ……」
「はーい、お疲れ様。限界超えてやるとこのトレーニング危ないからね、少しずつやっていこう。身体は休めている間に、今度は頭を鍛えようか」
息を整えているインシルカスラムにアスカエンプレスはテキスト集を放り投げる。
インシルカスラムが受け取ったテキストのその内容は、英語とフランス語の語学テキストだった。
「海外挑戦はしなくても、中央トレセン学園には海外からくるウマ娘も多いからね、覚えて損はないよ。Let's study♪」
「んー、まあ、何もしないよりましかな。えーと、Lesson 1が――」
ヒマなほうが嫌なのか、思ったよりすんなり勉強を受け入れたインシルカスラム。
限られた時間を最大限使って、学びが得られそうだ。
「つめたーー!」
練習後の夕方、インシルカスラムはウマ娘スタッフの手を借りてアイシングをしてもらっていた。
インシルカスラムの脚に冷却スプレーをかけているのはタナバタマツリ。
かつては自分自身が走っていた経験を活かし、今ではサポートスタッフとして在籍している。
「……これでよし。今日は練習を終わりにして休養に努めてください」
「え、まだ夕方じゃん!まだやれるよ、今からジムにっひゃーーっ!?」
制止を振り切って自主トレーニングに行こうとしたインシルカスラムの背中に、タナバタマツリは容赦なく冷却スプレーを吹きかけた。
「ダメです。インシーさんの脚ではこれ以上はオーバーワークにあたります」
「うぅ、スースーする……」
「焦る気持ちは分かりますが、1回の小さなケガでも競技人生が台無しになります。あなたなら特にケガしやすいんですから、休むことも大事な練習だと思ってください」
タナバタマツリはインシルカスラムを座らせると、念入りにテーピングを巻いていき、入念なアフターケアを行う。
かつてレースを走っていたウマ娘が自身の経験を生かして、後進のウマ娘のサポートに回るという尊い信念。
2人の周囲に姿を現してはいないが、おそらくどこかでアグネスデジタルあたりが尊死しているだろう。
しかし、タナバタマツリ本人にとっては、現役ウマ娘のケアマネジメントというのは尊いことというより、ごく当たり前のことなのだ。
「とはいえ、休養に努めてください、と言ってもじっとしていろ、というのはインシーさんにとっても酷な話でしょう」
タナバタマツリは自分の荷物から1枚のチラシを取り出す。
内容は近くで行われている夏祭りのお知らせだった。
ちょうど今日の夜、やっているらしい。
「へー、お祭りかぁ!」
「寝ているだけよりは楽しいと思いますよ。気分転換にどうですか?」
「ならさ、マツリも一緒に行こ!こういうのって大人数で言ったほうが絶対楽しいでしょ!」
「あら、私もですか?それは願ってもないことです、ご一緒しますよ」
……2人の周囲に姿を現してはいないが、おそらくどこかでアグネスデジタルあたりが尊死しているだろう。
生きろデジたん。
今回はアスカエンプレス・タナバタマツリというウマ娘の応募でした。
このうち、アスカエンプレスはイヴ様(@12eveProduce/13865780)からの応募です。
ありがとうございました!