と思いましたが、それだとまるでアーマード〇アだな…
---EX7---
今日のインシルカスラムの練習メニューはロードワーク。
そして、今日はまた別のダート経験豊富かつインシルカスラムと初対面のウマ娘と練習を行っていた。
「……なるほど、そういう走りもあるのね!」
インシルカスラムの後ろで一緒にロードワークをこなしつつ、そこから学んでいたウマ娘の名はアスカベイル。
ミサノフェニックスと同じく、夏合宿が初対面でダートを専門とするウマ娘だ。
「逃げウマ娘なら突っ走ってるだけと思ってたけど、ちゃんとペース配分も大事なのね!」
「考えてるよペース配分くらい!あと3分の1くらいだけど脚は残ってる?」
「大丈夫!前を走ってもらえると分かりやすいわ!」
そう話し合いながらロードワークをこなしつつも、アスカベイルは心の中でも考えをまとめていた。
「(こういうウマ娘が何考えてるかっていう情報はタメになるわね。地味なのは嫌だけど、積もると侮れない)」
何らかの理由があるのか、アスカベイルは平凡なことや地味なことを嫌う傾向がある。
だが、派手な勝利を掴むためには地味な積み重ねも疎かにできないことも承知の上だ。
アスカベイルはインシルカスラムから小さなことでも吸収できる何かを探し続けていく。
「ロードワーク終わり!あー、足の裏痛ったい、脱ご!」
合宿所に帰ってきてゴールしたインシルカスラムは早速地面に座り込むと。
靴と靴下を脱ぎ、そこらへんに放り投げて休みだした。
その転がった靴を見たアスカベイルは頷いて感心する。
「これ、アーチーズの最新モデルじゃない。カッコイイ靴ね」
アーチーズ(土踏まず)とはウマ娘のシューズブランドの1つでありながら、全体では最も使用者の少ない赤いスポーティーな靴。
つまりは、"ダートシューズ"のことを意味する。
どうやらアスカベイルは靴関係のことに詳しいらしい。
「あれ、でも……ちょっといい?」
アスカベイルはインシルカスラムの靴を拾い上げて内部や裏面をじろじろ舐めまわすように見る。
「え……ちょっとベイル?アタシの靴何かおかしい……?」
困惑するインシルカスラムにアスカベイルは裏側に打ち付けられている黒ずんだ色の蹄鉄を指さした。
「インシー、これ靴買った時の付属品の蹄鉄でしょ?」
「え、そうだけど。ダメなの?」
「ダメよ!いやダメじゃないけど、インシーに市販品なんてもったいないわ!ちょっと待ってて!」
そう言うとアスカベイルは合宿所に慌てて戻ると。
すぐにピカピカの銀色に輝く新品の蹄鉄に張り替えられたインシルカスラムの靴を持って戻ってきた。
「ほらインシー。履いてみて」
「え、うん。何か変わるのかな……?」
言われるがままインシルカスラムは靴下と靴を履いて何歩か走ってみたりジャンプしてみたりする。
「……気のせいくらいだけど、ちょっと軽くなったかも?」
「5,6歩だと気のせいでも、2000mだと大きな違いよ!」
アスカベイルは人差し指を立てると、インシルカスラムの靴を指さした。
「付属品の蹄鉄は誰でも使えるようにできているけど、だからこそ誰にとってもベストなものじゃないわ」
「もっと速く走りたいなら蹄鉄のカスタムにも気を配ることね。オーダーメイドできるところもあるから紹介しておくわよ」
アスカベイルの説明を聞きながらインシルカスラムは新しく靴についている蹄鉄を触ってみる。
薄いアルミ製だろうか、確かに鉄製の市販品と比べると重量にはそれなりの差がある。
軽い分、脚への負担は軽減されるし、スピードも増すだろうが、耐久性や負荷の面では劣るだろう。
蹄鉄とは高級品を装着すればいいというわけではなく、製品によって一長一短あるようだ。
「へー。蹄鉄ってのも奥深いんだなー!」
「そうよ!地味だけど早く走るためには……欠かせない……」
感心するインシルカスラムにアスカベイルはそこまで自信ありげに言いかけたが。
だんだん声を小さくした後、心の中でため息をついた。
「(また地味って言っちゃったじゃないの……!分かってるのよ。分かってるんだけど……!)」
大きな勝利のためには、地味で小さな積み重ねが必要不可欠。
そう頭ではわかっていても、心の底から完全には納得のいかないアスカベイルだった。
今回はアスカベイルというウマ娘の応募でした。
ありがとうございました!