進捗的にアプリなら育成してから10分くらいの出来事ですね…
※最初の一文が39と表示されていますが、ハーメルン・pixivに投稿する上のコラボ企画で話を追加した分、本来の話数からずれました。
特に気にせずお読みください。
ーーー39ーーー
夏合宿に来るのは中等部以上のウマ娘だけではない。
社会科見学という名目で夏合宿には初等部のウマ娘も参加している。
とはいえ、やんちゃ真っ盛りな初等部のウマ娘たちが大人しく見学だけで帰るわけもなく。
初等部のウマ娘たちで模擬レースを行ったり、実際の練習に混ざったりは当たり前のように行われていた。
夏合宿中、トレーナーたちは自らの担当ウマ娘の練習を見守る傍ら、トレーナー同士で情報交換や相互分析を行っていた。
特にダートウマ娘の担当トレーナーにとっては、芝のウマ娘を担当する一流トレーナーと交流するいい機会。
かつてはティアラ路線にいた森内トレーナーも、旧知のトレーナーから今年の芝の新鮮な情報を貪欲に仕入れる。
「噂は聞いているぞ森内!担当のインシーは全戦全勝じゃないか!お前の腕がいい証拠だな!」
「久しぶりだな。噂通り、インシーは順調だ。今年のティアラはどうだ?」
「僕が注目していたダイイチルビーですが、今後路線変更を考えているそうです。秋華賞は出ないかもしれませんね」
「クラシックはライアンやアイネスが注目株だ。あとオグリも今年は調子いいぞ。ダートにかまけて王道路線を見逃すなよ森内?」
「余裕があればな……ん?」
他のトレーナーとの会話中に森内トレーナーはビーチから少し離れたところから子供たちの声が聞こえたのが気になった。
どうやら、初等部のウマ娘たちがビーチでの練習風景に感化され、模擬レースを行っているようだ。
とはいえ、基礎の基礎すら習っていない状態の初等部のウマ娘たちではまだレースというより"かけっこ"の域を出ていない。
流石のトレーナーたちも目星を付けることはなく、単に微笑ましく見守る、くらいしかやることはないはずだった。
「おい、あの青い奴を見ろ!」
森内トレーナーは慌てて初等部のレース風景を指さす。
あの森内トレーナーが慌てるほどの?と怪訝に思ってその場にいたトレーナーたちが振り向くと。
残像が見えるほど高速で脚を回して、他の初等部のウマ娘とは一線を画すスピードで逃げ去っていく水色の初等部のウマ娘がいた。
まるで走る、というより転がるといったほうがいいだろうか。
「速いぞ!ありゃ本当に初等部か!?」
「ケイデンスが半端じゃねえ!」
「ピッチ中のピッチ走法だ!アレを勘で身に着けてるというのか……?」
ウマ娘の走り方にはピッチ走法、ストライド走法(大跳び)という2種類の特殊な走り方がある。
その内、ストライド走法は歩幅を広く取る走法だ。この走法で有名なウマ娘にゴールドシップがいる。
脚の回転こそ遅いが、トーントーントーン……、というイメージで飛ぶように走ると形容されることもある。
体格の大きなウマ娘がよく使い、安定感に優れている走り方だ。
そして、ピッチ走法とはストライド走法とは真逆に当たる走り方。
歩幅を犠牲にしてでもひたすら脚の回転、つまりケイデンスを高めて前に行く。
擬音にするならカカカカカッ!、というイメージが近い。
ピッチ走法は小柄なウマ娘や坂が多いレースや短距離レースに向いた走り方だ。
ピッチ走法で有名なウマ娘を1人挙げるならアストンマーチャンがいる。
ちなみにインシルカスラムは小柄なウマ娘だがどちらにも当てはまらない、ごくごくノーマルな走り方をしている。
そして、先ほどの青髪の初等部のウマ娘、名はソニックスティング。
彼女がやっている走り方は超がたくさんつくほど極端なピッチ走法だった。
確かにソニックスティングは初等部ということもあってまだまだ小さいが。
現役のウマ娘でも、ソニックスティングほど極端なピッチ走法はなかなか見ない。
「あの子、いいスプリンターになるぞ……!」
思わず、1人のトレーナーが初等部の模擬レースに駆け出す。
「おい、抜け駆けするな!」
「俺も見たい!」
それに続いて、森内トレーナーと話していたトレーナーたちもぞろぞろとついていく。
「……俺も、話しておいて損はないか」
森内トレーナー自身も興味を抑えきれず、トレーナーたちの最後尾を歩き出した。
今回はソニックスティングというウマ娘の応募でした。
ありがとうございました!