ブラス・トレーサー的にも船橋という舞台的にも「フリオーソ」が出てきそうなんですが、残念ながらシンデレラグレイにエアグルーヴやナリタブライアンがいないように、世代が合わずまだいません…
ーーーEX11ーーー
トレセン学園に所属するウマ娘の中には、競技者として走りながらも。
同時にトレーナー側としての才能を持つ者もいる。
今日、森内トレーナーはそんなウマ娘と出会った。
森内トレーナーの隣にいるそのウマ娘はステラミラージュ。
光に当てても真っ黒な髪型、ウマ娘の世界では青毛と呼ばれる小柄なウマ娘だった。
「ミラージュは出身は船橋なのに適性は芝なのか」
「出身地と適性に関連はない。だからこそ中央に来た」
少し厳しい声でミラージュは森内トレーナーと会話する。
ステラミラージュは千葉県の船橋市で育ったが、どうやら適性は芝だったようだ。
あいにく船橋レース場は地方レース場。ダートコースしかない。
「だが私も船橋のことは愛している。そこで、インシーが船橋で走るに値するかどうかを見に来た」
「そういうことか。船橋のことは俺も知りたいと思っていた。中央ではデータが乏しくてな」
そこで森内トレーナーは今後インシルカスラムが走るかもしれない船橋の情報を求めて。
ステラミラージュは船橋レース場にふさわしいウマ娘かどうかインシルカスラムを品定めに来たといったところだろう。
インシルカスラムは、今日も森内トレーナーが組んだヘビーな練習メニューをこなしている。
「しかし、インシーは良い走りをする。才能もありながら努力も怠らない」
第1印象では厳しそうな評価をしそうなステラミラージュは、インシルカスラムのことをべた褒めした。
実際ステラミラージュは普段、他人を厳しく評価する。
「担当を褒められると悪い気はしないな。インシーのこと無茶ぶりだとは思わないか?」
「身体を気遣ったせいで敗北してしまったなら、全くの無価値だ」
ステラミラージュは敗北と、これまでインシルカスラムを気遣ってきた者をバッサリと切り捨てた。
どうやら第1印象通り、勝利こそが全て、それ以外は不要と思っているストイックなウマ娘のようだ。
「1着を取るウマ娘はすばらしい。限界を超えて奪い取ったならなおさらだ。もっとも、取れなければ途端に無駄となるが」
「そう言われると、俺としても自信がつく」
森内トレーナーとインシルカスラムのことをよく理解した上で認めてくれる者こそいるが。
2人のやり方を一目見た者の大半は心配の感情を抱く。
心配より先に肯定してくれるステラミラージュのような者は少ない。
つまりはステラミラージュもまた、勝利のためならば己すら顧みぬべしと強く考えている証拠でもある。
ふと、ステラミラージュは合宿所のほうを振り向いた。
少し上を向いて繰り返し匂いを嗅いでいる。
「……そうか、今日はケーキバイキング」
ステラミラージュは小さい声でつぶやいたつもりだったが。
流石にすぐ隣にいる森内トレーナーには聞こえてしまった。
「ほう。ミラージュ、君は――」
「待て、皆まで言うな」
ステラミラージュは首を横に振りながら森内トレーナーの言葉を制止した。
どうやら、厳しくストイックな性格のステラミラージュであろうとも。
スイーツの甘さは魅力的に映るらしい。
もちろんステラミラージュにとっては、甘党な一面など堂々と公表できるものではないだろう。
「……今のは聞かなかったことにするんだ。いいね?」
恥ずかしさをこらえて平静を装いながら、ステラミラージュは森内トレーナーに釘を刺した。
「--今日、何かあったか?すまんな、最近耳が遠くて」
察した森内トレーナーは、ステラミラージュにわざととぼけてみせた。
「それでいい」
察しの良い森内トレーナーにステラミラージュは心の中で胸をなでおろしつつ。
今日の合宿所で提供されるケーキバイキングをどうやって誰にもバレずに頂くかプランを考えることにした。
今回はステラミラージュというウマ娘の応募でした。
ありがとうございました!