ーーーEX5ーーー
「そこまで!」
2400mを通過した瞬間に森内トレーナーが合図を出した。
インシルカスラムは言われた瞬間、スピードを緩めると。
ジャパンダートダービーでしたように、倒れ込んでも大丈夫な速度になったとたんにコースに寝転がってしまった。
一方オーブアリザリンもまた速度を落とすと。
「あ……えっと……」
ゴールしたオーブアリザリンは、勝利の喜びを噛み締めるよりも先に、困惑した様子で自分の身体を眺めまわしていた。
どうやら、これほどまでの追い上げを見せてインシルカスラムに勝てるなど、オーブアリザリン自身ですら想定外だったらしい。
オーブアリザリンは自分の手をじっと見つめると。
その手をぎゅっと握った。
「これが……私の……!」
ようやく、オーブアリザリンは勝利を実感する。
どうやら、インシルカスラムと戦うことで先ほどの恐ろしいまでのオーラを出すコツを掴んだらしい。
それを見た森内トレーナーは呆れながら首を振るも、その態度は賞賛だった。
「流石だオーブ。うちのインシーに勝てるウマ娘はなかなかいない……」
そしてもう1つ、森内トレーナーにとっては驚愕の事実があった。
「それに2400を走って全く息が乱れていない。オーブが菊花賞や春の天皇賞にいたらと想像するだけで恐ろしいな」
よく見れば横に寝転がって激しく息をしているインシルカスラムに比べ、オーブアリザリンは本当に走ったのかと思うほど疲れている様子を見せていなかった。
オーブアリザリンは適性距離やスタミナが大幅に高いのもそうだが。
使うだけでスタミナを削っていくインシルカスラムに対し。
オーブアリザリンが使ったあのオーラは使用中全くスタミナを使わない、もしくは逆に回復するスキルとみていいだろう。
「(あのオーラ……まさに"激情"というべきか。インシー以外には似合わん言葉だと思っていたがな)」
森内トレーナーはオーブアリザリンの素質に苦笑いするしかなかった。
「いえそんな、私なんかにありがとうございます……えーと、インシーさん?大丈夫ですか?」
オーブアリザリンは森内トレーナーに礼を言うと、激しく息をしていて未だ横になって起き上がってこないインシルカスラムに手を差し伸べた。
インシルカスラムは横になっているままその手を取ると。
「なあオーブ……これ褒め言葉なんだけどさ……」
「はい?」
「アンタと戦うと……アタシ早死にしそう……」
あまりに強すぎて、とかあまりに追いかけられるのが怖すぎて、寿命が縮んだという意味だろう。
オーブアリザリンはやや苦笑いしながらも、言われた通り褒め言葉と捉えることにした。
「インシーさんに褒めていただけるなんて光栄です」
次回より別の方が応募してくれたウマ娘に移ります!