ーーー63ーーー
「その様子だと、3着ながらも、アメリカのウマ娘に認めてもらえたみたいだな、インシー」
インシルカスラムの控室で待機していた森内トレーナーは、インシルカスラムがアンベールとハイエストフェローを引き連れてきたのをみて頷いた。
「でもすっごい悔しい!負けたのは本当だから上から見られても何も言い返せないじゃん……!」
「悔しいと思うことも大事だ。その悔しさをバネにしていこう。Ladies, Isn't Incy's ability not bad?(お嬢さんがた、インシーの実力も悪くないだろう?)」
「Exactly(確かにね)」
「But I'm stronger than her!(私の方が強いけどな!)」
森内トレーナーに対してアンベールはやれやれと首を振りながら。ハイエストフェローは首を縦に振って答える。
「さてインシー、ライブで3位の位置の振り付けは覚えてるか?」
森内トレーナーの言葉を聞いて、インシルカスラムは思い出したようにアンベールとハイエストフェローに振り向いた。
「あー!そういやアンタたちもウイニングライブ出るんだよな!?」
思わずインシルカスラムは日本語で日常会話のできない2人に日本語で聞いてしまう。
基本海外のウマ娘でも走っただけで帰国します、なんてことはあまりなく、原則としてウイニングライブにも出る。
Special Record!(ジャパンカップ)、L'Arc de gloire(凱旋門賞)、Umapyoi Legend(うまぴょい伝説)くらいなら海外にも伝わってるかもしれないが。
Unlimited Impactは恐らく日本のダートでしか歌わない。
「Unlimited Impact歌えんの!?えーっと……It seems to take away all of our vision……(視界全部奪うような……)」
インシルカスラムは慌ててUnlimited Impactの歌詞を英語で考えつつへにゃへにゃの歌声で歌いだす。
日本語で日常会話のできない2人はしばらくぽかんとしていたが。
「Winning Live」「Unlimited Impact」そして急に英語でインシルカスラムが歌いだしたことで察したようだ。
アンベールとハイエストフェローはチッチッチ、と人差し指を振ると。
「視界全部奪うような 打ち付けるスコールの中でも♪」
「きっと攫われ流れるのは 言い訳と迷いだけよ♪」
なんと、完璧な振り付けと、流暢な日本語のイントネーションで急にUnlimited Impactを歌いだした。
「Are we singing well?(私たち、うまく歌えてるか?)」
ハイエストフェローが森内トレーナーとインシルカスラムにウインクする。
「すごいすごい!完璧じゃん!」
「Yes,perfectly......Where did you practice it?(ああ、完璧だ……どこで練習したんだ?)」
「Our trainer taught us that sternly.(トレーナーが厳しく教えてくれたのよ)」
アンベールのしかめっ面から、日本語の歌を含めたライブの練習はビシバシやられたことが容易に想像できた。
これにて5章:Bring it!は終了……
いや、もう少しだけ続くんじゃ。